消費税が8%になったら、大家さんの経営はどうなる? | 行動する大家さんの会スタッフ

消費税が8%になったら、大家さんの経営はどうなる?

本日午前中に、”消費税アップ”について第一報をブログにアップ致しました。

初めてこの問題に触れられた方には”何が問題なの、大家は関係ないじゃん”と思われた方も多いと思います。そこで、以下のようにQ&A形式に簡単にまとめました。


是非とも”大家さんは、家賃が非課税であることにより、知らず知らずに消費税を納税させられている事実”をご認識下さい。


Q1:消費税が8%になると、大家さんの経営はどうなるの?

間違いなく、“キャッシュ”が減ります。我が家の場合、一室当り9500/年、消費税納税額が増えます。もし、100室持っている大家さんなら、その負担増は95万円/年、3年で300万円弱となります。(大家さんの経営状態により異なります。Q9参照)




Q2:大家さんは、消費税は関係ないのでは?

いいえ、全ての大家さんは消費税を“仮払い”しています。

仕入の際に、殆ど全てのアイテムについて消費税を支払っていますよね?それが負担額です。



Q3:私(大家さん)は、消費税を申告/納税したことはありませんが・・・

その通りですね。それでは簡単に消費税納税の仕組みを説明します。

  納税負担者: 最終消費者

  納税するひと: (原則)すべての事業者   

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八百屋さんは、お客さんに100円で大根を売ります。その際5円を預かります但し、その5円をそのまま納税するのではありません。 八百屋さんは、問屋さんから問屋(市場)から80円で大根を仕入れるのですが、その際4円の消費税を支払っています


ですから、八百屋さんは預かった5円(預かり消費税)から、既に支払った4円(仮払い消費税)を差し引いた1円を納税します。問屋(市場)も同じことを繰り返すことにより、最終消費者が負担した5円が国庫に入ります。


Q4:まだ大家さんと消費税の関係がわかりませんが・・・

そうですね。大家さんは“事業者”ですが、入居者様から消費税を預かっていません。 だからと言って、“関係ない”のではありません。


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八百屋さんは、80円で仕入れた野菜を40円でしか売れない場合もあります。

その場合、最終消費者から預かる消費税は2円、既に支払った消費税は4円となり、



Q5: 大家さんの例で説明して!

分りました。 分りやすくするため、“消費税課税の事務所の大家さんの例”で考えて見ましょう。


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ちゃんと、5万円のキャッシュが残っています。A3で説明したように、消費税を負担するのは最終消費者だからです。 ですから、事業者は消費税導入前と導入後、モット言えば、税率が何%でもキャッシュは変りません。



Q6: 我々、住宅の大家さん(非課税)はどうなるの?

皆さんお気づきの通り、我々は入居者様から消費税を預かることは出来ません。

しかし、仕入の5万円とそれに関わる消費税は事務所の大家さんと変りません。よって<図4>のようになります。

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    つまり、事務所の大家さん(課税)より、キャッシュが2500円減ってしまうのです。


Q5で”事業者は税率が何%になっても5万円のキャッシュが確保できる”と申しました。それでは、なぜ大家も”事業者”なのに、税率が変るとキャッシュが減ってしまうのでしょうか?

信じられないことに、我々大家さんは、消費税の上では”最終消費者と同じ、つまり、事業者ではない”という扱いなのです。最終消費者と同じ扱いだから、税率が上がると税負担額が増加する、これが”非課税のカラクリ”なのです。


Q7: 消費税が8%になるとどうなるの?

図5をご覧下さい。単純に仕入に関わる消費税の増税分、1500円の負担増となります。 ちなみに、事務所の大家さんのキャッシュは5万円と変りません<図6参照>


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Q8: 具体的に、自分(大家さん)の場合は現在いくら消費税を負担していて、8%となるといくら負担増となるの?

まず、3月に税務署に提出した“損益計算書<図7>”を出してください。 そこから、以下の計算をして下さい。


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     上記の5/105というのが5%での負担額です。これを8/108とすれば、

     8%での負担額が計算できます。





いかがでしょうか、大家の皆さん。“家賃には消費税が掛からないから”、“消費税を納税したことないから”というのは事実ではありますが、それで“大家さんは消費税は関係ない”というのとは別だとご理解いただけたでしょうか?Q9で計算したように、平成3年から毎年、大家さんは“知らず知らず消費税を納税”させられていること、先ずは大家さん自身が認識することが、我々大家さんが政府にモノを申す第一歩です。 




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8つのQ&Aで簡単に消費税・非課税の問題をご説明しまたが、あと2つ、”ありがちな質問”を追記しましょう。


Q9: 大家だって、仕入に関わる消費税は”損金”になっているから、関係ないじゃん。

とんでもないですよ。この”損金”というのは、”所得税 or 法人税”の世界です。私が議論してもらいたいのは、純粋に”消費税”の問題。この手の質問は、ある程度経理が分る方、特に税理士から良く出ます(私も何人もの税理士から同様の説明をうけました)が、まったくの”見当違い”です。

”損金”になるのは、住宅大家も、事務所大家も同じです。消費税の問題は”その後”の問題です。要は、”その後”を考えているか考えていないか、の問題です。


Q10: それでは、落合は家賃も”課税にしろ”というの?今更家賃に5%はもちろん、8%なんて転嫁できるはずがない。

その通りですね。もちろん私は”課税にしろ”なんて言っていません。かといって、消費税税率アップ絶対反対、とも思いません。ただただ、正しい非課税について正しい議論が必要と申し上げているのです。

その議論の対象として、”ゼロ税率”というのがあります。”非課税とゼロ税率”、ちょっと見には同じように見えますが、このゼロ税率なら、上記例でいえば、住宅の大家さんも事務所大家さんと同様5万円のキャッシュが確保でき、更に、入居者様の家賃も10万円のままに出来るのです。この方法、今すぐにやろうと思えば出来るのに、政府は一度も具体的検討にはいったことはありません。