鬼川の日誌 -27ページ目

ガザ戦争200日

  4月現在の世界

 

 

  米議会(下院、上院)でウクライナ支援緊急予算案(約608億ドル、約

 9兆4千億円)がようやく可決された。24日バイデンの署名で成立し第一弾

 として約10億ドルの追加軍事支援が拠出され週内にも兵器の供給が開始さ

 れそうだ。

  英国も過去最大の5億ポンド(約960億円)の追加軍事支援を約束した。

  

  昨年の反転攻勢が頓挫し兵器と兵士の不足からロシアにジリジリと領土

 を制圧され、また防空能力不足からウクライナ全土に対するロシアの無人

 機やミサイル攻撃で損害、犠牲を重ねてきたウクライナにとっては待ちわ

 びた朗報だ。しかし動員は思うに任せず兵士不足は否めずこの軍事支援で

 ロシア部隊を押し戻すことができるとは言えないようだ。

 

  *

 

  イランとイスラエルの報復合戦が泥沼化することは双方とも得策ではな

 いと判断して矛を収める方向にあるようだ。

  これにより外交的な得点を稼いだ格好のイスラエルはいよいよ120万人

 もの避難民でごった返すガザ南部ラファ侵攻の準備を進めている。

 

  23日でガザ戦争開始から200日となった。この日までに南部ハンユニス

 のナセル病院敷地内の地中から少なくとも310人もの遺体が見つかった。

 北部の病院敷地からも虐殺遺体が多数見つかっている。

  ガザ側が発表した戦闘による死者は3万4千人を越えているし、今回のよ

 うに埋められたり、空爆による瓦礫に埋まってる犠牲者は7千人を越える

 ともいわれている。

  それでなくともガザ市民は極限的な飢餓状況に追い詰められており支援

 の手はイスラエルの妨害でなかなか届かない。

  ネタニヤフはどこまでもパレスチナ人の虐殺を続けるつもりだ。

  

  イスラエルでは起点となったハマスの奇襲を防げなかったとして軍情報

 局長が辞任した。だが責任は明らかにネタニヤフにありこれは程のいい身

 代わりに過ぎない。

  イスラエル国内ではこれと人質の解放が進まないことに対して責任追求

 のデモが繰り返されている。

  だが戦時内閣が崩壊すれば、ネタニヤフは刑務所行きは間違いないから

 絶対に責任を取るつもりはなく、戦闘を激化させることに活路を見出すし

 かない。ネタニヤフは自分の権力の延命のためにのみパレスチナ人の虐殺

 を続けているわけだ。

 

  *

 

  円安がとうとう壁と見られていた155円台となった。政府日銀のドル売

 り円買い介入に対する警戒感が高まってはいるものの、今日現在まで踏み

 切れず指をくわえたままのようだ。基調の日米金利差が大きいままだから

 介入もどれだけ効果があるものやら?これでは先々の極端な物価の値上が

 りは必至で我々のくらしはさらに追い詰められる。

 

  岸田政権は政治資金規正法の改正などもやる気はまるでない上、この

 「安倍派の裏金問題」以来のゴタゴタ(安倍派の自民党内での処分でお茶

 を濁す程度の茶番劇)にかまけて肝心の円安対策、物価対策、能登半島

 地震復興の陣頭指揮も放り投げたままである。

  ただ日本の軍事力強化と戦争のできる国への体制づくりを進める事だけ

 は肝腎要と思っているのだろう。

 

  こうした中日本在住の中国人研究者らが中国に一時帰国した後、行方不

 明となっていることが次々と明らかになっている。

  中国籍のハン亜細亜大教授が昨年2月に一時帰国したまま失踪したり、

 神戸学院大の胡教授も昨年夏一時帰国して消息不明になっていることが分

 かってきた。

 

  中国は2014年に「反スパイ法」15年に「国家安全法」を施行し、「15年

 と16年は『国家安全部』内では『国家安全年』と定められ、取り締まりを

 強化した」以降にスパイとして日本人15名を拘束した(21年まで)。

  昨年3月にはアステラス製薬の社員を拘束している。

 

  16年に拘束され6年以上も中国の獄中に繋がれ帰国した鈴木英司さんは、

 40年以上に渡り「日中青年交流協会」の理事長として活躍し、中国の大学

 の教員さらには国家安全部が所管する!「国際関係学院」の教員まで務め、

 むしろ中国側から「日本に帰って大丈夫か」(つまり中国のスパイと疑わ

 れないか)と心配されたこともあるほど典型的な「友好人士」だった。

 

  鈴木さんの場合は彼が日本の「公安調査庁」と接点があったこと(もち

 ろん自覚的なスパイではないのは当然だとしても、うかつにも彼自身はこ

 れをスパイ組織とは認識してない上、どうやら公安調査庁の幹部に大物の

 中国スパイがいるらしく、これに指された可能性がある)、さらに習近平

 が権力を握る上で邪魔な存在となった李克強元首相その他の「共青団」出

 身者、及びその系列の人たちと繋がりが深かったらしいから、であった

 ようなのだ。

 

 # 彼は同じ獄に繋がれた中国人は「習近平体制下の権力闘争の犠牲者」

 だと評価しているのに自分もそれに巻き込まれたのかもしれないとは思っ

 てないようだ?

