週末が近づいてくると
日曜日にはどんなものが手に入るか、という期待ばかりが膨らんでくる。平日の食材は、あらかた無くなっている。ヌカヅケの材料と、豆腐くらい。今日は、とりあえず、ナスと高野豆腐を煮びたし風に仕上げて、タッパーに放り込み、冷蔵庫へ。舞茸と椎茸は残っているから、これを炒めて。
とりあえず、ウィークデイはしのげそう。煮びたし風は、ナスで、ということで、千切り生姜を加えて煮てみたが、結構グッドアイデアで、高野豆腐にもこの風味はあうようだ。
しかし、前回、天然の鯛に出会ったせいで、達成感が大きすぎ、今週末はどんな魚を食べたいか、思い浮かばない。同時に食したメジマグロがあまりに見劣ったせいで、見つけても買う気が起こりそうもないし。そういえば、あの日は、黒がれいのいいやつも、おおぶりの切り身がふた切れで、680円であったんだよなあ。あんなのを煮付けたら、さぞかし美味かったろう。
でも、そんな僥倖は2度とはないわけで。まあ、あと二日、草食動物に徹して、日曜日を待ちわびるとしよう。
蕗の含め煮
この季節に筍とならんで美味しいのが、蕗の含め煮。やはり、独特の風味と苦味を持った山菜で、今では愛知県を一大産地として、栽培されている。
これは、筍とちがって、八百屋さんがアク抜きして売っていることはないので、自分で抜かなければならない。鍋に入る大きさに切った蕗をゆで、箸でつまむとしんなりと真ん中からカーブを描くくらいまで加熱する。水にとって冷ましてから皮をむき、タッパーなどに水を張った中にいれて、冷蔵庫で保存。好きなときに含めることができる。
葉は、かなりアクが強いから、長めにゆでて、一時間くらいは、水につけておく。これは、小さく刻んで煮しめにする。煮しめ、というのは、煮出汁がなくなるくらいまでつめること。いわゆる佃煮のようになるが、この蕗の葉の香味は鮮烈かつ強烈で、煮しめても激しく自己主張している。こちらは、ご飯のおかずに最適。
通年農産物の氾濫している現代において、春ほど季節を実感できる食物のあふれている季節はないんじゃないだろうか。
ボイル筍と同じで、水煮としてパックされている蕗もあるにはあるが、食感、味ともに、やはりさえないうえに、着色料などの添加物が豊富に使用されているので、買わないほうがいいと思う。
待望の筍含め煮
ようやく近場のものが出始めた筍。毎年、お店であく抜きしたものを売っているお店で、「ゆでた筍はないですか」と聞くと、「ありゃあ、中国産だから美味くない」の一言。「毎年、ここであく抜きしたの、売ってるじゃないですか」
「ああ、まだ、出たばかりで高いからやってないの。来週にはやるから」
筍の不便なところは、生のものを購入すると、あく抜きに時間がかかり、その日のうちに調理するまではいたらないところ。もっとも、朝早くに購入すれば別だけど。
というわけで、別の八百屋をまわる。一軒みつけて、即購入。「すぐ、使えますから」の一言がうれしい。
早速、皮をむいて、厚めに切って、薄く味付けした出汁の中に投入。中火にかけ、ふいてきたら弱火で20分くらい煮る。もれてくる香が鮮烈で、この季節がきたんだ、としみじみ思う。火をとめたら、そのままさまして、味を含ませてできあがり。小鉢に盛って、もどしたワカメをそえて、完成。
かぶりついたときに、中からじゅっとでてくる独特の風味。こたえられません。
もちろん、温めてたべてもいいですよ。
桜鯛
