全国大家ネットワーク シンポジューム 続報
皆さん、こんにちは。スタッフの落合です。
既に↓のブログでご紹介したシンポジュウムの、第2回準備会議に昨日出席いたしました。
http://ameblo.jp/o83nokai/entry-10855252902.html
http://ameblo.jp/o83nokai/entry-10859217275.html
まず、シンポジューム開催主体の名称が、「全国大家ネットワーク」と決しました。
この会の主体は、各関係者の協力を得つつも”大家さんが主体であるべき”ことと、”全国の大家さんが団結する”という意味合いが込められております。
また、時間も当初の昼過ぎから以下のように変更:
開場: 15時半
開演: 16時-19時
1.基調講演
2.第一部:課題抽出
3.第二部:大家さんおよびサポーターによるディスカッション
懇親会: 19時過ぎから
第二部のスローガンとしては、「大家さんパワーが社会を変える!」・・・今までは個別事業展開をしてきた大家さんですが、今回の震災に対する社会貢献活動を通じ、”大家さんが結集すれば、こんな底力を発揮するんだぜ!”ってことを、このシンポジュームを通じて発信して行こう! ということです。
私以外は賃貸市場では超有名・多忙な方々ですので、今後の準備はMLで進めることになりますが、もう直ぐHPの開設、開催の告知がされることになります。
AOAの皆さん、是非ともシンポジュームに参加して、「大家さんの底力を発揮しよう」ではありませんか!
相手の気持ちになってる?
何しに渋谷に行ったかと言うと、私も所属するNPO法人賃貸経営110番が主催したセミナーに、「行動する大家さんの会」のスタッフ4人で参加して来ました。
セミナー講師は九帆堂法律事務所の弁護士、久保原和也先生で、「更新料裁判」についての生のお話しを聞いて来ました。
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今日はこの「更新料裁判」のお話しを聞いてふとと思った、「消費者」と「提供する側」つまり「お客さま」と「売る側」の関係について綴って行こうと思います。ですから、賃貸経営関係者以外の方もぜひ読んでみてくださいね。
「更新料裁判」とは、ものすごく簡単に説明すると、「更新料は有効か?無効か?」と言う事です。
一般的に東京の場合、部屋を借りて2年すると、住み続けるならば契約を「更新」します。その際に「更新料」として家賃の1カ月分を貸主に払います。(この「更新料」が何カ月分なのかは、地域性があります。)
皆さんもお部屋を借りていて「更新」した経験ありませんか?
この「更新料」が「消費者の利益を一方的に害するもの」として争われているのです。
ただ、以下はあくまでも、私「個人の感想」でありますから、「そんな考え方もあるかもね」と言うスタンスで読んでみてくださいね。
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今までに起こった、「消費者」VS「企業」の問題の背景の多くは「お客さま」と「売る側」のパワーバランスが関係していたと思っています。
私の想像ですが、その流れは
① 商品が貴重等の理由で「売る(提供する)側」が強い状態
② 一部の利益優先主義者が「不当に」利益を得る行為を行った
③ 被害にあった「お客さま(消費者)」が裁判等の行動をする
④ その業界に法律等の「ルール」ができる
⑤ 弱者(消費者)が守られる状態になる
こんな感じで、進んでいたのではないでしょうか?