  しかもこれだけ深く中国に入り込んで権力闘争に巻き込まれたとすれば

 日本の外務省官僚が(「ザマミロ」とは思っても)親身に手を差し伸べて

 くれるはずもないということを少しも思ってもいないようなのが不思議で

 仕方ない?

  またここで暴露された「公安調査庁内にいる中国スパイの大物幹部」に

 ついて、日本のスパイ組織に中国スパイが深く入り込んでいるという話な

 のにマスコミは真相究明に動いているのだろうか?毎日新聞は?

 

  **『中国拘束2279日』(鈴木英司、毎日新聞出版)

 

  鈴木さんの場合に見られるように習政権はこれまでの日中交流協会など

 既成の日中交流の根を絶とうと、その繋がりのある日本人をスパイとして

 拘束し始めた(もちろんこの関係の場合だけではない)ように、今度は逆

 にともかく外国人、外国と繋がりのある中国人をスパイとして取り締まる

 (日本在住の中国人研究者らを標的にする)ことが、情報漏れを防ぎ「国

 家安全」に資するものとしているようだ。

 

  これでは日中関係はメチャメチャになるのは当然なのに岸田政権は強い

 抗議すらしていないようだし、真相を究明しようともしていない。本当に

 何もできないのには呆れるばかりだ。

  

 

 

  

 

  

  

 

 

 

  

中東危機と日本の危機

  イランのイスラエル攻撃

 

 

  14日未明、イスラエルによるイランの在シリア大使館攻撃(1日)に

 対する反撃としてイランはイスラエルにミサイルやドローンなど数百発の

 直接攻撃を行った。イスラエル直接攻撃は初めてだ。

  米英仏軍の協力もありイスラエルはこの99%を迎撃したと発表し、イ

 ランに対する報復を宣言した。

 

  イランの攻撃は米国の参戦を警戒し犠牲者を出さない「限定的な作戦」

 に留めたとしているし、米政権と水面下で交渉しながらだったらしい。

  米政権はネタニヤフに「99%迎撃した」のだからと反撃の自制を求めて

 いるし、米政権の了承なくしてはありえないがイランが前面に出た攻撃に

 対してはイスラエルの反撃は不可避だ。

 

  とりわけイランの核施設へのイスラエルの攻撃が懸念されているし、

 反撃に対してイランはホルムズ海峡の封鎖をちらつかせている。

  またイスラエルはこれを取引材料としてガザ地区ラファへの地上侵攻を

 開始するかもしれない。

  

  しかし双方とも中東戦争に拡大することは得策ではない。イスラエルの

 反撃も「メッセージは送るが死傷者は出さない」「限定的」方法を検討し

 ているとか伝えられている。だがお互いのメンツの張り合いでどう転ぶか

 予断は許さない綱渡り状態にあることは間違いない。

 

  * 

 

  中東危機が深刻化しホルムズ海峡の封鎖という話が出るだけで原油の高

 騰は避けられなくなる。まさにこの危機の中円安が154円台をつけるなど

 留まることを知らない。政府、日銀の口先介入では事態は収まらないし、

 円安を止める気があるのかすら不明。

 

  原油高騰、円安の進行で更なる物価の高騰が避けられなくなる上、春闘

 の賃上げが中小企業に波及することはほとんど望み薄で労働者の実質賃金

 は下がり続けるばかり。エンゲル係数は上がる一方。

 

  庶民の生活がますます脅かされるばかりなのに対策はそっちのけで岸田

 は訪米し、バイデン政権、議会の顔色を伺いながら日米同盟を「かつてな

 い高みに」引き上げることを約束した。

 

  とりわけ自衛隊と在日米軍の「作戦指揮機能の統合」つまり米軍への自

 衛隊の従属化を完成させ、いよいよ米国の世界戦略の片棒を担がされ自ら

 戦争のできる国へさらなる一歩を踏み出すことが明瞭となった。

  自民党政権の対米従属は止まることを知らない。

 

  岸田政権は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費倍増を推し進め、

 特定秘密保護法に続く「経済安保法」なども可決した。

 これは戦争のできる国への転換の流れの一環なのに立民はこれに賛成した。

  まあそんな程度だとはいえ許し難い話だ。

 

  更に東電は柏崎刈羽原発で、異例なことに地元自治体の同意も得られて

 ないまま、核燃料棒の装填を開始し、再稼働の既成事実化を強引に進めよ

 うとしている。

  能登半島地震で原発事故時の避難計画が役に立ちそうもないことが鮮明

 となったのに見直しすらやらないままである。

 

  規制委が作業を許可したわけだが、これは明らかに原発稼働に前のめり

 の岸田政権(&原子力マフィア)の指図に他ならない。

 

  福島原発事故を引き起こし、避難者はほったらかし、事故終息の展望も

 なく(核燃料デブリの取り出しは全くできてないしできそうもない)、そ

 の責任も果たさぬままの東電が原発を再稼働するなど許してはならない。

 

