ショートストーリーの4+、最終話です。ニコニコ

 

 

 

 

…………………………✂️……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜の河の上流。

二つの小さなテントと、荒々しく燃える焚き火。

そこに円を描くように横になっている5人の男女。

 

 

彼らは4人しか乗れない軽自動車で、4人しかメンバーがいない大学の釣りバカ☆サークルで清流へ釣りに来たのに、焚き火を始めたら何故か5人に増えていた。誰が増えたのか、目的が何なのかはわからない。 

 

 

そして今、何者かが眠りかけている彼らひとりひとりの枕元を回り、本人が言われたくない痛いところをついた話をして回る。

言葉をうけ、鼻の頭に何かの水を垂らされた男女は、次第に顔がビニール袋が被されたように白くなる。

 

その透明な物質は繭(まゆ)だった。昆虫が成虫になるときに使うもの。

 

 

いつしかその繭は全身を覆い、泣いているように思えた男女たちはゲラゲラと笑い出した。

腹部が破れ、その中からは得体のしれぬ何かが生まれようとしていた。

 

 

 

 

 

森に向かってひざまついた人物は「セキ鳩よ」とつぶやいた後、詩のようなものを呟き始めた。明らかに日本語ではなかった。

 

 

そこへぽかーんとしたD美が立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

ひざまついていた人物はとてつもなくびっくりし飛び上がった。

「………………!!!???何だ??お前!!なんで立ってる!!!???」

 

 

D美もとてつもなくびっくりして飛び上がった。

「ええぇえええええええ………アンタ、何それ??????」

 

 

「ってええええええ、眠らしたろ!心も折った!オガラ水もかけたぞ!!!」

「ってアンタ、河童??????河童なの????かっぱぁああ???」

 

 

「ああ河童だよ!!河童だよ!!E雄だよ!いやいやいや、お前、インテリぶって、みんなに嫌われて、みんな口喧嘩で勝てないから陰口言われてたろ!!!???それで心折れたろ???」

 

「そんなことそもそも知っとるわ!!」

 

「賢いふりしてるけどバカで、バカ乳のくせに!!」

 

「バカ乳はむしろステータスで誇っとるわ!!」

 

「えーーー!!あーそこか………あああ………折れなかった………やばいやばい、セキ鳩が来る!!」

 

 

 

そこへ、向こう岸の森から一匹のフクロウがもそもそと歩いて出てきた。フクロウ?いや身の丈は3mはある。目は黒く窪んでいた。羽は退化してる。そして足の指が左右合わせて14本あった。

 

 

 

 

(セキ鳩よ、セキ鳩よ、もう一匹足りない、少し待ってくれ)

 

(待てない。夜が明ける)

 

(でもこの女の心が、折れない。もう少し待ってくれ)

 

 

「なに………?このフクロウは何を言っているの?」

 

「セキドリ様だ。セキ鳩様はイナツメの夜に、4つのカッパを食う。食わせないとこの河は枯れるんだ………」

 

 

 

(4つおるではないか)

 

(って4つって俺を合わせて???)

 

(そうカッパ、お前を合わせて4つだ)

 

 

 

 

「ちょっと待って!!みんなカッパになっちゃったの??なにあの繭みたいなの!」

 

(喰う)

 

 

「え?え?人間を河童に変えてバケモノフクロウに食べさせてたの??」

 

「この河が枯れたら何億って生き物が死ぬんだ。仕方がないのだ」

 

 

 

 

「これは………この状況は………ひとり多いんじゃない………………ひとり足りないんだ!!どうすれば………」

 

 

 

 

(セキ鳩よ。この女は折れない。オガラ水も効かない。私が代わりになろう。だが娘のちぇすめだけは生かせてくれ。この河で最後の河童だ)

 

 

「ななな何の話ししてるの!ちょっとあんた!なにか方法はないの??あいつ見た目より弱そう!!」

 

「河が枯れる。もうこれしかないのだ」

 

「ちょっと待って!私が何とかする!この子らを助けて!カッパになっちゃったけど、釣りバカ⭐︎サークルは私のたったひとつの居場所だったの!」

 