そもそも、天然の鯛にめぐりあえるチャンスは、相当高級なお店にでも出かけなければ無理だと思ってた。田舎にいた頃は、釣りを趣味にする叔父が年に何回かは釣り上げることもあって、小ぶりなものではあったが食す機会もあったけれど。 そんなことを思いながら、例のスーパーの鮮魚売り場に向かう。メジでもあればいいな、くらいに考えながら、ひとまわり。目標のメジは鰹と一緒にならんでいた。腹身が680円。これは買いでしょう、とかごにいれる。さらに白身を売っているコーナーに。そこには、なんと、鯛、天然、の文字があるじゃないか。しかも、100グラムあたり、600円くらい。キロあたり6000円になるから、まあ、市場での価格からすると妥当なところ。少々、値は張るが、いいや、とこれも購入を決断。だって、次があるかどうかわからないものだもの。
これのアラがあったら是非欲しいと、アラの並んでいるところを物色。ところが、養殖物の黒っぽい頭しか見当たらない。ひょっとして、だまされた?と、また、白身売り場に引き返す。買うのをよそうか、ともどしかけたところ、養殖物のサクも目の前にあることに気づく。にごったような白い身、血合いの部分もくすんだ赤い色。うーむ。
手にした天然物をまじまじと見る。血合いは燃えるような赤。身はちょっとピンクがさし、薄い部分は透き通って、さきが透けて見えそうなくらい。やっぱり、これは本物だ。
というわけで、昨夜のメインディッシュは、豪華にも、メジと天然の鯛の刺身の盛り合わせ、となった。私の使っている小さめの皿じゃ、てんこもり状態。これで、1200円くらいじゃ、ばちがあたりそう。外で食べると、いくらくらいになるのだろう。
肝心のお味のほうだが、やっぱり、鯛は美味かった。身の弾力といい、旨みといい、やはり、他と比べようのない、別次元のもの。一緒に並んでいるメジマグロ、かすんじゃって。鯛を2サク購入して、ひとつは昆布締めにでもしておいたほうが良かったなあ。
コツのいらない天ぷら粉
さて、香典返しに入っていた、コツのいらない天ぷら粉。どこに秘密があるのか、原材料表示を見てみる。自分で天ぷらをあげるとして、絶対入れないだろう、というのは、乳化剤、ベーキングパウダーのようだ。おそらく、ベーキングパウダーに最大の秘密があるのだろう。乳化剤はどうして使ってるのだろうか。たぶん、卵と粉と水が理想的にまじりあわないとダマになってしまうからだと思う。
家庭で天ぷらを揚げるとき、衣つくり、どうしてますか。まず冷水に小麦粉を入れ、かきまぜ、卵をいれ、かきまぜ、だろうか。実は、これがいい衣のできない作り方の典型。卵は単独でかきまぜると黄身と白身がうまくまじりあわないものなのだ。
それでは、どうするか。水の中に卵をいれて、かきまぜる。そうすると、見事にまじりあう。このなかに小麦粉をといていけば、ダマもできず、さくっとした衣に近づける、というわけ。
この卵水、かつてよく通っていた料理屋で、天ぷらの注文がはいるたびにご主人が冷蔵庫から黄色くにごった液体をとりだしては小麦粉に投入するのをみて、教えを請うたもの で、プロの秘伝中の秘伝だそう。お試しあれ。
香典返し
過日、遠くはあるが、幼少の頃、お世話になった親類の葬式があった。さすがに仕事を休んでまでは参列できなかったが、香典だけは両親に託しておいた。その、香典返しが届いたのだが、びっくり。
こうしたものは、セレモニーを担当する業者が予算ごとに用意するものだから、わが親族に非はないとは言え、ものすごい内容だ。コツのいらない天ぷら粉、緑豆春雨、めんつゆの素、カレー職人、花かつお、小さい瓶の醤油とサラダオイル、チャーハンの素。食品という同一カテゴリーの範疇にはおさまるものの、まったく脈絡のないものがずらり。そもそも、麺類も入っていないのにめんつゆとは。春雨をめんつゆで食せとでもいうのだろうか。
業者さん、もうちょっと考えましょうよ。たとえば、家族3人の家に、カレー職人1個じゃ、けんかのもとかもしれないじゃないですか。
季節外れでも
