2008年7月・熊本旅行(12) | キハ王子の旅鉄日記

2008年7月・熊本旅行(12)

- 人吉温泉での一夜 -


人吉の駅を出て、まずは駅前にある「あおやぎ」と言う土産物屋へ。ここには球磨焼酎がたくさん売られている。せっかく人吉まで来たのだから、球磨焼酎を買わない手は無い。店内では試飲もさせてもらえるので(但し専用の器を買わなくてはいけない)、あれこれと飲ませてもらい、3本ほど購入。


それに、「そらぎゅう」と言うこの地方独自の酒器。これ、底がとんがっていて下に置くと中身がこぼれてしまう。即ち、飲み干すまで置けないと言うとんでもない杯。さすが酒飲みの土地と言うか何と言うか。


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それに「キジ馬」と言う地方玩具も買ってしまった。聞く所によると、この地に逃げ延びた平家の落人が造ったものと言われていて、そう聞くとなんだか悲しげにも思えるのだが、実際には素朴で愛らしい玩具だ。



土産をあれこれ買ったので、宿へと向かう。今日の宿は「人吉旅館」。駅から歩いて10分しない位のところにある。


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木造の趣のある建物で、見るからに純和風の旅館。


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木の温もりを随所に感じる館内は落ち着いた雰囲気で、しっとりとした大人の宿、と言った風情だ。そんなに大きな宿ではないが、従業員さんの応対などアットホームな温かみと親切さを感じてなんとも心地良い。



部屋でくつろぐのもそこそこに、まだ時間も早いので再び出かける。



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宿のすぐ近くにある「青井阿蘇神社」。それに宿から歩いて10分ほどのところにある「永国寺」。この「永国寺」と言うのは実は「幽霊寺」として有名で、昔のここの住職さんが書いた幽霊の掛け軸なんかが置いてある。また、中庭の池にも幽霊が出てくるとかなんとか…。



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橋の上から球磨川を眺めてぼんやり。清流のある風景と言うのはやはりいい。



本当は、お城跡の方へも行こうかと思ったのだが、歩くと結構な距離がありそうだったので断念。宿に戻ることにする。



宿に戻り、まずは温泉へ。せっかく温泉宿に来たのだから入らない手は無い。この人吉旅館の温泉は、そんなに大きな風呂ではなく、露天などでも無いが、浴槽がちょっと深めに作られていて、またお湯がそんなに熱くなく、ゆったりのんびりと入れる感じだ。お湯は少し茶色みを帯びている様に見える。なによりこの日、僕以外に客がいないのか(?)、誰も風呂には入ってこず、思う存分にリラックスして温泉を愉しむことが出来た。



温泉の後は、お待ちかねの夕食。この人吉旅館は、夕食は部屋食と言う形になっている。部屋で待っていると、仲居さんが色々と運んで来てくれた。


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随分色々とある。山芋の寄席豆腐風に、前菜盛り合わせ。鮎の刺身に天ぷら、それにホタテのバター焼き。



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前菜は小さなサトイモや枝豆、それに茹でたサワガニ。サワガニは幼い頃、飼育していたことはあるのだが、食べるのは実は初めてだ。殻ごとバリバリ食べると、香ばしい中にもカニの風味。


鮎の刺身は、味も良いが何よりこの姿かたちが良い。日本人は昔から鮎を珍重するが、確かに日本人の美意識にあった美しい魚だと思う。


ところでこの人吉旅館、僕はインターネットでここのHPから宿泊を申し込んだのだが、その際、「苦手な食べ物」を書く欄があったので、「肉類が一切ダメだ」と言うことを書いておいた。(全ての獣肉・鶏肉が幼い頃から苦手でほとんど食べられないのだ)


するとすぐに返信があり、「淡水魚などは平気か?」など色々と気を使ってくれている模様。肉類以外には全く食べられないものは無いので、その旨を再度返信しておいた。


するとこの日のメニュー、本来なら肉のものが全て魚介類へとさし換わっていた。一番奥のホタテだが、これは本来なら肉の皿(熊本だから恐らく馬か赤牛のステーキだろう)と言うことらしい。



鍋物も、この日はすき焼き風の鍋で、恐らく本当は牛肉でも入っているのだろうが、中に入っていたのは豆腐とネギ、ミツバ、それにウナギ。


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ウナギをこんな風にして食べると言うのも新鮮で、美味い。ドジョウの柳川にちょっと似ているが、それよりももっと濃厚でコクがある感じだ。


何より、こんな気遣いは本当に嬉しく、ありがたいものだと思う。好き嫌いのある人間にとって、旅先の宿での食事は楽しみでもあり、ちょっと不安でもある。(だから最近は食事付きの宿よりもビジネスホテル等に泊まって自分で街へ食べに行く方が多いのだが)


しかし、こんな風に、宿泊客のことを考えてメニュー創りをしてくれると言うのは本当に素晴らしいことだ。こういうことこそが、真の意味でのサービス、「真心」と言うものだろう。


料理はどれも美味しく、何より、この真心が最高の調味料。酒もついつい進む。球磨焼酎を2種類頼み、飲み比べをしながら、肴の数々に舌鼓を打ちながら。



最高の美酒と美味。それに最高の「もてなし」。人吉での夜は大満足のうちに更けていくのであった。