 

 

(ほーーーーーーー

 

 

 

 

 

                 ーーーーーーーーう)

 

 

 

(何とか、か)

 

 

………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

今日はカワセミ⭐︎撮影隊サークルで遠征する事になった。

女2人男2人。

私は助手席。

 

 

川の上流へと向かうのだが、

ふと、木立の間から見える河原に変なものを見た。

 

 

すると急に私の後ろに乗っていたインテリのD美がゲラゲラと笑い出し、おかしなことを言い出した。

 

 

 

 

 

「カッパ見ちゃったら、もう助からないよ」

 「カッパ見ちゃったら、もう助からないよ」

 

 

どうしたのD美??・・・??・・・てか・・・あなた誰?

 

 

 

 

 

そのまた次

 

 

 

 

 

 

 

 

ショートストーリーの3ですニコニコ

 

 

 

 

…………………………✂️……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜の川の上流。

二つの小さなテントと、弱々しい焚き火。

そこに円を描くように横になっている5人の男女。

 

 

4人しか乗れない軽自動車で、4人しかメンバーがいない大学の釣りバカ☆サークルだけで清流へ釣りに来たのに、

 

焚き火を始めたら何故か5人に増えていた。誰が増えたのか、目的が何なのかはわからない。

 

念の為、包丁などの凶器になるものは中州の先へと投げ込んだ。

 

 

が、急に酷い睡魔が襲ってきた。

5人はうとうとしながら、焚き火を中心として、なるべく皆んなが皆んなを見渡せる陣形で横になった。

 

 

皆んなはうとうとしながら、誰かがそれぞれの枕元を回っているのに気づいた。

 

 

A治「皆んな、目の前の見えるや奴だけ見張って………ろ………」

 

 

皆んなうとうととしながら、しばらくは焚き火の音だけが聞こえていた。

 

 

 

 

 

ネェ。

 

 

A治「………ん?………」

 

 

あなたですよ、あなた。A治さん。

 

 

冷静な女の声。

その声は全員に聞こえた。

 

 

 

 

 

あなたはいつもこうやって場を仕切ってますね………皆んながそれを求めてると勝手に思いこんで。

 

だけど本当は皆んな、他にやる人がいないからイヤイヤあなたに従っているんですよ。あなたは皆んなの役に立ってるつもりでも、皆んなはそうは思っていない。

 

リーダーの格もないのにセコセコと立ち回って。皆んな陰で笑ってますよ。

 

社会に出たら何の役に立たないようなレベルの低いリーダーシップで、えらく悦に入ってますよね。

 

恥ずかしくないんですか。みじめなリーダーさん?

 

情けなく非力な裸の王様。可哀想に。

 

 

そう言ってその人物はA治の鼻の頭に何か水を垂らした。

 

A治は泣いているように見えた。

 

 

その人物は皆んなの周りを順に回っていった。

その度に声色が女、男と変わっていった。

 

 

 

 

B子さあ。

 

そう、お前だよ、お前。

 

 

低い男の声。

その声は全員に聞こえた。

 

 

 

 

 

お前はいつもA治にべったりで公認彼女みたいな顔してるけど、本人からウザがられてるって気づかね?

 

あいつも仕切りたがりだからイヤイヤお前にいい顔してるんだよ。ホントは気にもとめてねえよ。

 

あと後輩のD美とはキャラが違うから、自分はこの5人の中で気兼ねせずやっていけると思い込んでいる様だけど、無理だよなぁ?

 

本当はいろんなこと、嫉妬してるよなぁ?お前はD美には敵わねえよ。性格の良さも頭の良さもおっぱいもなぁ?

 

ただの不細工ヒロインがよぉ。調子に乗るな。

 

 

そう言ってその人物はB子の鼻の頭に何か水を垂らした。

 

 

 

 

 

C志さん。

 

あなたはいつもそうやって縁の下の力持ちみたいな顔しているけど、いつも皆んなの足を引っ張ってるだけだって気づいていますか?