「公害」の問題なんかは、これに当てはまると思います。
「弱者」を守るために、当然必要な措置だと思います。
ただ「不況」になった昨今、この「パワーバランス」は業界によっては完全に「逆転」してしまっています。
「お客さま」を無視するような経営や商売をしていれば、当然、市場から撤退しなくてはなりません。
それに加えて、世の中に広がった「権利者意識」とそれを利用した「ビジネス」。これが事情をもっと「複雑」にしています。
「更新料」の問題に当てはめると、ことの始まりはきっと
「更新料でぼったくりをする一部の大家に、弱者である住人の方々が不満を持っていた。」
と言う問題からだったのだと想像します。
ところが、現在の賃貸市場の空室率は20%。部屋が10室あれば、2部屋は借り手がありません。大家と借り手は完全に立場が逆転してしましました。
「入れてやる」時代から、「入って頂く」時代になったのです。
「就職氷河期」の人事と「バブル時代」の人事の関係のようですね。
力を持った「お客さま」の一部は「権利」を主張し始めます。
その「主張」が当然のことなら、きちっと「是正」すべきです。
お客さまの「ニーズ」を読み取れない「大家さん」は退場することになるでしょう。
しかし、問題だと思うのはここに生まれた「権利意識」を利用して「ビジネス」をしようと言う人達がいることです。
「更新料は有効か無効か?」
と聞かれても、法律家ではない私には正直分かりません。
私自身今まで18の賃貸物件に住んで来ましたし、現在も賃貸です。住人の方の気持ちはよく理解できます。
逆に賃貸業も営んでいますので、大家さんの気持ちも分かります。
ただ、
「更新料が無効になったら、今までの更新料が戻ってきますよ。」
と甘い言葉で消費者のことを利用して「ビジネス」をする人々に関してはどうなんだろう?と思ってしまします。その内、「敷金」も「礼金」も「共益費」も「ビジネス」の対象になるでしょうね。
上記と同じ例が「サラ金の過払い請求」です。
もちろん、利益の事しか追求してこなかった業界の責任は大きいと思います。
けれど、サラ金業界を潰して、本当に儲かったのは誰か考えてみてください。
この他、「ビジネス」になりそうな例はいっぱいあります。ですから「提供者」でもあるあなたは、明日は我が身です。
私は常に「顧客第一」を訴えています。
ただそれは「パワーバランス」に関係なく、「お客さまの立場を理解する」商売が支持されると言う事実から、申し上げているのです。
言いかえれば、「相手の気持ちになれる人」が商売で成功すると言いたい訳です。
「消費者」も「提供者」同じ人間ですから、どちらが偉いなんてことは、もちろんありません。
「消費者」と「提供者」が対立するなんて「もったいない」と思うのです。
お互いが、「利益」や「権利」より、相手の立場だったらどう思うか?と言うごく当たり前のことが何より重要ではないでしょうか?
最後にその「解決策」の「ヒント」となる考え方を紹介します。
「共生マーケティング 」
という手法です。説明は長くなりますので、詳しい説明は割愛します。(上記はリンクしています。ご興味のある方は、読んでみてください。)
すごくかんたんに「共生マーケティング」説明すると、
「自分側の利益だけではなく、全ての人が幸せになるためのマーケティング」
と言う考え方です。
日本には「何かを叩いてビジネスをする」ような人もいますが、今回の大震災で「自分のことより、他人のことを」と「相手を思いやれる人」がたくさんいることが証明されましたね。
まだまだ、日本も捨てたもんじゃない。そう思う今日この頃です。
下條雅也
消費税が8%になったら、大家さんの経営はどうなる?
本日午前中に、”消費税アップ”について第一報をブログにアップ致しました。
初めてこの問題に触れられた方には”何が問題なの、大家は関係ないじゃん”と思われた方も多いと思います。そこで、以下のようにQ&A形式に簡単にまとめました。
是非とも”大家さんは、家賃が非課税であることにより、知らず知らずに消費税を納税させられている事実”をご認識下さい。
Q1:消費税が8%になると、大家さんの経営はどうなるの?
間違いなく、“キャッシュ”が減ります。我が家の場合、一室当り9500円/年、消費税納税額が増えます。もし、100室持っている大家さんなら、その負担増は95万円/年、3年で300万円弱となります。(大家さんの経営状態により異なります。Q9参照)
Q2:大家さんは、消費税は関係ないのでは?
