沖縄とガザ
沖縄の危機
沖縄県で米兵による性的暴行事件がまた明らかになった。在沖縄米海兵
隊員が5月に逮捕され起訴されていたのに、県警は公表していなかった。
3月にも米空軍兵が少女に対する性的暴行で逮捕起訴されていたことが
6月25日に明らかになり、これも3ヶ月も県側に知らされてなかったこと
が大問題になっていた。二つとも地元メディアの独自報道で暴露された。
直接的には6月の沖縄県議選への影響、続く23日の沖縄慰霊の日に米軍
基地への反発が強まることを恐れて政府が意図的に隠蔽したのは明白だ。
特に県議選の前に度重なる米兵による性的暴行事件が暴露されていれば、
県民の怒りは沸騰し、普天間飛行場の辺野古移設阻止を掲げる玉城知事派
が大敗することはあり得なかった。岸田はしてやったりとほくそ笑んで、
慰霊の日の式典に出席したのだから許し難い。
また沖縄、南西諸島の急速な軍備強化、軍事基地化が強硬に押し進め
られている。県民は沖縄戦の悪夢を如実に思い出さざるを得ない。
*
都合の悪いことの揉み消しには素早く動くのに、岸田政権は急進する
円安に対しては口先介入ばかりで何も出来ないでいる。現在時点で160円
台を軽く突破し161円台ととんでもない急落であるにもかかわらず。
日米の金利差をどうすることも出来ない(米国の利下げが遠のき、かと
いって日本の金利を上げることは出来ないでいる)以上、一時的な介入
で少し戻しても円安基調を変えることは出来ないとお手上げ状態だからに
他ならない。
またその足元を見すかされて更に円が売られる最悪の循環となった。
基本は低迷する日本経済に対する日本売りの攻勢に岸田政権が完敗し
ているということだ。これでは先々も必至の物価の高騰に我々庶民が
呻吟するしかない。本当に冗談ではない。
*
5月29日原子力規制委員会は来年で40年となる高浜3、4号機の60年
までの運転延長を認めた。延長認可は7、8基目。
高浜原発1号機は49年、2号機が48年。高浜原発ではこのまま稼働が
続けば使用済み核燃料が3年で原発内のプールが一杯になる。
更にこの26日大飯原発3、4号機の30年超の運転を認可した。大飯原発
も周辺にある美浜、高浜原発と共に使用済み核燃料の保管が苦しい状況
にある。保管プールが後3、5年で一杯になる。
更にこの3原発は大飯と高浜が10数キロ、大飯と美浜が30数キロ、しか
離れていない。老朽原発の集中地域であり、地震による同時多発事故の
リスクが非常に高い。まさに気狂い沙汰以外の何ものでもない。
原子力規制委は岸田(原子力マフィア)が直接認可するのではないと
体裁を取り繕うだけの仮面にすぎない。
*
23日、ネタニヤフはハマスに対する「激しい戦闘の局面はまもなく終了
する」とし、ヒズボラとの戦闘に備えて「その後部隊をイスラエル北部に
展開する」と表明した。ラファでの作戦が大詰めを迎えているという。
もちろんハマス掃討作戦は継続すると強調する。
この間ガンツ前国防相が戦時内閣を離脱し総選挙を要求しており(その
後戦時内閣は解散した)、イスラエル軍の報道官が「ハマス壊滅」のお題
目は不可能と公然と発言し、軍内部での軋轢も表面化していた。
また米国側と武器の支援をめぐって不満をぶちまけるなど、和平交渉
を巡り米バイデンとの対立も顕となってきた。
ネタニヤフはあくまで「ハマス壊滅」ガザ「再入植」を求める極右派と
ガンツなどとのバランスをとりながら、ガザ統治に関してはガザ再占領に
反対し和平交渉を求める米国に対する配慮、「恒久停戦やイスラエル軍の
ガザ撤収」を求めるハマスとの間接交渉という、極めて危うい綱渡りを
強いられているのは間違いない。
しかしこの綱渡りが続く限りガザ市民の虐殺、極限的飢餓状態が収まる
ことはないのだ。
*
ウクライナではロシア軍のウクライナ市民の居住地やインフラを狙った
ミサイル攻撃が相変わらず執拗に続けられている。プーチンは不足する
砲弾、武器を北朝鮮から大量に調達することに成功したし、米大統領選で
トランプが勝利することに期待をかけている。
米国大統領選挙はヨレヨレのバイデンと大嘘つきのファシストトランプ
の一騎打ちという惨めな状態で、バイデンの耄碌ぶりが暴露されて民主党
は窮地に陥っている。トランプの米国では今よりマシになることはあり
得ない。「もしトラ」は世界の混迷の引き金になる。
また先のEU欧州議会選挙では現在の委員長フォンデアライエン率いる
主流派が一応の過半数を占めたが、移民の排斥、E U懐疑論を主張する
極右政党が各国で躍進した。イタリアではすでに極右メローニが首相だし、
とりわけフランスでルペン率いる極右国民連合が与党に圧勝した。
これに対してマクロンはフランスの下院を解散し総選挙という賭けに
打って出た。極右への危機感を煽りマクロン政権の浮揚を狙ったものだが、
危険な賭けと言われている。(第1回投票が30日、決選投票が7月7日。)
EUでは移民の急増や先駆的な環境政策に不満を抱く市民の受け皿として
極右が存在感を強め、今やニューノーマルとなりつつある。移民の増大で
生活を圧迫される市民や、環境政策の農薬の使用規制で生産性が落ち込む
と不満を抱く農家など、総じて自分の生活防衛第一、「自国第一主義」に
便乗しているにすぎないのだが、それに代わる政策をこれまでの政党が
打ち出せてないからだ。E Uもトランプの二番煎じに負けている。
どう見ても世界は混迷を深めるばかりのようだ。