 

いつもどっしりと構えて的確な答え出してるつもりなんでしょうけど、皆んなは考えるのが遅いなって思ってるだけですよ?

 

しかも出した答えも平々凡々なだけ。足引っ張ってるだけだって分かっていますか??あなたはただ単にアタマの回転が遅すぎて何も言えないだけでしょう?

 

縁の下のシロアリですよ。あなたは。汚らしい。

 

 

そう言ってその人物はC志の鼻の頭に何か水を垂らした。

 

 

 

 

 

D美よぉ。

 

 

お前はそうやっていつもインテリぶってる。本をたくさん読んだんだな?ご両親はさぞかしご立派。

 

でも本当はお前は皆んなのやっかいもの。知ってるぜ?お前はこのグループに入ってあげているつもりかもしれないけど、皆んなは疎ましく思ってるだけ。

 

皆んな口ではお前に勝てないから何も言わない。何かと鼻にかけるって腹が立っていてもな。

 

お情けで仲良くしてもらってるだけ。お前、賢いフリしてるけど本当は誰よりもアタマ悪いんじゃねえのーーー!?なんだその胸?

 

インテリ気取りのクソ豚がよぉ。臭えんだよ。

 

 

そう言ってその人物はD美の鼻の頭に何か水を垂らした。

 

 

その瞬間、泣いているように見えた彼らは急に笑い出した。そしていつの間にか顔にビニール袋が被さっている?ような状態になっていた。

 

 

皆んなの鼻に水を垂らした人物は森に向かってひざまづき声を出した。

 

 

 

 

 

「セキ鳩よ」

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

ショートストーリーの2ですニコニコ

 

 

 

 

…………………………✂️……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜の川の上流。

二つの小さなテントと、弱々しい焚き火。

 

 

そこにかがみ込む5人の男女。

4人しか乗れない軽自動車で、4人しかメンバーがいない大学の「釣りバカ☆サークル」で、清流に釣りに来て、焚き火を始めたら何故か5人に増えている。

 

 

皆、お互いを知ってるのに、誰が増えたのかはわからない。

 

 

 

 

A治「確かに俺らは4人乗った軽自動車でここへ来た。片道2時間はかかったはずだ。誰が乗ってなかった?」

B子「Aは………運転してた。で、途中のコンビニでトイレ長かったのがE雄。後は………」

 

 

C男「俺も覚えてる。確かにE雄はトイレが長かった。俺は立ち読みしながらずっと待ってた」

D美「B子とは………去年亡くなったお姉さんの話をした。泣かせてしまった」

 

 

E雄「ちょっと待って〜!その待たせたコンビニまで運転したの俺だよ??」

D美「………そうだった。その間、A治はどこに乗ってたの?」

 

 

A治「後部座席のB子の隣だよ」

C男「ちょっと待て、それは俺だ!B子と卒論の話をした」

 

 

E雄「コンビニからはD美が運転したような………」

A治「だめだ。こりゃ。皆んな相互にアリバイがある。」

 

 

D美「………あのさ、誰が何の目的で増えてるのかわからないけど、もし悪意があるのなら包丁とか、刃物危なくない?」

C志「………そうだな。あるわきゃねえけど、捨てておいた方がいいな」

 

 

E雄「川に投げる?中洲まで投げたら誰も取りにいけないよ〜」

B子「投げようよ。今すぐ!」

 

 

5人は包丁2本を中洲の向こうまで投げた。

 

 

 

 

 

C志「………あのさ、実はずっと言おうと思ってたんだけどな」

D美「………何?」

 

 

C志「めちゃくちゃ眠くね?」

A治「………そうそうさ………」

 

 

D美「………みんな、焚き火に向かって円になって寝るよ、そしたら5人だから、皆んながみんな全員が見える………」

B子「これなんかおかしいよ………」

 

E雄「………火だけは消しちゃ………なんの音」

 

 

 

 

 

誰かが水に手を入れてゲラゲラと笑っていた。

 

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

ショートストーリーの1ですニコニコ

 

 

 

 

…………………………✂️……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どう考えたっておかしい。

 

 

 

 

 

え?

