3日目
暴動三日め。夜の十時ちょっと前に到着。けっこう雨が降っていて、すでに多くの人たちが帰っちゃったみたいだったのですが、機動隊は昨日より多いみたいで、いたるところ道路を封鎖してました。
それでも西成署の前にはパラパラ人が残っていて、機動隊に罵声を浴びせていました。知人が教えてくれたところによれば、夕方からけっこう激しくやりあって、どうやら先ほど怪我人がでて救急車で運ばれたとか。そうとう重傷だったのか、それとも死亡したのかどうかはわかりませんが、何人かの口から「人殺し」の声が飛んでました。
「人殺し」と叫ぶ男性
「警察署の横でヤクザが覚醒剤を売ってるのは目ぇつむってるくせに、俺らが自転車に乗ってるだけで警察は泥棒扱いしてボコボコにしよる、ほんまに許せんわ」。
と話しかけてきた労働者風のおじいさんが愚痴ってました。
雨が強くなり人数が減ったあたりで、それまでどこにいたのか私服警官がぞろぞろと乗り込んできて、「雨が降ってるから帰れ」とよくわからない理屈で、人々を追い払ってました。 まだ続きそうです。
あまり新聞やテレビが取り上げないのが不思議です。なぜか産経新聞だけ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080616/crm0806160000000-n1.htm
Riot
13日、とうとう起こりましたね。西成で。ほぼ20年ぶり。昔は石井ひさいちの漫画に、主人公が暇つぶしに釜ヶ先の機動隊に石を投げに行くなんてシーンがありました。でも労働者の高齢化と日本全体の管理強化の流れのなかで、もはや起こらないかとあきらめていたのですが、やはり大阪。まだまだ捨てたもんじゃないですね。
たまたま阪神間にいたので、午前中に用事があったにもかかわらず、誘惑に負けて、暴動一日めの翌日の西成に早朝に寄っていきました。すでに沈静化してましたが、朝七時前だとういうのに警察署の前には何人もの労働者の人たちがいて、事件の解説をしてくれました。私が話を聞いた人たちは、みんな新聞が正しく伝えていないと憤ってました。
「今晩あたりがヤマやな。夜になったら是非もっかい来なよ」
ということで、労働者の人たちになぜかモーニングをご馳走になりつつ(こちらに払わせてくれなかった)、用事があったので後ろ髪を引かれる思いで仕事に出かけました。いや、ほんと皆さん親切でした。
そして夜もう一度出かけてみると、やはりたくさんの人だかり。それと同じくらい多くの機動隊がずらっとあいりん地区を取り囲むように待機していて、警察署の前で機動隊と衝突してました。
500-600人はいたかな?
しばらくすると放水車が登場。といっても、こけおどし程度で、人々から「小便小僧!」と冷やかされてました。
何人か知人がきていたので、いろいろと話し込んだのですが、あまりに睡眠不足が続いているので、日付が変わる頃には帰りました。サミット開催というタイムリーな時期でもあり、海外のメディアもけっこう来ていて、どんなふうに報道されるのか楽しみです。ちなみに日本のメディアはほとんど何も伝えてないですからね。警察発表そのまま伝えるだけ。しかも、彼らは機動隊の後ろの安全なところから撮影してたみたいです。
今回の暴動の解説は、私より詳しい人たちがたくさん書いているか、あるいはこれから書くでしょうから省略します。いずれにしても、暴動の背景にある社会的矛盾は、一般市民社会とは無縁の問題じゃなくて、ほんとうは日本人全員に降りかかってる問題なんですよ!
納本
先日お知らせしたマウリツィオ・ラッツァラート「出来事の政治学」(村澤真保呂・中倉智徳訳、洛北出版)、2800円の印刷があがり、完成本を出版社より送っていただきました。
いろいろと苦労もありましたが、できあがりをみて感慨もひとしお。共訳者の中倉氏、出版社の竹中氏には感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし、後悔もあります。印刷にまわってからゲラを読み直してみて、自分が書いた訳者解説の一部にけっこう恥ずかしい間違いがあるのに気づきました。修正をお願いしようと思いましたが、すでに遅し・・・(泣)。
p.372 11-12行目
- 誤 「情報」と「コミュニケーション」
- 正 「コミュニケーション」と「表現」
です。何度も修正しているうちに漏れたようです。まあ本文の誤りではないので、とくに大きな問題はないと思いますが・・・。
出版に関連して、ふたつの企画があります(詳細はこちら )。
6/22 18:00- 三条ラジオカフェ ラッツァラートを囲んで討論会
6/23 14:00- 立命館大学 討論会「労働・雇用・保証のオルタナティブ」
しかし、このところ休みがないので週末の引率の疲れがなかなか取れない・・・。
実習
一年生の実習に、また一泊二日で宮津に行ってきました。昨年と同じルートですが、ちょっと行く先が増えました。
最初に伊根湾に行って、舟屋めぐりの観光船に乗りました。舟屋をみるはずなのに、学生は群がってくるカモメに「きゃーきゃー」言って、餌をやるのに夢中でした。
次に養老漁港に行き、漁師さんの案内で沖にある定置網の見学に船を出してもらいました。その後、漁業についてレクチャーを受けました。
夕食後、いつもの宿のしおぎり荘で地元の方にレクチャーを受けました。
翌日は、地元のNPO「里山ネットワーク世屋」の方に、上世屋村の案内をしていただきました。村の人たちともお話しながら、もはや16戸しか残っていないこの村でどんな取り組みがされているかを教えていただきました。いや、ほんとうにきれいな村で、学生たちも「トトロの家みたい」と口々に話していました。
その後、昼飯とおみやげの購入がてら天橋立の展望台に寄りました。
昼食後、宮津市内の飯尾醸造にて酢づくりについて飯尾社長から直々にレクチャーしていただきました。その後は恒例の試飲会です。
試飲会
けっこう忙しいスケジュールで、これまでで一番まじめに旅程を組んだような気がする。家に着いたら、飯も食わずに布団に転げ落ちるように眠ってしまいました。
取り調べ
日頃の行いがたたって、とうとう警察で取り調べを受けることになりました。
お許しください、お代官さま
というのは嘘で、龍谷大学矯正・保護研究センターで本日発足したソーシャル・インクルージョン研究会で発表を終えて一休みしているあいだに、センター内の施設をみていると取調室があったので、院生の人に撮ってもらった写真です。
矯正・保護研究センターというのは、非行少年の社会復帰を支援する施設で、そのなかには模擬裁判用の法廷や接見室、取調室などがあり、見学していてなかなか楽しいところでした。
発表は、昨年翻訳したJ.ヤング著「排除型社会」の内容を紹介し、それにコメントをくわえるという簡単なものでしたが、刑法研究者と犯罪学者、院生が並ぶところで門外漢が話すのは、さすがにちょっと緊張しました。それでも皆さん和やかに聞いてくださり、活発な意見交換がおこなわれました。
先生方も学生さんも活気があり、こちらもおおいに勉強になりました。というより、研究内容や人間関係も含めてかなり重なるところがあり、同じ大学にいながら、どうしてこれまで互いに知らない間柄だったのか悔やまれました。考えてみれば、精神病理と犯罪学ってかなり重なるところがあるし、最近の仕事でいえばタルドにしても犯罪学者でもあったのだから、当然といえば当然なのですけど。
夕食までごちそうになり、ありがとうございました。