行動する大家さんの会スタッフ -91ページ目

全国大家ネットワーク シンポジューム 続報

皆さん、こんにちは。スタッフの落合です。


既に↓のブログでご紹介したシンポジュウムの、第2回準備会議に昨日出席いたしました。


http://ameblo.jp/o83nokai/entry-10855252902.html

http://ameblo.jp/o83nokai/entry-10859217275.html


まず、シンポジューム開催主体の名称が、「全国大家ネットワーク」と決しました。

この会の主体は、各関係者の協力を得つつも”大家さんが主体であるべき”ことと、”全国の大家さんが団結する”という意味合いが込められております。


また、時間も当初の昼過ぎから以下のように変更:


開場: 15時半

開演: 16時-19時

     1.基調講演

     2.第一部:課題抽出

     3.第二部:大家さんおよびサポーターによるディスカッション

懇親会: 19時過ぎから



第二部のスローガンとしては、「大家さんパワーが社会を変える!」・・・今までは個別事業展開をしてきた大家さんですが、今回の震災に対する社会貢献活動を通じ、”大家さんが結集すれば、こんな底力を発揮するんだぜ!”ってことを、このシンポジュームを通じて発信して行こう! ということです。


私以外は賃貸市場では超有名・多忙な方々ですので、今後の準備はMLで進めることになりますが、もう直ぐHPの開設、開催の告知がされることになります。


AOAの皆さん、是非ともシンポジュームに参加して、「大家さんの底力を発揮しよう」ではありませんか!

相手の気持ちになってる?

先日、久しぶりに渋谷に出てました。心なしか、日曜日なのにハチ公前は人が少なかったように感じましたが気のせいかな?

何しに渋谷に行ったかと言うと、私も所属するNPO法人賃貸経営110番が主催したセミナーに、「行動する大家さんの会」のスタッフ4人で参加して来ました。

セミナー講師は九帆堂法律事務所の弁護士、久保原和也先生で、「更新料裁判」についての生のお話しを聞いて来ました。

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今日はこの「更新料裁判」のお話しを聞いてふとと思った、「消費者」と「提供する側」つまり「お客さま」と「売る側」の関係について綴って行こうと思います。ですから、賃貸経営関係者以外の方もぜひ読んでみてくださいね。

「更新料裁判」とは、ものすごく簡単に説明すると、「更新料は有効か?無効か?」と言う事です。

一般的に東京の場合、部屋を借りて2年すると、住み続けるならば契約を「更新」します。その際に「更新料」として家賃の1カ月分を貸主に払います。(この「更新料」が何カ月分なのかは、地域性があります。)
皆さんもお部屋を借りていて「更新」した経験ありませんか?

この「更新料」が「消費者の利益を一方的に害するもの」として争われているのです。


ただ、以下はあくまでも、私「個人の感想」でありますから、「そんな考え方もあるかもね」と言うスタンスで読んでみてくださいね。

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今までに起こった、「消費者」VS「企業」の問題の背景の多くは「お客さま」と「売る側」のパワーバランスが関係していたと思っています。
私の想像ですが、その流れは

① 商品が貴重等の理由で「売る(提供する)側」が強い状態
② 一部の利益優先主義者が「不当に」利益を得る行為を行った
③ 被害にあった「お客さま(消費者)」が裁判等の行動をする
④ その業界に法律等の「ルール」ができる
⑤ 弱者(消費者)が守られる状態になる

こんな感じで、進んでいたのではないでしょうか?
「公害」の問題なんかは、これに当てはまると思います。
「弱者」を守るために、当然必要な措置だと思います。

ただ「不況」になった昨今、この「パワーバランス」は業界によっては完全に「逆転」してしまっています。
「お客さま」を無視するような経営や商売をしていれば、当然、市場から撤退しなくてはなりません。
それに加えて、世の中に広がった「権利者意識」とそれを利用した「ビジネス」。これが事情をもっと「複雑」にしています。

「更新料」の問題に当てはめると、ことの始まりはきっと

「更新料でぼったくりをする一部の大家に、弱者である住人の方々が不満を持っていた。」

と言う問題からだったのだと想像します。

ところが、現在の賃貸市場の空室率は20%。部屋が10室あれば、2部屋は借り手がありません。大家と借り手は完全に立場が逆転してしましました。
「入れてやる」時代から、「入って頂く」時代になったのです。
「就職氷河期」の人事と「バブル時代」の人事の関係のようですね。