 

 

いつから?

 

 

どうして?

 

 

釣りバカ☆サークル男女4人で清流に来た。

 

 

テントを立てた。鮎を釣った。

 

 

で、夜になって焚き火を始めた………。

 

 

で、

 

 

 

 

 

………気づいた………。

 

 

 

A治「………みんなさ、気づいてる?」

 

酒盛りしていた学生達はシーンとなった。

 

 

B子「何の話ー?」

 

C志「………」

 

D美「やめて。それ以上言わないで」

 

E雄「なになに〜?」

 

 

 

 

しばらくの間、焚き火の音だけがパチパチとなっていた。

 

 

 

 

 

B子「あ………ホントだ」

 

E雄「?あれ〜?」

 

 

 

全員が気づいた。

 

本当は口に出すべきことじゃないのかも知れない。

 

 

 

 

 

C志「………4人で釣りに来たのに、なぜ5人いる?」

 

 

 

 

 

A治「どう考えたっておかしい。俺はさ、お前らのこと全員知ってるぞ!?」

 

B子「え、え、何でみんな、みんなを知ってるのに、一人多いの!?」

 

D美「私らは軽自動車で来たのよ?」

 

E雄「4人しか乗れないじゃん!なんで〜!?」

 

 

 

A治「間違いない。釣ってる時はさ、気づかなかった。焚き火をしてからだ。一人増えてる。

でもどう考えてもお前らはさ、親友ばかりだ。なんだこれ?俺がおかしいのか?」

 

 

C志「いや、おかしくねえ。確実に4人で来た。でも今はどうしたって5人いる………」

 

A治「………誰が増えたのかわからない………みんなさ、免許証出してくれ。あるんなら学生証も」

 

 

 

B子「………みんな、持ってるね。私たち釣りバカ☆サークルは4人しかいないのに」

 

D美「ちょっと待って………みんな。一枚ずつ紙渡すから、釣りバカ☆サークル結成時、最後の最後、

 

ボツになったサークル名、書いて。それで皆で見せあおう。これは絶対4人しか知らないから」

 

 

 

 

 

「エコエコ☆鮎釣り部」

 

 

 

 

 

B子「みんなわかってる。もうやだ………。」

 

A治「最近さ、お前らの周りで誰か死んだか?」

 

 

みな首を横に振った。

 

 

C志「………妖怪とかそんなのか?ありえねえ………。」

 

D美「………今日はみんな起きていよ。そんで朝になったらすぐ帰るのよ」

 

E雄「え、帰ろうよ〜。今すぐ!」

 

A治「軽にさ、5人乗れるわけ無いだろ」

 

 

 

 

 

疑心暗鬼。

 

 

 

 

 

A治「親友ばかりの釣りサークルの4人がさ」

 

B子「なぜか釣りが終わったら5人になってるの」

 

C志「皆お互いを知っているのに誰が増えたかわかんねえ」

 

D美「気味が悪い。幽霊のがよっぽどマシよ」

 

E雄「でも偽物がいるのは確実なんだよね〜?」

 

 

 

誰?

 

 

 

 

 

 (つづく)

 

 

2夜連続怪談にお付き合い頂いた方ありがとうございましたニコニコ


 

怪談はいくらかストックがありましてまた読んでいただければと思います。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

最近はこれにハマっています指差し

 

 

 

 

永久に遊べるパズル

脳ブロック

ペントミノ・スクエア

 

 

 

 

要はブロックパズルです。

16.143通りの答えがあり、同じのを繰り返したり、ふと新しい形ができたりで楽しいです。

 

アプリなどとは違って手元でカチャカチャと触れるのでやってる感がありますニコニコ

 

 

 

 

僕は作業の合間や、テレビやYoutubeを見てるときに手元でカチャカチャやってます真顔

 

 

 

 

けっこう頭と指を使いますので、頭の体操だと思ってやってます。

858円と安いので興味のある方はやってみてくださいね。

 

難易度ごとにブロックがあるので最初はレベル1からにしたほうがいいかもです。真顔

 

 

 

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ペントミノ・スクエア


 

 

 

 

今日の愛娘

 

 

 

 

ザリガニみたい。

 

 


 

1話完結のホラーっぽい?変なものです!!真顔

耐性のない方はご遠慮ください。

 

 

 

 

 

………………………✂️………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

車で釣りに行くことになった。

女2人男2人。

私は助手席。

 

 

川の上流へと向かうのだが、

ふと、木立の間から見える河原に変なものを見た。

 

 

中洲で裸の人間?に緑色の人間?がまたがっている?

