コロナ対策があたりまえの社会って、実は、これからの人口減少社会にも適合してる。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

先日、ある人から質問されました。

コロナで大変ですが、この後の社会はどうなると思いますか?

 

ふーむ。

(1)インフルエンザと同じ扱いにして、以前と同じ社会に戻る。

(2)人と人とが接触できない社会になる。

の、どっちかでしょうねえ。

ちなみに、「ワクチン」ができれば、全く問題ないと思ってる人がいるようですが、

たとえば、インフルエンザは、ワクチンは有効ではない場合があります。

また、インフルエンザ特効薬と言われる薬が2000年頃から沢山出てきていますが、
それでも、毎年多くの人が亡くなっています。
ですから、コロナウィルスの感染症は、たとえワクチンができたとしても、
「なかったこと」に、なるはずもありません。

(1)の場合は、コロナ前の社会のまんまです。

コロナを特別扱いしなくなれば、ぐっと楽になる人達が沢山いるでしょう。

(インフルエンザが流行ってるときに、机や椅子を全部消毒・・・なんて、してないですもんね。ノロウィルス発生後はやってるかな?)
ただ、いままでどおりの日本に戻ってしまうと、そのあとが大変なんだけどね・・・。

(最後まで読むとわかる。長くてごめん。)


(2)の場合は、これは、社会構造が変わりますね。
現在の状態でも厳しいけど、とりあえず何とかなってるのは、

国が莫大な補助金でサポートしているからです。

でもそれは、コロナ以前の社会がおさめた税金によるものです。

来年の税収は、ものすごく落ち込みます。

普通に考えたら、様々な福祉制度の原資も厳しくなるはずです。
大学も、いま、ほとんどの学校が登校できていないと思いますが、

それが「このあともずーっと」だとしたら、どうなるでしょう。
今年就活している人は大変かと思いますが、それが、「これからずーっと」になるかも。

地方の人達は、都会ほどシビアな影響が出ていないケースもありますが、

国の収入が激減するなら、地方交付税自体が減る可能性も十分にあります。

まあ、僕としては、(2)の方が、昭和を引きずる日本システムが

変化する可能性があっていいなあ、と思っているのですが、
経済的にはものすごい影響があるのは間違いないです。

 

僕だったら、東京などの都市部を離れます。
だって、人の頭数をあてにしたビジネスが不成立になるなら、
人が多いところにいる必要がありません。
そして、都市部は、なんといっても固定費が高いです。
企業(にかぎらず、個人でもね)の経営は、収入と支出の足し算引き算にすぎません。
支出を減らせば、収入が減っても大丈夫。
地方に移転して、利益率が高くて、単価が高いものを、数少なめに提供する。
というビジネス形態であれば、人と人との関わりが困難な社会でも、
なんとかやっていけるのではないかと思います。

利益率を上げるためには、「競合」がいないことが重要です。
そのためには「困難」と「不採算」に立ち向かえばいいです。
なぜなら、「困難なこと」と「不採算なこと」は、誰もやりたがらないからです。

また、高いものを買えるお客さんを獲得することも大事です。
それは、「金が余ってしょうがない」人ではなく、
「ものの価値を理解できる人」「価値を増やす努力ができる人」です。
また、提供する製品やサービスが、「消費して終わり」のものではなく、
「価値を失わない」もしくは、「価値を生み出す」ものであると、
さらに利益率を上げられます。

実は、これらの対策は、人口減少社会にも適したものです。
いまでさえ、人口減少の影響が出ていますが、まだまだ序の口です。
あと5年もしたら、今以上に人口減少の影響が強くなります。
今回のコロナウィルス感染症は、それをすこし早めに体験させてくれているようなものです。
 
かつて、植松電機は、自動車電装品修理業をしていました。
しかし、修理という仕事は、部品を丸ごと交換する、という方法の普及によって、
目の前で消えていきました。
そのため、仕事が減って、ヒマになりました。
そのヒマを使って、リサイクル用のマグネットの研究をしました。
 
いま、コロナウィルス感染症の影響で、仕事がなくなって、ヒマになってる人も、
ある意味、チャンスの真っ最中ということです。
このヒマ(時間)を使って、新しい時代に適合した仕事を研究することができれば、
成長していくことができます。
そのときに必要なのが「学ぶ」です。

いままでの日本では、誰かがやって成功していることを、パクってやったら成功しました。
なぜなら、人口が増えていたからです。
ですから、新しい仕事に挑戦!とか言っても、
実は、誰かの成功ケースをおぼえるだけのことで十分だったのです。
言うなれば、「成功ケースを教えてもらって、おぼえればいい」状態でした。
攻略本を読んで、おぼえればよかったのです。
だから、日本の教育も「教えてもらったことをおぼえる」になっていました。

しかし、人口減少社会では、誰かがやってることをやったら、
価格競争になって、安い方が選ばれるだけです。
これでは、資本力があり、固定費が安い相手に勝てません。
いまや世界はグローバルですから、土地や人件費が安い国に、日本は勝てません。
人口減少社会では、「いままでになかったこと」をやるしかないです。
そのときに必要なのが「学ぶ」です。

それは、たとえば、自転車に乗れなかったのが、乗れるようになるときの努力に似ています。
泳げなかったのが、泳げるようになるときの努力にも似ています。
やったことがないことに挑む。うまくいかない。
だから、沢山考えて、工夫して、できるようになっていく・・・。
 
要するに、僕らは全員、それを経験済みだと言うことです。
だから、いまからだってできます。なんたって、経験者ですから。

実は、最初に書いた
(1)インフルエンザと同じ扱いにして、以前と同じ社会にする。
だと、コロナ対策をしなくてよくなりますから、人口減少社会への対策もできません。
それは、結果的に、コロナ以上の経済的打撃につながると思います。

だから僕は、個人的にはコロナへの過剰な不安や対策には疑問を感じていますが、
コロナで大騒ぎしている状態の方が、日本は新しい時代に対応出来るようになって
いいなあ、と思っています。
 
さあ、都会にある企業のみなさん。
北海道いいよお。土地は安いし、暑くないし。
今日は赤平市は最高気温24度だよ。夜には13度になるらしい。って、暖房必要?
ちょっと冬は寒いけどね。サーバーやスパコンにはいいんじゃない。
余ってる工業団地も、まだまだあるよ。
 
これから先、間違いなく、人口急減少社会になります。
これは、耐えていたら春が来る、というものでもないのです。
余力があるうちに次の手をうたないと、何もできなくなります。