VAIOタワーを一生使う

VAIOタワーを一生使う

1998年に購入、補修を重ねて一生使うことを決めたSONY VAIO TOWER PCV-S610を使って記録した、終活を兼ねた備忘録です。

インターネットの爆発的な普及は、1995年に発売されたWindows95が火をつけたと記憶する。この前後はまだまだホームページ(正確にはウェブページ)が一般的ではなく、またホームページを作ってみようと画策していた人たちは何をテーマにするか頭を悩ませてもいたものだ。

 

当時は勤めていた会社が研鑽も兼ねて自由に使えるサーバーを提供してくれていたので、同僚たちはああでもない、こうでもないと自分勝手にホームページを作っていたのが思い出される。スペイン好きな私は、過去のスペイン旅行の写真と当時オープンしたての志摩スペイン村のパビリオンを対比させた「ビジュアル・スペイン」というページや(現在のスペイン村のオフィシャルページがこれを真似している(笑))、地元奈良の話題などを書いたりしていたのだが、その中で一番ヒットした(今風に言うとバズった)のがこの「怒涛の缶ジュース情報」というページである。

怒涛の缶ジュース情報 1190缶掲載

缶コーヒーが好きだった私は、毎日1本は何らかの缶コーヒーを飲んでいたわけであるが、同じブランドでもマイナーチェンジを経て微妙に缶のデザインや味が変化していくのが面白く、これを記録できる方法はないだろうかと考えていたところ、当時発売されたデジカメで撮影してホームページ上に記録することを思い立った。そうすると次第に缶コーヒーだけでは満足できなくなり、手近な自動販売機に入っている缶ジュースを手当たり次第に撮影してしかも飲んでみた味まで記録したのがこのホームページである。

ジョージア アイスカフェオレ 缶コーヒー

手元に残っているコンテンツデータを確認すると、最終的に1419缶の情報をこつこつと集めたようである。始めたのは1995年ぐらいじゃないかと思っているのだが、終了年というか自然消滅した年度は2013年。公開場所は最初は勤務先のサーバーだったのだが、後にbiglobeやplala、geocitiesなど個人的に契約していたプロバイダーに順次移転して行ったようだ。

週刊現代 1999年 記事

黎明期のホームページは、雑誌で紹介されることも多く、「怒涛の缶ジュース情報」は「食品」「飲み物」「コレクター」などのジャンルで良く取り上げていただいた。こちらは「週刊現代」の1999年8月21日28日合併号。

缶ジュース情報サイト「怒涛の缶ジュース情報」

この雑誌は会社の近所にある、昼休みに社員のたまり場となる喫茶店にも置いてあった。実名入りの記事は誰かが発見して声をかけてくるんじゃないかと思ったけど、誰にも声をかけられなかった(笑)。意外と雑誌の細かいところなんてみんな読んでないんだなと思った次第。

アサヒパソコン 1999年6月号雑誌表紙

「朝日パソコン」の1999年6月1日号。パッケージソフトを作っていた頃はパソコン雑誌に取り上げられることもあったけど、こんな形で記事が載るのは久しぶり。

怒涛の缶ジュース情報サイト

別に極めているつもりはないのだけど、サンプル数の偏りから飲みたくて飲んだものを記録しているというのは鋭い考察だと思う。掲載している缶ジュースの総額が単純計算して8万円分は下らないとあるけど、1日1本飲んでれば数年でまあそんな金額になってもおかしくないはず。サラリーマンのランチ代の総額を計算しても、別に誰も驚かんでしょと思ってしまう。

タウン情報誌「こうち」8月号

地方の情報誌にも掲載。最近「ぴあ」が復刊して話題になってるけど、インターネットの発達してなかった当時はこういう情報誌がいっぱいあったなあと思う。姉妹誌の「タウン情報まつやま」にもほぼ同じ内容の記事が掲載されていた。

怒涛の缶ジュース情報 雑誌掲載

他にもいろいろ載ってたと思うのだが、とりあえず手元に資料が残っているのはこんなところ。

 