やはり、天然は天然、ブリは満足のいくものだった。当然のことながら、マグロでいえば、大トロにあたる腹身の部分を購入したのだけど、それを縦にふたつに切り分け、刺身にとってちょうど一口分だったから、さぞかし大きいぶりだったのだと思う。10キロくらいはかたいところじゃないだろうか。
養殖ものとは違って、うっすらと赤身のかった身に、白く脂がさして、みるからに美味しそうだったのだけど、口に放り込むとその脂がとろけて、もうたまらん状態。この時期でも、みつけたら即買うべきであることを実感した。
それにしても、春が遅かったせいか、待望の筍は、まだ九州産のものしかみかけない。値段もかなり高め。皮をむいちゃうと、可食部分は、ほんのちょっぴりなのだから、まだまだ買うきになれない。一昨年あたりだと、四月の終わりには、もう筍の北限といわれる石川産のものしかなくなっていたことを考えると、えらいちがいようだ。
しかしながら、春の気分だけは味わおうと、菜の花、購入してきました。さっと湯がいて、ツユの素に辛子をといて、辛し和えでいただいたけど、体にしみわたってくるような、苦味に箸がとまらなくなる。寒い冬を耐え抜いてきた体に必要な何かが、この苦味の中にはあるんだろうなあ。
そうそう、この辛し和えに、湯がいたもやしと油揚げなんかを加えても、食感や味わいの変化が楽しめるので、おすすめです。
やっと天然のブリ
2月の終わりごろから、いつみつかるかと期待していた天然のブリ、やっと今日購入できた。2人前くらいはとれそうなサクで400円弱。やっぱり、この季節になると安いなあ。でも、みため脂はのってるし、まだいけそう。
今夜は、ブリ刺しで一献だ。そのほかには、先週からあたためていた、五目炒り豆腐もいっちゃおう。きゅうりのヌカヅケと、茸も炒めて、これだけあれば十分か。
それにしても、食べたいと願っているものをすぐに買うことができない世の中というのは、難儀なものだ。
4月になっても
我が家の近所の桜並木には、まだ、つぼみの膨らみかけた木々が、寒々と並んでいるだ け。この時期に、咲いてない、というのは、あんまり記憶にない。
私は、結構桜の花が好きだ。大概の花は、咲いているときはきれいだけれど、散る頃になると、しぼんで薄汚くなっている。このあと、最盛期をむかえる、つつじの花なんか、その典型。昨日まで、花だったものが、黒ずんでしおれて、見る影もなくなってしまう。
お花見の最盛期は、来週末になるのかな。
ところで、私は花を見るのは好きだが、花見という行事は好きでない。乾き物や、おいしくない料理をともに、わいわいがやがや、あばれだす輩までいて。
でも、自分で作った料理を持って、はらはらと散る花びらの中で、ひとり静かに飲むのなら、それはそれで悪くはないような気もする。そんな場所が、どこかにあれば、と、思う。
こうしたシチュエーションであれば、漬物、筍含め煮、魚の味噌漬けでもあれば十分楽しめるのだが。
生の本マグロ
そして、この季節、まだ、脂がそんなに落ちているわけではないから、結構美味しいという。ぜひ、食べてみたいものだが、市場にでも行かなければ、そして、丹念にさがさねければ、まず無理だろうなあ。
これが、6月頃になってしまうと、三陸沖あたりで、かなり漁獲されるようになる。何年か前、空前の大豊漁ということがあって、スーパーでもしきりに解体ショーが行われており、背の部分の中トロと腹身を購入して食べたことがあるけど、美味くなかった記憶がある。
それからすると、ときに100グラム399円で購入できることもある、掘り出し物の豊富なスーパーの解凍天然本マグロは、まことにもって、貴重な食べ物だ、と思ったりもする。
それに邂逅することを願いながら、平日の私は、茸を炒めたり、ナスを炒めたり、油揚げと大根の煮物を食べてすごすのだ。