いいえ、全ての大家さんは消費税を“仮払い”しています。
仕入の際に、殆ど全てのアイテムについて消費税を支払っていますよね?それが負担額です。
Q3:私(大家さん)は、消費税を申告/納税したことはありませんが・・・
その通りですね。それでは簡単に消費税納税の仕組みを説明します。
納税負担者: 最終消費者
納税するひと: (原則)すべての事業者
八百屋さんは、お客さんに100円で大根を売ります。その際5円を預かります。 但し、その5円をそのまま納税するのではありません。 八百屋さんは、問屋さんから問屋(市場)から80円で大根を仕入れるのですが、その際4円の消費税を支払っています。
ですから、八百屋さんは預かった5円(預かり消費税)から、既に支払った4円(仮払い消費税)を差し引いた1円を納税します。問屋(市場)も同じことを繰り返すことにより、最終消費者が負担した5円が国庫に入ります。
Q4:まだ大家さんと消費税の関係がわかりませんが・・・
そうですね。大家さんは“事業者”ですが、入居者様から消費税を預かっていません。 だからと言って、“関係ない”のではありません。

八百屋さんは、80円で仕入れた野菜を40円でしか売れない場合もあります。
その場合、最終消費者から預かる消費税は2円、既に支払った消費税は4円となり、
Q5: 大家さんの例で説明して!
分りました。 分りやすくするため、“消費税課税の事務所の大家さんの例”で考えて見ましょう。
ちゃんと、5万円のキャッシュが残っています。A3で説明したように、消費税を負担するのは最終消費者だからです。 ですから、事業者は消費税導入前と導入後、モット言えば、税率が何%でもキャッシュは変りません。
Q6: 我々、住宅の大家さん(非課税)はどうなるの?
皆さんお気づきの通り、我々は入居者様から消費税を預かることは出来ません。
しかし、仕入の5万円とそれに関わる消費税は事務所の大家さんと変りません。よって<図4>のようになります。
つまり、事務所の大家さん(課税)より、キャッシュが2500円減ってしまうのです。
Q7: 消費税が8%になるとどうなるの?
図5をご覧下さい。単純に仕入に関わる消費税の増税分、1500円の負担増となります。 ちなみに、事務所の大家さんのキャッシュは5万円と変りません<図6参照>
Q8: 具体的に、自分(大家さん)の場合は現在いくら消費税を負担していて、8%となるといくら負担増となるの?
まず、3月に税務署に提出した“損益計算書<図7>”を出してください。 そこから、以下の計算をして下さい。
上記の5/105というのが5%での負担額です。これを8/108とすれば、
8%での負担額が計算できます。
いかがでしょうか、大家の皆さん。“家賃には消費税が掛からないから”、“消費税を納税したことないから”というのは事実ではありますが、それで“大家さんは消費税は関係ない”というのとは別だとご理解いただけたでしょうか?Q9で計算したように、平成3年から毎年、大家さんは“知らず知らず消費税を納税”させられていること、先ずは大家さん自身が認識することが、我々大家さんが政府にモノを申す第一歩です。
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8つのQ&Aで簡単に消費税・非課税の問題をご説明しまたが、あと2つ、”ありがちな質問”を追記しましょう。
Q9: 大家だって、仕入に関わる消費税は”損金”になっているから、関係ないじゃん。
とんでもないですよ。この”損金”というのは、”所得税 or 法人税”の世界です。私が議論してもらいたいのは、純粋に”消費税”の問題。この手の質問は、ある程度経理が分る方、特に税理士から良く出ます(私も何人もの税理士から同様の説明をうけました)が、まったくの”見当違い”です。
”損金”になるのは、住宅大家も、事務所大家も同じです。消費税の問題は”その後”の問題です。要は、”その後”を考えているか考えていないか、の問題です。
Q10: それでは、落合は家賃も”課税にしろ”というの?今更家賃に5%はもちろん、8%なんて転嫁できるはずがない。
その通りですね。もちろん私は”課税にしろ”なんて言っていません。かといって、消費税税率アップ絶対反対、とも思いません。ただただ、正しい非課税について正しい議論が必要と申し上げているのです。
その議論の対象として、”ゼロ税率”というのがあります。”非課税とゼロ税率”、ちょっと見には同じように見えますが、このゼロ税率なら、上記例でいえば、住宅の大家さんも事務所大家さんと同様5万円のキャッシュが確保でき、更に、入居者様の家賃も10万円のままに出来るのです。この方法、今すぐにやろうと思えば出来るのに、政府は一度も具体的検討にはいったことはありません。