  岸田は安倍以上に日本を危機に引き込むばかりだ。

 

  (補足)

 *核燃料装填早速トラブルで中断

 

  東電は17日、再稼働を強行しようと核燃料の装填を開始したばかりの

 柏崎刈羽原発で「制御棒を挿入する装置の電源が入らなくなるトラブルが

 発生し、作業を中断したと発表した」。15日の作業開始時にも別の装置で

 異常が発生約3時間作業が中断したから、作業3日で中断続き。再開時期

 は未定。原因は分かってない。

  規制委の山中委員長は「安全上の問題はない」と早速手を差し伸べる

 始末で、東電、規制委は本当にどうしようもない。

 

  その17日夜豊後水道を震源とする地震が発生し、愛媛の伊方原発が揺さ

 ぶられた。原発で地震を回避できるところは日本のどこにもない。

 

 

  

 

  

 

  

 

  

 

  

 

 

3ヶ月

  能登半島地震から3ヶ月

 

 

  能登半島地震から3ヶ月がすぎたが、石川県の避難者はまだ8000人以上、

 珠洲市のほぼ全域他5市長村、約8000戸で断水が続いているうえ、仮設

 住宅はわずか900戸弱、被災し倒壊した家屋の撤去が進まないなど復旧、

 復興が熊本地震後の復興などと比較してもひどく遅れている。

  

  岸田政権は自民党の政治資金(裏金)問題の対応に追われ、安倍派幹部

 の処分(安倍派との権力闘争)で精一杯、その他は何も出来ない状態。

  維新の馳知事はむしろ大阪万博の方に顔が向いていて(何やってる!)

 足元の復旧に力を尽くそうともしない、など政府、自治体の後手後手の

 対応で被災者の苦しみが長引かされている。

 

  この地震で(志賀)原発がダメージを受けるとともに周辺の道路が寸断

 され、住民の家屋も倒壊するなど深刻な打撃を受けた。この惨状から大

 規模地震による原発事故の場合、これまでの避難計画が全く絵に描いた餅

 で役に立ちそうもないとことが露わになった。

 

  しかしとんでもないことに原子力規制庁は避難計画を見直すことを拒ん

 でいる。見直しは日本のすべての原発事故対応に波及せざるをえないから

 であり、更にはこの地震国日本ではどこの原発であれ福島原発事故並みの

 深刻な原発自体の破壊を想定せざるを得ず、原発稼働はありえないことに

 どうしても行きつかざるをえない、これを隠蔽するためである。

  規制庁とは名ばかり原子力マフィアどもの手先で推進庁でしかないこと

 は明白、これは許し難い。

 

  *

 

  ガザ

  イスラエルによるガザ市民虐殺がもう6ヶ月になる。ガザ地区はあら

 ゆる場所に空爆が繰り返され、メチャメチャに破壊し尽くされ市民が殺

 され続けている。

  そうでなくても死者が増え続けているのにネタニヤフは100万人単位の

 避難民でごった返すラファ地上攻撃の構えを崩してない。

 

  イスラエル軍はガザ住民を支援するNGOの人たちも襲撃し殺害してい

 るため、支援物資の搬入が一層困難となり、住民の飢餓がますます深刻化

 している。住民のほとんどが飢え病気になりとりわけ多くの子供達が死ん

 でいる。ネタニヤフはガザ全住民を殺すつもりなのか。

 

  イスラエルではネタニヤフ政権に対する退陣要求の数万人のデモが敢行

 されているのだがネタニヤフを引きずり下ろすまでにはなっていない。

 

  さらにイスラエルはシリアのイラン大使館に対する空爆でイラン革命防

 衛隊の幹部らを殺害した。ネタニヤフは国際的なガザ虐殺に対する批判を

 そらすためにも戦火を中東全域に広げるつもりのようだ。それができるの

 も、米国のイスラエル支援が揺るがないと分かっているからだ。バイデン

 への非難が高まるのは不可避で事態は混迷を深めるばかり。

 

  ウクライナ

  ウクライナではロシアによるミサイルやドローンを使った攻撃がむしろ

 このところ激化している。東部ドンバス地方では人的損耗を考慮しない

 攻撃でロシア軍がジワジワと前進しているといわれている。

  欧米の支援疲れからウクライナ軍には武器弾薬が不足している。

  茶番の「大統領選挙」で圧勝を演出し、国内の反戦運動などを徹底的に

 弾圧してきたプーチンが強気の攻撃を強めている。

 

  (しかしナワリヌイの葬儀には数万の市民が公然と駆けつけたし、動員

 されたロシア兵士の妻たち、母親たちが「プーチ・ダモイ」(我が家へ

 の道)と名付けたネットワークを立ち上げ、夫や恋人、息子を返せと訴え

 ているという。当局の圧力に怯えながらも今や「プーチンの戦争」を公然

 と批判するようになってきているそうだ。)

 

  戦争が長引きウクライナもロシアも兵士不足が課題となっている。

 ウクライナは徴兵年齢を27才から25才に引き下げたし、ロシアは15万人

 を新たに徴兵する大統領令を出した。戦争の行方は全く見えない。