サブスクで80年代の曲を聴いていると、山崎ハコの「織江の唄」が流れてきた。すると無性に映画「青春の門」が再見したくなって、これまた配信で全4作品のおさらいをした。映画版の「青春の門」は70年代に東宝で「筑豊編」「自立編」が、さらに80年代に東映で同じく「筑豊編」「自立編」が映画化されており、その後原作は続いているようだが映像化はまったくされていない。
■東映版「筑豊編(1981)」「自立編(1982)」
筑豊の炭鉱町で育った信介(佐藤浩市)と織江(杉田かおる)を主人公に、気丈な母タエ(松坂慶子)、炭鉱夫で多くの鉱夫を救って死んだ昇り蜘蛛の重蔵の異名を持つ父(菅原文太)、信介を助けるヤクザの竜五郎(若山富三郎)たちを描いた大河ドラマ。筑豊編では信介の幼少期から東京へ出ていくまでを、自立編では早稲田大学に進学して演劇・学生運動・女郎屋・ボクシングと激動の学生時代が描かれる。
東映版の方がわずかに新しいからか、若い時に見た印象では映像もスタイリッシュに感じたのだが、蔵原惟繕の演出は今見るとかなり粗削りな印象。信介は早稲田に入るぐらいなので相当頭はいいのだろうと思われるが、授業に出たり勉強してるシーンが皆無で、しかも自分探しをしているのも度胸だけで芯が無いように思えて違和感たっぷり。深作欣二監督のアクションシーンだけが妙に印象に残る映画という感じであった。
■東宝版「筑豊編(1975)」「自立編(1977)」
東映版を見たあと、続けてこの東宝版を見る。浦山桐郎の演出は文芸作品の香りたっぷり。当時のニュース映像を交えた編集に加えて、信介(田中健)・織江(大竹しのぶ)、母タエ(吉永小百合)・父重蔵(仲代達也)、竜五郎(小林旭)というキャスティングがぴったりはまって若い頃に見た印象は逆転、こちらの方が新鮮で色褪せていない感じがした。
映画会社が異なるにせよ、わずか中4年の再映画化というのも不思議だったのだが、そのあたりの事情はネット情報に詳しく書いてあるので氷解。それにしても肝心なところのストーリーが両作では異なり、特に母タエの死の描かれ方がまったく異なる。どっちが原作に近いのだろうか?
同じく信介と織江の関係も東映版と東宝版ではまったく違い、映画としては好感の持てる東宝版だが作中で織江に対する信介の態度が最悪である。
東映版も東宝版も、続きがあるがごとく映画は終わるが、続編は結局製作されずじまい。中途半端な状態で生きている登場人物たちだけに、彼らのその後の人生が見てみたい、特に田中健と大竹しのぶの演技で見てみたいと思うのだが、半世紀も経ってしまった今となってはかなわない。これは長大な原作を読んで、映画の疑問点も含めて答え合わせが必要なのかと思っているところである。





















































