このホームページはテーマを缶ジュースに絞っていたのだが、最近はジュース販売も主流がペットボトルに移ってしまい、またコンビニのレギュラーコーヒーにも押されてすっかり下火になってしまった缶ジュースの世界。

 

ずっと続けていればレジェンドのページになったかもしれないな、と思い返すのだが、個人的にも最近いつ缶ジュースを飲んだか記憶がない。続ける・続いていくってことは、やっぱ凄いことなんだと思ってしまうのである。

子供の頃から大好きで、飽きずに何回も見ている映画「ミクロの決死圏」。1966年製作の古典ながら、人間を縮小して体内を探検するというテーマでこの映画を超える作品はその後登場していないのが凄いと思う。近年ではハイビジョンにリマスターした「ミクロの決死圏」を配信で見ることもできるが、ここはあえて手持ちのレーザーディスクをプロジェクターにつないで見てみようと思い立った。

プロジェクターとレーザーディスクプレーヤー

現在持っているプロジェクターは、4Kでもフルハイビジョンでもない。解像度が720pという前時代の遺物とでも言えるものかもしれないが、意外と綺麗でたまに好きな映画をブルーレイや配信で上映して楽しんでいる。

 

ところが考えてみるとレーザーディスクをこのプロジェクターにつないで上映したことはなく、果たしてどんな画質なんだろうかと興味がむくむくとわいてきた次第である。

 

レーザーディスクが活躍していた頃は私は三菱の従来画質(NTSC)の液晶プロジェクターを使っていたわけで、画質はすごぶる悪かったわけだが、レーザーディスクは当時の主力メディアだったVHSよりは画質が良く、綺麗な画面だなあと思って楽しんでいた記憶がある。

レーザーディスクプレイヤーにセットされたディスク

「ミクロの決死圏」のレーザーディスクも久々に登場。この映画はハイビジョン放送を録画したブルーレイを持っているため、レーザーディスクの存在は忘れていた。

 

ブルーレイプレーヤーをプロジェクターにつなぎ、音声をステレオアンプに接続。音はモノラルだが記録はデジタルだ。逆に映像はレーザーディスクはアナログである。レーザーディスクには長時間記録のCLV(片面約1時間)と短時間記録のCAV(片面約30分)があるが、ほとんどの映画メディアがそうであったCLVは静止画やスロー、コマ送りなどのトリックプレイができないのは、VHSにも劣っている部分である。

ミクロの決死圏、体内探検の幻想的な画面

で、実際に投影した画面はどうかというと...むむ、思ったよりも綺麗だぞ。特に体内探検の幻想的な画面はプロジェクターと相性が良いのか、独特の雰囲気をかもし出している。4:3のフォーマットを、無理やり16:9のワイド画面に引き伸ばしての投影も、意外と違和感が無い。

ミクロの決死圏 映画のワンシーン

ただしドラマ部分というか、人物が映し出されるシーンではピントの甘さもあり、表情が読み取りにくく違和感を感じる。人によっては気分が悪くなるかもしれない。

 

やはりレーザーディスクの解像度を120インチに引き伸ばすのは無理があるのか。4Kやハイビジョンとまではいかなくても、720pという解像度はそれなりに綺麗だなあと感じさせられる。

ミクロの決死圏 潜水艇と泡の映像

レーザーディスクってのは円盤が大きくて重い。しかも裏表があり、自動両面プレーヤーでないと途中でひっくり返す手間も必要。私のプレーヤーは自動両面再生ができるのだが、転回時には画面が10秒ぐらいブルーアウトしてしかも円盤が重いのでモーターの逆回転に際してキュルキュルと大きな音がする。しかしそんなメカニカルな部分が味があるのも事実。これでもうちょっと画質が良ければ、アナログレコードのように一定数のファンも残るんじゃないかなあと、ちょっと残念に思う。

 

そしてこの画面を体験した後に見た4Kテレビ画像の解像度の凄さに、数十年の技術の進歩を見た気になる。今後のレーザーディスクに、アナログレコードのようなブーム再来はあるんだろうか?

