フライトの乗り継ぎでラウンジで時間があったので前回に続いて日本では余り聴かない「詐欺師諸侯群(impostor syndrome=インポスター症候群)」について少し解説しましょう。
インポスター症候群では最近ミッシェル・オバマ元大統領夫人がイギリスの後援会で自ら「自分はインポスター症候群」と明かしたことで欧米では結構話題になりました。
wikipedia によると
インポスター症候群またはインポスター・シンドローム(英: Impostor syndrome) は、自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる。
能力の高い人々は、自分が偽物であると人から思われたくないがために、熱心に働く傾向がある。その勤勉さの結果、人から賞賛を受けたり、成功につながるのだが、それがますます自分に対する偽物意識を高め、人から目立つことを恐れる。彼らは通常の人の2倍から3倍量働き、準備をし過ぎたり、詳細に至るまで考え詰めたりするので、燃え尽き症候群や睡眠不足に陥る。
このインポスター症候群は特別な人間だけに見られるものではなく、誰にも見られる可能性があるとても身近なものです。それゆえ、もしかしたら周りの友人や同僚、先輩や上司、家族の仲にいる可能性が考えられます。ひょっとするとこれを読んでいるあなた自身がそうである可能性があります。
それでは、このインポスター症候群とはいったい何でしょうか。
簡単に言えば、自身に対する自己評価が著しく低く、自身が達成した成功や業績、得た結果などに対して、周りの人間からの高評価を頂いても、自分自身受け入れられない心理状態の事です。
例えば、ある人がメインでやっていた仕事が何か大きな業績をもたらした時に、周りの同僚や上司は当然その人に「よくやった」、「さすがだわ」、「やっぱりすごい才能の持ち主だな」などと高評価を与えます。
普通は大喜びするのでうが、この他人からの評価を受け入れられず、「いえ、これは皆さんのおかげで、私一人だったら絶対無理でした。周りの人と、あとは単に運が良かっただけで、私の力なんてこれっぽっちも役に立っていません。」と本気で思ってしまう事なんです。
どんなに素晴らしい結果を残したり、素晴らしい仕事をやってのけても、決して自分の力ではなく、「謙遜」などではなく、心の底からそう信じ込んでいます。
なぜ「impostor=詐欺師」と病名が付くのか?どんなに仕事や社会で経験や実績を積み上げてきたとしても、自身に対して自信を持つどころか、このキャリヤや今の立場はすべて偽りのもので、周りを騙しているものだと感じて、「自身は詐欺師なんじゃないか」と不安に思ってしまうから来ているようです。
また、一般的には男性よりも女性の方が多いとも言われ、社会的にはより高いキャリアを持つ人ほど陥りやすいとのデーターもあります。
このインポスター症候群になる原因には、個人の心理的な側面と環境などの外的要因という側面の2つが原因とされています。
まず、個人の心理的な側面としては、自身の実力にまったく自信を持てずにいる事にあります。
こんな実力のない自身が評価されたりすれば、周りの人たちから疎まれてしまう、自身への称賛の言葉を信じれず、きっと心の中では「あんな何もできない人がこんな結果を出せるわけがない。きっと汚い手でも使ったんだな」と他人に思われていると思い込み不安になります。
こういった自身や他人に対する不信感や不安感情が大きい事が原因である場合があるのでしょう。
続いて、外的要因に関してです。
諸説ありますが育って来た教育環境が影響している場合が考えられれます。
例えば、一つの作業や勉強に対して、それまでの過程(プロセス)などよりも、結果(リソルと)を重視した教育環境下で若年期をおくったことがあるか?
その人の過程や経験などではなく、どんな経緯があろうと関係なく、単なる「結果」だけを評価されきた耐性が原因です。
難しい表現になってしまいましたね?
具体的に言うと、自己評価が低い人々は自身の実力に対して常に不信感を持っています。
一般的には彼らの自己評価を高めるならば、どんな結果であろうと「何をして、どんな風にやってきたか」という「過程」を重視する事が重要で、少しずつでも自信を持たせる事ができますが「結果重視」になると、その人がどんな事をやってきたか、どれほどの実力を持っているかなどはほとんど見ずに、現れた結果だけを見てその人を判断します。
それゆえ、本当にそれは自身の実力なのか、たまたま運が良かっただけ、何を頑張れたのかわからない、といった状態になり、余計に「自身の力ではなく、結果だけが良かっただけなんだ」と思い悩む日々が続くように・・。
詐欺師諸侯群は女性の方が多い傾向にある原因としては、ここ2,30年で世界的にも女性も社会で活躍するべきだという思考が広まった時期がありますよね?仕事でも男性だけでなく女性もその才能や実力を発揮して、多くの女性が活躍する世の中になりました。
しかし、中には大企業の場合上辺だけの役職だけであったりして「本当に自身の実力なのか、もしかしたら世間的な流れで私を評価しただけなんじゃないか」と考える女性も多かったの事も事実で「実力」で評価されたのか、「世間的」に評価せざる負えなかったのか、と悩んでしまう事が原因のようです。
最後にあまり聞きなれない病名でもあり、日本では知られていませんし、自覚することも難しい病気です。
特に日本で最近話題になることが多い「パワハラ」の遭遇者など世界中にこの症状で苦しんでいる人がいます。
たとえ、自身がそうでなくても、身近にこういった方々がいる可能性が考えられます。
彼らに対してしっかりと心の底からそれは「君自身の力なんだよ」と言ってあげましょう。