一瞬のことで何が何だかよくわからなかった。

 

 

でもまあ何か見間違えだと思ってあまり気にしないようにした。

多分、竜かなにかの浮き輪を誰かが抱きしめていたんだろう。

 

 

すると突然、後ろに座っていた後輩女子がケタケタケタと笑い出した。

私は皆んなの話をまるで聞いていなかったから、何にウケたのか分からず、びっくりした。

 

 

隣の男子達も何も言わずにやーって笑っている。

みんなどうしたの、と私は聞いた。

 

 

すると今度は後輩男子もケタケタ笑う。

そしてみんなケタケタゲラゲラ笑い出した。

 

 

その異様な空気に私は戸惑った。

 

 

しかしそこで後輩女子が私の後頭部から何かを取り、これです、これ、と言った。

 

私が振り返ると、後輩女子は冗談でおつまみゲソを私の後頭部にくっつけていたのだ、と言った。

 

 

なーんだぁあははは。やめてよー匂いつくじゃん笑と、私。

いやーずっと外見てるからさぁ、ごめんね、と、後輩女子。

 

 

すると運転していた彼氏が急に言った。ああ、そうだ、そう、みんなあれ、と。

 

 

………………?あ、そっか一。昨日は私の誕生日だった。でもこんなとこでバースデーソング歌うの?笑

 

 

いっせーの、でいくよー。みんないいか?

はーい

じゃあ、いくね、   いっせーのっ

 

 

 

 

 

 

 

 

『カッパ見ちゃったら、もう助からないよ』

 

 

 

 

 

「カッパ見ちゃったらもう助からないよ」

「カッパ見ちゃったら、もう助からないよ」

 

 

 

 

 

(終わり)

 

 

 

 

1話完結のホラーです!!不安

グロテスクな表現、

人によって不快なシーンがあります。

耐性のない方はご遠慮ください。

 

 

 

 

 

………………………✂️………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社から自転車での帰り道、あるT字路の角に、小さな地蔵が数体ある。

赤いスカーフ?前掛け?そんなのつけてなんだか可愛らしい。

 

 

ある日、そのスカーフ一枚、外れていることがあった。誰かが触れてしまい取れてしまったんだろう。

 

 

なんだか見たような光景だがスカーフは近くに転がっており、また信者かなんか?お水線香をあげている人が直すもんだと思っていた。

もしかして俺にもそんなこともあったかもしれない。

 

 

翌日。

そのT字路に人間が二つ転がっていた。

車が木にぶつかっているから事故なのは間違いない。

 

 

ただ………なんで道路の真ん中に綺麗に並んでいる?

警察が並べ直したのか?そんなわけない。

鑑識が来て色々するのに動かすか?

 

 

スカーフが排水溝に吸い込まれそうになっていた。

なんだか色々と引っかかりながらも家路へと急いだ。

 

 

後日。

今度は犬が内臓を出して暴れていた。

なぜ内臓?

誰がやったんだ?

またスカーフが道端に落ちていた。

 

 

そのまた後日。

T字路の崖の下に車が落ちていた。そばには赤いスカーフが落ちている。

誰かが這い上がってきていたが、大腸?小腸??がはみ出てる。なんで???

 

 

警察は??

 

誰がこんなこ………

俺が話すと同時に耳元でこう聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

………なあ。

お前もやったよなぁ??