 

 

 

前回で針ズレを調整した電波腕時計 CASIO OVERLANDだったが、相変わらず何日か経つと時間表示がおかしくなる現象を繰り返している。何となく時間の目安として腕時計を付けてはいるが、正確な時間を知りたい時にはスマホを見るようになってしまった。新しくソーラー電波腕時計を買うことも考えるが、同じ機能の製品だと数万円の出費となる。年金生活を控えた身としては、あんまりお金を使いたくないなあと思い悶々とした日々を過ごしていた。

CASIO OVERLAND ソーラー電波時計の針ズレ

ところが、である。あらためてカシオのウェブページを丹念に読んでいて気付いた記述がある。カシオの電波腕時計は分針を磁力で固定するマグネティックホールディング構造が採用されているとのこと。一定以上の強い磁気にさらされた場合は、針を動かすモーターが影響を受けて針ズレの修正が必要になる場合があるらしい。

 

CASIO磁気の影響と腕時計の針ズレ

 

私の時計が強い磁気の影響を受けることなんてあるんだろうか。電気自動車に乗っているわけでもないし、それどころか最近は電車にさえ乗っていない。家はオール電化でもなく、電子レンジはあるがIHの電磁調理器も無い、とかいろいろ考えていて、ふと思いついたのが最近の私の仕事である。

 

私はとある販売店に勤めていて最近はレジに立っていることが多い。レジ作業の時に行うのが、商品に付いている防犯タグを取り外す作業。その時に使う器具に強力な磁石が内蔵されている。店のセキュリティがらみの事なので詳しくは書かないが、仕事の担当がレジ作業中心に移ったのと腕時計が狂いだした時期が一致している。

 

そこで試しに、レジに立つときには腕時計を外してロッカーに保管してみることにする。すると、なんと嘘のように時計の針ズレが発生しなくなった。たまに時計を外し忘れることがあるのだが、その時は確かに時計の表示時間がおかしくなる。う~ん、そうだったのか!

 

というわけで、私のソーラー電波腕時計は復活となった。マニュアルによると、この時計は内蔵プログラムの関係で2099年以降は動作しなくなるらしいが、少なくとも私の寿命から考えると一生モノとして使える可能性が出てきたわけである。まだまだ頑張ってほしいCASIO OVERLANDなのであった。

 

 

ソーラー電波腕時計は、凄い発明品だと思う。それまで使っていたクォーツの腕時計は実質月差10秒以内というのも凄いと思っていたのだが、何年かに1回はバッテリー交換という儀式が待っていた。最初は年に1回だった交換は2年、5年と機種を変えるごとに伸びては行ったが、メンテナンスフリーというわけではなかった。たまに思い出したように時刻合わせも必要だ。

カシオ ソーラー電波腕時計 OVERLAND

ところがこのソーラー電波腕時計ときたら、まったくのメンテナンスフリーである。毎日腕にさえ着けておけば、時間は勝手に秒単位で合っているし、電池も勝手に充電される。写真のCASIO OVERLANDは2011年に購入したものだが、なんと15年も使っていて毎日着けているのにその存在を半分忘れていた。ひょっとしてこのまま一生動き続けるんじゃないかと、一生モノが好きな私は期待していたわけである。

 

ところがところが、このOVERLANDに最近異常が発生した。遅れ始めたのである。電波腕時計だのに、気が付くと3分ぐらい遅れている。ついに電池が切れたのか、あるいは故障?寿命?と動いている時は忘れているのにいざ調子が悪くなると気になってしょうがない。とりあえず時刻を手動で合わせてみるか。しかしメンテナンスフリーなので時刻合わせの方法がわからない。こういう時はオンラインに情報を求めるのは最近ではお約束だ。

CASIO OVERLAND ソーラー電波時計裏蓋

15年前の時計なのに加えて、カシオの腕時計は恐ろしく種類が多い。マニュアルが見つかるのだろうかと探していたら、カシオのページにはモジュール番号で検索せよと書いてあった。時計の裏ブタに刻印されている、四角で囲まれた4桁の数字がモジュール番号とのこと。私の時計の場合は4315である。さっそくこの数字を打ち込むと、操作方法が表示された。

 

この時計にはA/Bという2つのボタンしかない。とりあえずBボタンを押すと、秒針が4時~5時のあたりにあるYES/NOのところに動いて電波を受信しているか否かを教えてくれるという。ところがこの時計、Bを押しても秒針は10時のあたりを差している。何じゃこりゃ!?

