相手の気持ちになってる? | 行動する大家さんの会スタッフ

相手の気持ちになってる?

先日、久しぶりに渋谷に出てました。心なしか、日曜日なのにハチ公前は人が少なかったように感じましたが気のせいかな?

何しに渋谷に行ったかと言うと、私も所属するNPO法人賃貸経営110番が主催したセミナーに、「行動する大家さんの会」のスタッフ4人で参加して来ました。

セミナー講師は九帆堂法律事務所の弁護士、久保原和也先生で、「更新料裁判」についての生のお話しを聞いて来ました。

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今日はこの「更新料裁判」のお話しを聞いてふとと思った、「消費者」と「提供する側」つまり「お客さま」と「売る側」の関係について綴って行こうと思います。ですから、賃貸経営関係者以外の方もぜひ読んでみてくださいね。

「更新料裁判」とは、ものすごく簡単に説明すると、「更新料は有効か?無効か?」と言う事です。

一般的に東京の場合、部屋を借りて2年すると、住み続けるならば契約を「更新」します。その際に「更新料」として家賃の1カ月分を貸主に払います。(この「更新料」が何カ月分なのかは、地域性があります。)
皆さんもお部屋を借りていて「更新」した経験ありませんか?

この「更新料」が「消費者の利益を一方的に害するもの」として争われているのです。


ただ、以下はあくまでも、私「個人の感想」でありますから、「そんな考え方もあるかもね」と言うスタンスで読んでみてくださいね。

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今までに起こった、「消費者」VS「企業」の問題の背景の多くは「お客さま」と「売る側」のパワーバランスが関係していたと思っています。
私の想像ですが、その流れは

① 商品が貴重等の理由で「売る(提供する)側」が強い状態
② 一部の利益優先主義者が「不当に」利益を得る行為を行った
③ 被害にあった「お客さま(消費者)」が裁判等の行動をする
④ その業界に法律等の「ルール」ができる
⑤ 弱者(消費者)が守られる状態になる

こんな感じで、進んでいたのではないでしょうか?
「公害」の問題なんかは、これに当てはまると思います。
「弱者」を守るために、当然必要な措置だと思います。

ただ「不況」になった昨今、この「パワーバランス」は業界によっては完全に「逆転」してしまっています。
「お客さま」を無視するような経営や商売をしていれば、当然、市場から撤退しなくてはなりません。
それに加えて、世の中に広がった「権利者意識」とそれを利用した「ビジネス」。これが事情をもっと「複雑」にしています。

「更新料」の問題に当てはめると、ことの始まりはきっと

「更新料でぼったくりをする一部の大家に、弱者である住人の方々が不満を持っていた。」

と言う問題からだったのだと想像します。

ところが、現在の賃貸市場の空室率は20%。部屋が10室あれば、2部屋は借り手がありません。大家と借り手は完全に立場が逆転してしましました。
「入れてやる」時代から、「入って頂く」時代になったのです。
「就職氷河期」の人事と「バブル時代」の人事の関係のようですね。

力を持った「お客さま」の一部は「権利」を主張し始めます。
その「主張」が当然のことなら、きちっと「是正」すべきです。
お客さまの「ニーズ」を読み取れない「大家さん」は退場することになるでしょう。

しかし、問題だと思うのはここに生まれた「権利意識」を利用して「ビジネス」をしようと言う人達がいることです。

「更新料は有効か無効か?」

と聞かれても、法律家ではない私には正直分かりません。
私自身今まで18の賃貸物件に住んで来ましたし、現在も賃貸です。住人の方の気持ちはよく理解できます。
逆に賃貸業も営んでいますので、大家さんの気持ちも分かります。

ただ、

「更新料が無効になったら、今までの更新料が戻ってきますよ。」

と甘い言葉で消費者のことを利用して「ビジネス」をする人々に関してはどうなんだろう?と思ってしまします。その内、「敷金」も「礼金」も「共益費」も「ビジネス」の対象になるでしょうね。

上記と同じ例が「サラ金の過払い請求」です。
もちろん、利益の事しか追求してこなかった業界の責任は大きいと思います。
けれど、サラ金業界を潰して、本当に儲かったのは誰か考えてみてください。

この他、「ビジネス」になりそうな例はいっぱいあります。ですから「提供者」でもあるあなたは、明日は我が身です。

私は常に「顧客第一」を訴えています。
ただそれは「パワーバランス」に関係なく、「お客さまの立場を理解する」商売が支持されると言う事実から、申し上げているのです。
言いかえれば、「相手の気持ちになれる人」が商売で成功すると言いたい訳です。
「消費者」も「提供者」同じ人間ですから、どちらが偉いなんてことは、もちろんありません。

「消費者」と「提供者」が対立するなんて「もったいない」と思うのです。

お互いが、「利益」や「権利」より、相手の立場だったらどう思うか?と言うごく当たり前のことが何より重要ではないでしょうか?

最後にその「解決策」の「ヒント」となる考え方を紹介します。

共生マーケティング

という手法です。説明は長くなりますので、詳しい説明は割愛します。(上記はリンクしています。ご興味のある方は、読んでみてください。)

すごくかんたんに「共生マーケティング」説明すると、

「自分側の利益だけではなく、全ての人が幸せになるためのマーケティング」

と言う考え方です。

日本には「何かを叩いてビジネスをする」ような人もいますが、今回の大震災で「自分のことより、他人のことを」と「相手を思いやれる人」がたくさんいることが証明されましたね。

まだまだ、日本も捨てたもんじゃない。そう思う今日この頃です。

下條雅也