アフリカには国連安保理の制裁を破っている国々がいくつかあるが、そこには中国の影が見え隠れする。
西側とはあまり関係を持っていないアフリカの国々も、中国とは強い経済的なつながりを持っていることが多い。
特にモバイル網に構築においてアフリカ諸国の中には西側の融資が受けられない場合が多く、そんな区へ今話題のHUAWEI、ZTE中国ブランドを貸し付ける形でネットワーク網の整備を行ったことも中国の影が大きくなった要因だ。
一般的に、制裁を破った国は被る経済的損失が大きい。
しかし制裁を履行しようとするにも、その国のメジャーな取引先は中国であり中国は完全な制裁は履行しない。
ゆえにアフリカの国々は制裁を破っても中国から報復はないことをよく知っており、制裁を恐れる必要はない。
ただ最近、中国が緩やかだが制裁を厳しく実行し始めると、ウガンダやスーダンのような中国に近い国々も同じように厳しい制裁に舵を切り始めた。
ここからは、制裁という観点においても、中国がアフリカの先導役を果たしているとみることができる。
次に、北朝鮮とアフリカの国々の関係を具体的にみてみよう。
エジプトとの関係は古い。金日成首相は反アラブ主義ナショナリズムの強力な支援者で、1950年代の第2次中東戦争の時、イギリスとフランスに抵抗したエジプトを賞賛している。
この関係は、1973年の第4次中東戦争の時、直接的な軍事パートナーシップに発展した。
そこでは北朝鮮のパイロットたちがエジプト空軍の兵士を訓練し、彼らの飛行機も運用した。
これに対してエジプトは北朝鮮へ経済発展のための投資をした。例えば、エジプト企業は北朝鮮の携帯電話事業に投資している。
米国は昨年8月、エジプトへの支援停止を発表したが、私はトランプ政権が明らかにした公式の理由である人権問題よりも、背景には北朝鮮との関係があるとみるのが正しい。ただ、北朝鮮との関係が米国との関係を増悪するようなら、エジプトは北朝鮮から距離を取り始めると中東専門家はみている。
歴史的に北朝鮮はロシアと中国を上手に手玉に取り、両国を互いに競わせることでは名人だ。
そこから援助を最大化しようとしている。中国は時には1983年のラングーン事件の後、あるいは冷戦崩壊直後の数年のように北朝鮮向けの援助を減らしている。
ロシアにその資源が足りないと気づいた時にかぎって支援してきた歴史がある、あるいは国としての安定や生き残りの為の支援をいかにも保護者として援助を増やしてきた。
北朝鮮のロシアへの求愛は、同じような長期的な戦略を目指しているのだと考える。
多くの人が、2014年のクリミア併合にともなって西側からプーチンが孤立したことで、北朝鮮とロシアの関係が次第に強まっていったと結びつけて考えるが、同じように、北朝鮮とロシアの友好関係を前に進める重要な要素が、2013年に習近平が権力を握ってから後の中朝関係が悪化した。
このように特定の分野におけるロシアと中国の提携から利益を得てきた。両国の協力を促すことの合わせ技だ。ロシアも中国もともに、北朝鮮の長年の目的である米韓合同軍事演習の中止を支援してきた。
そして、米国による体制転換や軍事攻撃に反対してきた。
一方で、ロシアは対立の中で仲介役になろうと北朝鮮との関係をつくってきたし、中国は究極的には北朝鮮の将来への影響力が強くなる事を切望している。
西側と比べて中国による制裁履行さらに限定的なり、制裁効果が出ない状態が後数年は続くとみられている。
こうやって見ると北朝鮮は日本の外交より合理的であり理想とまではいかないが良い結果を生んでいる。
日本の多くのメディアは北朝鮮を「狂っている」「自殺的だ」と報道するが、欧州の政策立案者の間では、北朝鮮は「合理的で戦略的」に振る舞っているというのが決まり文句だ。自国生存のために30手先を計算してリスクを取っていることを私たちは見逃している。