 

しかしマニュアルをしっかり読んでいると、次のページに針ズレの修正方法が書いてある。何かの加減で針がズレると時刻が全然合わなくなることがあるのだそうだ。さっそく書いてある通りに、A/Bのボタンを長押ししたり普通に押したりを繰り返す。針の位置が正しければモードを切り替えれば0時0分0秒を差すはずだが、これが確かに3分ぐらいずれている。秒針は完全に反対の方向を向いているので、これをボタンを押して丁寧に12時の位置に重なるように調整する。

 

最期にカレンダーの日付をチェック。これは問題なかったので、調整を終えるとなんと電波時計は何事もなかったかのように正しい時間で動き出した。当たり前と思っていた正確な時間を刻む腕時計に感謝したことは言うまでもない。

 

実はこの話、まだ後日談がある。1週間ぐらいすると、またこの時計は遅れ始めた。しかも今度は10分ぐらい遅れている。針の機械部分がへたって、針位置を維持できなくなっているんだろうか。さすがに寿命かと思いつつ再度針ズレ調整。その後1週間ほど経つが、今のところ正しい時を刻み続けている。

 

当たり前だと思ったことが当たり前でないこともある。この時計はそんなことを教えてくれた気がする。今では毎朝この時計とスマホの時刻が合っているか確認するのが日課となっている。

 

 

ちょっと前に、シリーズ第4作の「スター・トレック ヴォイジャー」をNetflixで見始めたことを書いた。スター・トレックはオリジナル第1作の「宇宙大作戦」と「新スタートレック」の一部しか見たことがなかったのが、サブスク時代となって全話見てやろうと思い立ちNetflixに契約し、こつこつ・こつこつと見続けてやっと「~ヴォイジャー」の第2シーズン10話まで見たところである。

スター・トレック ヴォイジャーの宇宙船

妙に好戦的にとなって違和感のあった第3作「~ディープ・スペース・ナイン」から原点に戻り、ヴォイジャーでは純粋な宇宙探検を楽しんではいたのだが...突然のスター・トレック全作のNetflixからの配信終了案内が流れる。配信終了は2026年 1月 8日。まぁ世界的にはスター・トレックはNetflixから撤退してParamount+へ移行するってのが流れだったのでそんなに心配してなかったのだが、日本のParamount+(アマゾンプライム経由で見られる)ではスター・トレックは劇場映画作品と「ストレンジ・ニュー・ワールド」「スターフリート・アカデミー」しか配信されていないではないか...!!

 

ということは、泣き別れになったジェーンウェイ艦長やチャコーティ、トゥーヴォック、ドクターやケスにはどこで再会すればいいんだ...トレックを見直すきっかけとなったセブン・オブ・ナインにもまだ会ってないのに...と配信終了から1か月待ったがアマプラのParamount+ではヴォイジャーが配信される気配はまったく無し。割り切って、今見ることのできる「ストレンジ~」「スターフリート~」から見たり、「~ピカード」を見直すなんてことも考えたけどまたまたわけわからないキャラクターやストーリーに困惑しないとも限らない。

 

どうしても見たかったらレンタルビデオに行ったらあるかもしれない、と頭に浮かぶ。旧作DVDだと100円でレンタルしてるところも多く、1本に何話入っているのか知らないけどサブスクとそんなにコストは変わらないだろう。しかし、近所に生き残っているレンタルビデオ屋さんが無い!! 唯一天王寺のTSUTAYAだけが営業しているらしいが、大阪難波へ通勤していた時は通り道だったんだけどなぁ...

