円の国際価値最低へ
実質実効為替レート
今1ドルは158円の後半、159円に近い水準まで円安が進んでいる。
少し前まで考えられもしなかった水準だ。これでは今後も物価の高騰が
恐ろしいほど進むのは間違いなく、しかも円安に便乗した「強欲イン
フレ」がこれに拍車をかける。
賃上げはこれに少しも追いつかず、実質賃金が下がり続けて恐ろしい
ことになっている。
しかも政府日銀は米国の利下げが見送られることに対しても、腹立た
しいほどの鈍い反応しかできず、円安に拍車をかけるばかり。実際何か
手を打つにも打てないのだから何をか言わんやだ。
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この一般的な為替レートとは異なり、主要国の物価上昇率や貿易額と
いった経済指標を考慮して通貨の総合的な実力を表すものを「実質実効
為替レート」という。
20日国際決済銀行(BIS)は円の実質実効為替レートが20年を100と
して24年5月は68・65となり過去最低を更新したと発表。米国ドルは
109・58、ユーロは102・11、人民元は91・12だった。
日本円の国際的価値が低落し続けているというわけだ。
海外と比べ物価や賃金の伸びが鈍いこと、長引く円安が要因で、ピーク
の1995年4月(193・97)の約3分の1まで落ち込んでいる。
70年代前半(1ドル=360円の固定相場制の時)より低い!ことになる
そうだから驚く。日本経済の疲弊、低迷を表している。
(失われたのは30年どころではなかった。)
CF 「東京新聞」