力を持った「お客さま」の一部は「権利」を主張し始めます。
その「主張」が当然のことなら、きちっと「是正」すべきです。
お客さまの「ニーズ」を読み取れない「大家さん」は退場することになるでしょう。

しかし、問題だと思うのはここに生まれた「権利意識」を利用して「ビジネス」をしようと言う人達がいることです。

「更新料は有効か無効か?」

と聞かれても、法律家ではない私には正直分かりません。
私自身今まで18の賃貸物件に住んで来ましたし、現在も賃貸です。住人の方の気持ちはよく理解できます。
逆に賃貸業も営んでいますので、大家さんの気持ちも分かります。

ただ、

「更新料が無効になったら、今までの更新料が戻ってきますよ。」

と甘い言葉で消費者のことを利用して「ビジネス」をする人々に関してはどうなんだろう?と思ってしまします。その内、「敷金」も「礼金」も「共益費」も「ビジネス」の対象になるでしょうね。

上記と同じ例が「サラ金の過払い請求」です。
もちろん、利益の事しか追求してこなかった業界の責任は大きいと思います。
けれど、サラ金業界を潰して、本当に儲かったのは誰か考えてみてください。

この他、「ビジネス」になりそうな例はいっぱいあります。ですから「提供者」でもあるあなたは、明日は我が身です。

私は常に「顧客第一」を訴えています。
ただそれは「パワーバランス」に関係なく、「お客さまの立場を理解する」商売が支持されると言う事実から、申し上げているのです。
言いかえれば、「相手の気持ちになれる人」が商売で成功すると言いたい訳です。
「消費者」も「提供者」同じ人間ですから、どちらが偉いなんてことは、もちろんありません。

「消費者」と「提供者」が対立するなんて「もったいない」と思うのです。

お互いが、「利益」や「権利」より、相手の立場だったらどう思うか?と言うごく当たり前のことが何より重要ではないでしょうか?

最後にその「解決策」の「ヒント」となる考え方を紹介します。

共生マーケティング

という手法です。説明は長くなりますので、詳しい説明は割愛します。(上記はリンクしています。ご興味のある方は、読んでみてください。)

すごくかんたんに「共生マーケティング」説明すると、

「自分側の利益だけではなく、全ての人が幸せになるためのマーケティング」

と言う考え方です。

日本には「何かを叩いてビジネスをする」ような人もいますが、今回の大震災で「自分のことより、他人のことを」と「相手を思いやれる人」がたくさんいることが証明されましたね。

まだまだ、日本も捨てたもんじゃない。そう思う今日この頃です。

下條雅也

消費税が8%になったら、大家さんの経営はどうなる?

本日午前中に、”消費税アップ”について第一報をブログにアップ致しました。

初めてこの問題に触れられた方には”何が問題なの、大家は関係ないじゃん”と思われた方も多いと思います。そこで、以下のようにQ&A形式に簡単にまとめました。


是非とも”大家さんは、家賃が非課税であることにより、知らず知らずに消費税を納税させられている事実”をご認識下さい。


Q1:消費税が8%になると、大家さんの経営はどうなるの?

間違いなく、“キャッシュ”が減ります。我が家の場合、一室当り9500/年、消費税納税額が増えます。もし、100室持っている大家さんなら、その負担増は95万円/年、3年で300万円弱となります。(大家さんの経営状態により異なります。Q9参照)




Q2:大家さんは、消費税は関係ないのでは?

いいえ、全ての大家さんは消費税を“仮払い”しています。

仕入の際に、殆ど全てのアイテムについて消費税を支払っていますよね?それが負担額です。



Q3:私(大家さん)は、消費税を申告/納税したことはありませんが・・・

その通りですね。それでは簡単に消費税納税の仕組みを説明します。

  納税負担者: 最終消費者

  納税するひと: (原則)すべての事業者   

行動する大家さんの会スタッフ-1

八百屋さんは、お客さんに100円で大根を売ります。その際5円を預かります但し、その5円をそのまま納税するのではありません。 八百屋さんは、問屋さんから問屋(市場)から80円で大根を仕入れるのですが、その際4円の消費税を支払っています


ですから、八百屋さんは預かった5円(預かり消費税)から、既に支払った4円(仮払い消費税)を差し引いた1円を納税します。問屋(市場)も同じことを繰り返すことにより、最終消費者が負担した5円が国庫に入ります。


Q4:まだ大家さんと消費税の関係がわかりませんが・・・

そうですね。大家さんは“事業者”ですが、入居者様から消費税を預かっていません。 だからと言って、“関係ない”のではありません。


行動する大家さんの会スタッフ-2


八百屋さんは、80円で仕入れた野菜を40円でしか売れない場合もあります。

その場合、最終消費者から預かる消費税は2円、既に支払った消費税は4円となり、



Q5: 大家さんの例で説明して!