スタートレック ヴォイジャー DVD全巻セット

待てよ、ヤフオクやメルカリで、中古のDVDセットを購入するという手もある。調べてみると、ヴォイジャーの全話7シーズンセットで1万円ぐらいから出品している方がおられる。実際の落札価格はいくらぐらいだろうか。全部見終わったら、売却すれば良い。全話そろっているなら売れるだろう...

 

といろいろ考えてはいるのだが、今はちょっと個人的に忙しい時期ではあるので、半年ぐらい様子を見ることとする。配信が開始されなかったら、次の手を考えることとしよう。

 

便利になったと思われたビデオのサブスクだけど、ソフトを見られる見られないをサービス企業側が握っているのは、案外不自由なんだなと思い知る。好きな映画は個人的にもディスクで残してあるのだが、収納を考えると邪魔ではある。究極はでっかいストレージに自分の欲しいビデオや写真やデータがぎっしりと詰め込まれている状態かなあと思ったりもする。

 

 

 

キャスターの久米宏さん、将棋の加藤一二三さん、映画監督の東陽一さん、長谷川和彦さんと今年に入って著名人の訃報が相次いだけど、私にとってショックだったのはクラシックギタリストの山下和仁さんが亡くなられたこと。私が学生の頃に超絶技巧のギタリストとして現れて、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をギター1本で弾き切ったのが印象に残る。1961年生まれで享年64歳。私と同い年である。

山下和仁とラリー・コリエルのヴィヴァルディ四季レーザーディスク

こちらのレーザーディスクでは、ヴィヴァルディの「四季」をフュージョンギターのラリー・コリエルとデュエットしたステージがおさめられている。押入れに眠っていたレーザーディスクを引っ張り出してきて、追悼の意味もこめてこのディスクを聴きなおして(見直して?)みることにした。ちなみにコリエルも2017年に他界している。

パイオニア製LD/CDプレーヤーCLD-R4

こちらが手持ちのレーザーディスクプレイヤー、パイオニアのCLD-R4という機種である。LDとCDが演奏できるコンパチブルと呼ばれていたタイプ。それぞれのトレイは、別々にせり出てくる。音声はデジタル、映像はアナログ記録で水平解像度400本程度、VHSのビデオテープよりは高画質だが後に登場したDVDには画質は劣る。

レーザーディスクプレイヤーとヴィヴァルディ四季

30cmのメディアはアナログレコードと同じサイズで、しかも張り合わせで両面再生ができるため非常に重たい。巨大なCDといった見た目で迫力がある。片面に1時間の動画が記録できるのだが、映画の場合は半分見たところでひっくり返す必要がある。このプレーヤーは後期のもので自動両面再生(ピックアップが背面へ移動する)が付いているが、その時にがちゃがちゃと動作音がしてうるさいのが難点。

山下和仁とラリー・コリエルのギターデュエット

VAIOにつないで視聴する。この「四季」も大変話題になった録音(録画)なのだが、どう聴いてもコリエルにとっては分が悪い。山下の美しくまた正確無比な速弾きの音色に対して、コリエルはただ速いだけの演奏に思える。しかもコリエルは立ち上がりが悪く、調子が乗って来るのは「夏」のあたりからだ。

 

しかしこのデュエット、私は嫌いではない。後に山下はなんとドヴォルザークの「新世界交響曲」をギター1本で演奏するという超人技を成し遂げてしまうのだが、いくらギターが小さなオーケストラと言われるにしてもさすがに新世界は無理があると感じてしまう。それに対して、アプローチの違う二人が演奏する「四季」、聴けば聴くほど異文化の遭遇という気分にさせられて、私にとっては大好きな演奏となっている。

 

二人とも天国へ旅立たれた今、この超絶な演奏もこの世から失われたと思うと寂しさを隠せない。さようなら、コリエルさん、山下さん...

 

 

 

 

半年以上のロングランとなっている映画「国宝」を今更ながらに見てきた。圧倒的な映像美に加えて、見ごたえのあるドラマに3時間があっという間に過ぎた。確かにこれは、近年ではベスト1の見るべき映画だと思う。

歌舞伎の舞台で着物姿の女性が踊る

歌舞伎といえば、年配の人が見るものというイメージを持つ方が多いかもしれないが、実は60代の我々の世代でも敷居が高く、私たちが若い頃にも存続の危機が叫ばれていた。

 

私が高校生の時に「高校生の歌舞伎を見る会」というのが神戸文化ホールで実施されて、学校ぐるみで見に行った。片岡仁左衛門さん(年代からすると13代目か?)が司会で、息子の片岡秀太郎さんが出演、演目が「俊寛」だったのは覚えている。客席には当時秀太郎さんの妻であった女優の高田美和さんがおられたという情報も後から聞いた。歌舞伎の基礎の解説コーナーでは、舞台で役者がとんぼを切る(いわゆるバク転)姿に歓声を上げたり、「血まみれになって転げまわるので血だるまといいます」という解説に爆笑したりと和やかな雰囲気でプログラムは進められ、その時仁左衛門さんが「古典芸能は、観客がいないと成り立たないのです」「これを機会に、ひとりでも歌舞伎の舞台に足を運んでいただけたらと思います」と結んでいたのを思い出した。

 

あれから40年以上、歌舞伎は観客の度肝を抜く舞台演出を試みたり、「スターウォーズ歌舞伎」「初音ミク歌舞伎」など若者文化とのコラボ作品も登場して進化を続けている。これは別に若者に媚びているわけでもなんでもなく、新しいものを取り入れるのが伝統的な歌舞伎の真骨頂ということで、正常進化なのだそうだ。

 

そして昨年登場したのが映画「国宝」。主演の吉沢亮と横浜流星が1年半かけて歌舞伎の芸をじっくり仕込んだというのが売りなのだが、その描かれる内容では歌舞伎俳優は幼少の頃からのひたすら厳しい稽古を重ねてやっと一人前になるという。たった1年半で覚えた吉沢と横浜の歌舞伎を、本物の役者の方々は苦々しく思っているのではないだろうかと映画を見終えて不安に思ったのだが...

 

ところが歌舞伎界ではこの映画を好意的に受け止めているらしい。そのため、この映画をきっかけに歌舞伎の舞台に足を運ぶ人も増えているということで歌舞伎の世界の先進性と懐の深さ、そして奥深さを目の当たりにした気分にさせられた。日本のみならず、海外の方にもどんどん見てもらいたい映画だと思う。

 

私が子供の頃に、親父が使っていたカメラがYASHICA 35というレンジファインダーのフィルムカメラだった。物心ついた頃から身近にあったので、たぶん私が赤ちゃんの時の写真もこのカメラで撮影されたんだと思う。記憶を元にネットを探してみたのだが、恐らくこの写真のモデルだったと思う。

YASHICA 35フィルムカメラ レンジファインダー

小学生くらいの頃にこのカメラのシャッターを押したことがある。撮影したというよりも、単に自動シャッターの代わりをさせられたといったところか。親父がピントや露出を合わせて、ここから撮れと言われて家族の写真を撮った。当時はフィルムもプリント代も高価だったので、言われたままにシャッターを切った。

 

中学生ぐらいになると、親父が写真の撮り方を教えてくれた。まずは絞りを合わすこと。晴天で8、曇りの日や日陰は5.6に絞りのリングを合わせること。できるだけ太陽を背に撮ること。そしてファインダーを覗いて、2重になった輪郭をピントリングを回して合致させるようにする。これが結構難しい。屋内では暗すぎるので撮ってはいけない。近距離も撮ってはダメなど、制約もいっぱい教わった。現在スマホで簡単にできる室内での近接撮影や料理の撮影は夢のまた夢だった。

YASHICA 35フィルムカメラのトップビュー

高校生ぐらいになると、オートフォーカス・自動露出の付いたコンパクトカメラを親父が購入したため、おさがりとしてこのカメラは私のものになった。カラーフィルムは高価だったので、このカメラに白黒フィルムを装填して高校の遠足に行ったのを覚えている。京都の風景をバシャバシャと撮ったのだが、そのフィルムやプリントがどこへ行ったのかはよくわからない。発見したらデジタルでスキャンして永久保存しようとは思っているが。