分りました。 分りやすくするため、“消費税課税の事務所の大家さんの例”で考えて見ましょう。


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ちゃんと、5万円のキャッシュが残っています。A3で説明したように、消費税を負担するのは最終消費者だからです。 ですから、事業者は消費税導入前と導入後、モット言えば、税率が何%でもキャッシュは変りません。



Q6: 我々、住宅の大家さん(非課税)はどうなるの?

皆さんお気づきの通り、我々は入居者様から消費税を預かることは出来ません。

しかし、仕入の5万円とそれに関わる消費税は事務所の大家さんと変りません。よって<図4>のようになります。

行動する大家さんの会スタッフ-4A

    つまり、事務所の大家さん(課税)より、キャッシュが2500円減ってしまうのです。


Q5で”事業者は税率が何%になっても5万円のキャッシュが確保できる”と申しました。それでは、なぜ大家も”事業者”なのに、税率が変るとキャッシュが減ってしまうのでしょうか?

信じられないことに、我々大家さんは、消費税の上では”最終消費者と同じ、つまり、事業者ではない”という扱いなのです。最終消費者と同じ扱いだから、税率が上がると税負担額が増加する、これが”非課税のカラクリ”なのです。


Q7: 消費税が8%になるとどうなるの?

図5をご覧下さい。単純に仕入に関わる消費税の増税分、1500円の負担増となります。 ちなみに、事務所の大家さんのキャッシュは5万円と変りません<図6参照>


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Q8: 具体的に、自分(大家さん)の場合は現在いくら消費税を負担していて、8%となるといくら負担増となるの?

まず、3月に税務署に提出した“損益計算書<図7>”を出してください。 そこから、以下の計算をして下さい。


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     上記の5/105というのが5%での負担額です。これを8/108とすれば、

     8%での負担額が計算できます。





いかがでしょうか、大家の皆さん。“家賃には消費税が掛からないから”、“消費税を納税したことないから”というのは事実ではありますが、それで“大家さんは消費税は関係ない”というのとは別だとご理解いただけたでしょうか?Q9で計算したように、平成3年から毎年、大家さんは“知らず知らず消費税を納税”させられていること、先ずは大家さん自身が認識することが、我々大家さんが政府にモノを申す第一歩です。 




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8つのQ&Aで簡単に消費税・非課税の問題をご説明しまたが、あと2つ、”ありがちな質問”を追記しましょう。


Q9: 大家だって、仕入に関わる消費税は”損金”になっているから、関係ないじゃん。

とんでもないですよ。この”損金”というのは、”所得税 or 法人税”の世界です。私が議論してもらいたいのは、純粋に”消費税”の問題。この手の質問は、ある程度経理が分る方、特に税理士から良く出ます(私も何人もの税理士から同様の説明をうけました)が、まったくの”見当違い”です。

”損金”になるのは、住宅大家も、事務所大家も同じです。消費税の問題は”その後”の問題です。要は、”その後”を考えているか考えていないか、の問題です。


Q10: それでは、落合は家賃も”課税にしろ”というの?今更家賃に5%はもちろん、8%なんて転嫁できるはずがない。

その通りですね。もちろん私は”課税にしろ”なんて言っていません。かといって、消費税税率アップ絶対反対、とも思いません。ただただ、正しい非課税について正しい議論が必要と申し上げているのです。

その議論の対象として、”ゼロ税率”というのがあります。”非課税とゼロ税率”、ちょっと見には同じように見えますが、このゼロ税率なら、上記例でいえば、住宅の大家さんも事務所大家さんと同様5万円のキャッシュが確保でき、更に、入居者様の家賃も10万円のままに出来るのです。この方法、今すぐにやろうと思えば出来るのに、政府は一度も具体的検討にはいったことはありません。