YASHICA 35 レンジファインダーフィルムカメラ

大学生になって、自分のカメラを買った。オリンパスのXA-2という機種で、35ミリだのに非常にコンパクトでカプセルカメラの愛称だった。固定焦点のカメラで、取り外し式のフラッシュも付いていた。その後、何台かのフィルムのコンパクトカメラを使ったあと、現在の愛機であるデジタル一眼レフのPENTAXのIST-DL2を購入する。

 

このISTを20年近く使い続けているのは、YASHICAでマニュアルカメラの扱いが染みついたからじゃないかと、思うことがある。今となってはオートフォーカスも遅く、自動露出もどこかたよりないIST-DL2ではあるが、発色が美しく画面が明るいという基本部分がしっかりしている。あとは自分の工夫で、ピントや露出を工夫して写真を撮る楽しさがある。そんなマニュアルで撮るカメラの楽しさを教えてくれたのは、初めてのカメラがYASHICA 35だったからだと思うのである。

PENTAX 一眼レフ、レンズ、カメラバッグ

今でも映画ファンに絶大な人気を誇るジュゼッペ・トルナトーレ監督の若き日の傑作「ニュー・シネマ・パラダイス」。1988年の公開時は見ることができず(最初は東京のミニシアターでの単館上映だった)、また映画館が舞台の映画なんて面白いわけないと馬鹿にしていたのだが、それから数年後にWOWOW(日本衛星放送)で視聴して完全にはまってしまった。少年トトと父親代わりの映画技師アルフレード、初恋の女性エレナ、トトの母、妹、そして映画館に通う村人たち。登場人物すべての関係が生き生きとしていて素晴らしい。

ニュー・シネマ・パラダイス、トトとアルフレード

この映画、日本公開版は約2時間の上映時間なのだが、これはインターナショナル版という海外上映用の短縮版で、2時間半の尺でイタリア国内で上映されたものがオリジナルらしい。その後、3時間完全版が2002年に公開され、こちらは映画館へ見に行った。ところがやっと劇場で見られるという期待とはうらはらに、追加された部分が妙に冗長でしかもテーマがぶれてしまい、ちょっとがっかりしてしまったのが正直な感想だった。

ニュー・シネマ・パラダイス、映画館の夜景

【以下ネタバレ気味注意】追加部分でまず目についてしまうのが、主人公トトの友達であるボッチャの初体験のシーン。これが妙に生々しくて、それを見て影響を受けたと思われるトトが、やがてエレナとの初恋へとつながっていく(ように見える)。8ミリ撮影に目覚めていろんな風景を撮りはじめたトトが、映写機で壁にエレナが振り向く映像を写す。目の見えないアルフレードが「恋だな」とつぶやく。このシーンの美しさは屈指の名場面だと思うのだが、その部分の感動が3時間版では何だか薄れてしまうような気がするのだ。

ニュー・シネマ・パラダイス エレナの横顔

そして終盤、たっぷりと追加されているのは理由もわからず別れてしまったエレナとの再会シーン。あのブリジット・フォッセー(禁じられた遊びの女の子ですね)が演じる、というかクレジットに名前が入っているのに登場しなかった彼女が出るというのでこちらも期待したのですが、何だかだらだらっとした内容でしかも彼女が去って行った理由やまたもやボッチャがらみのオチなど、もはやどうでもいい部分で増量された感じ。初恋は初恋で美しい思い出のままで残しておいた方が良かったんじゃないか、なんてちょっと冷や水をかけられたような気分にさせられたわけです。

トトとアルフレード、ニュー・シネマ・パラダイス

以前から、テレビの洋画劇場でオリジナルフィルムが無茶苦茶にカット編集されてるのを文句ばっかり言っていた私ですが、カット&再編集で名作が生まれることもあるんだなと考えを改めた映画がこちら。今ではニュー・シネマ・パラダイスと言えば3時間版がスタンダードとなっていますが、自分の中では2時間版がオリジナル。エレナの美しい姿をしっかりと脳裏に残しておきたいと思ってしまうのです。

 

 

米アカデミー賞受賞などで今でも人気の高いゴジラ映画。私も小学4年~6年生ぐらいの間に結構熱中して見ていた時期があり、ゴジラ映画には特別な思い入れがあったりする。

ゴジラ 4Kリマスター 映画ポスター

ゴジラ映画の歴史は古く、第1作は私も生まれていない1954年製作。以前に書いた007シリーズより古く、この第1作を映画館でリアルタイムに見ている方は80歳を超えているのではないかと思われる。かく言う私も初めて見たゴジラ映画は1964年製作の「モスラ対ゴジラ」で、これを「東宝チャンピオンまつり」という子供向け映画数本立ての中の1本として1970年にリバイバル上映された時のことである。

その後、チャンピオンまつりがやって来るたびに劇場に足を運び、「怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ(1965/1971)」、「ゴジラ対ヘドラ(1971)」、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦(1964/1971)」、「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(1972)」、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966/1972)」、「ゴジラ電撃大作戦(1968/1972)」、「ゴジラ対メガロ(1973)」と欠かさず見ている。(記載の年号が2つあるのは製作年/リバイバル年)

 

当時のゴジラ映画の魅力といえば、怪獣が登場するまでの間に繰り広げられるちょっと大人向けのストーリー、当時としては精巧な特撮(怪獣をバックに逃げ惑う人々が丁寧に光学合成されていた)、ゴジラの独特の鳴き声、そして伊福部昭氏の重厚かつ軽快な音楽など、今考えても引きつけられる要素をいっぱい持っていたと思う。

 

そしてゴジラ映画を見なくなった転機となるのが、映画版「日本沈没(1973)」である。ゴジラと同じく東宝製作のパニック映画である「日本沈没」を小学校6年生の時に通いなれた東宝の映画館で見てからその面白さに心を奪われ、ぴたっとゴジラ映画に足を運ばなくなった。まさしく卒業したといったところだろうか。そして「タワーリング・インフェルノ(1974)」、「ジョーズ(1975)」で私の興味は洋画へと変わっていく...

久しぶりにゴジラ映画で劇場に足を運んだのは、リブート版である「ゴジラ(1984)」である。ここからの作品は平成版ゴジラと呼ばれており「ゴジラVSビオランテ(1989)」「ゴジラVSキングギドラ(1991)」など数作に足を運んだ。しかしその後は劇場から足が遠のいたのは、思ったほどストーリーも特撮もクオリティが上がらず、見る価値が感じられなかったからだと思う。

 

そしてまたまた久しぶりに足を運んだのが「シン・ゴジラ(2016)」である。庵野秀明総監督と樋口真嗣監督による作品はクオリティが高く、またゴジラという未知の生物に対する政府の右往左往がリアルに描かれていて見ごたえ十分であった。そして最新作の「ゴジラ-1.0(2023)」の登場である。

この映画に関してはもうあちこちで語りつくされていると思うので多くは書かないが、新作映画として楽しめるだけでなく古いゴジラ映画を見て育って来たものにとっても、心躍らされる内容になっているのが良かったと思う。ゴジラの鳴き声や伊福部昭氏の音楽など古いファンの外せないツボもちゃんとつかんでいるし、何よりゴジラ映画の泣き所だったちゃぷちゃぷした海の描写がとんでもなく進化している。

 

配信の時代に過去のゴジラ映画はどこから見るべきかというと、映画好き・特撮好き・さらに忍耐のある方だったらもちろん1954年の第1作から順番に見ればその進化や試行錯誤が楽しめて面白いと思うが、正直言って「ゴジラ-1.0」「シン・ゴジラ」を見ておけばゴジラに関しては十分な気がする。

 

それでも古い時代のゴジラを楽しみたいなら、「ゴジラ(1954)」「怪獣大戦争(1965)」「ゴジラ対ヘドラ(1971)」あたりが個人的にはベストに入る。あとはゴジラは出てこないけど「空の大怪獣ラドン(1956)」が好きだなあ...