 

 

 

 

 

 

 

やってしまった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの悪魔が

 

 

 

 

糖質制限なんていう誓いを打ち砕く悪魔が

 

 

 

 

赤い悪魔が 赤い彗星シャアが

 

 

 

 

わーーー!!!

 

 

 

 

荒ぶりました。全部食べちゃいました。

しかもこのお店のメニューにある

辛さMAX10を完食!!

 

 

辛すぎて涙が出ました。胃が熱くなりました。舌の感覚なくなりました。

 

 

糖質制限もぶっ飛び!

でも美味しかった!

 

 

達成感もある!

 

 

 

 

 

しかしですね………お会計の時にですね、

 

 

可愛い店員さん「辛さMAX10制覇おめでとうございます〜」

僕「いや〜涙でました笑」

 

 

可愛い店員さん「ですよね………でも実は、」

店員さんは僕に耳打ちをした。

 

 

 

(15辛までありますよ)

 

 

 

ゲロー

 

 

 

短編『骨』を読んでいただいた方、ありがとうございます。ニコニコ

 

これは当初1話目だけを不思議な話として読切で書いたのですが

いつの間にか話が進んでいってしまい、短編の長さになりました。

 

 

作品を一言で表すと「刑死した妹の骨を、双子の兄達が買い戻す」だと思います真顔

ありがとうございました。

 

 

今回、複数の登場人物が密接に関わりあっているため、マインドマップで相関図を作って進めていました。

 

 

まずはメインキャラが6人。

 

 

 

これを展開すると………

メインキャラ6人 + サブキャラ11人 +相関図 となります。

 

 

 

 

一目瞭然、便利です。

 

 

無料のマインドマップのアプリやHPはたくさんありますので興味のある方は試してみてくださいね。

頭の中を整理するのには便利です。

 

 

 

 

 

今日の愛娘。上目遣い。

 

 

お疲れ様でした!

 

 

 

お付き合い頂きありがとうございましたニコニコ

最終話です。


目次

 

 

 

 

 

ああ………。

 

 

沈む。沈む。

 

 

罪とは底なし沼だ。あがけばあがくほど沈んでゆく。

 

 

水面に向かってもがき泳ぐのは自分の為。

 

 

じゃあずっとずっと底のない沼を沈むのか………。

 

 

乙よ。俺達は罪を償う為に心に火を入れた。

 

 

しかし水の中で火は起こせないんだ。起こせる訳がないんだ。

 

 

でもお前は笑い、観衆を沸かせ、心を温める素晴らしい『笑い屋』になった。

 

 

底なし沼に入れた火を燃やし続けていたのはお前だけだった。

 

 

乙よ。

 

 

桜。司様。呉服問屋。もう誰も帰ってこない。

 

 

お前が司様を殺し、桜が呉服問屋を殺し、俺達が桜を殺した。

 

 

そしてお前は罪に殺された。

 

 

全てはたったひとつの「やかん」によって。

 

 

今日で全ての償いと、全ての罪を終わらせる。

 

 

もうすぐ底へ、手を離してやる。

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

江戸の末期。

 

山中を走る小さな街道に1件の茶屋があった。

 

 

安里はその店先に座り団子を頬張っていた。

そこへ甲が大きな袋を背負って降りてきた。

 

 

安里は熱情に染まりきった顔の甲に小さな団子を近づけた。

甲は少し微笑み団子を噛んだ。

 

 

「よし、行くか」

 

 

 

 

 

 

 

吉光。将軍にその武を認められる、旗本。国を守り、民と共に戦うという信念から、家来から奉公人に至るまで、決して自分を「殿」とは言わさなかった。吉光と呼ばせていた。

 

 

甲と安里は屋敷の奥へと通された。

広い主人の間には家臣たちが左右に並んでいた。

皆が皆、押し黙っていた。

 

 

「………久しいな」

「お久しぶりでございます」

 

 

吉光は頭を剃り上げていた。そんな事を将軍に許されるのはこの吉光くらいだった。

そしてその視線は遠かった。しかし甲は吉光がどこを見ているのか瞬時に分かった。

 

 

それは吉光とその妻、司が一緒に鯉を見ていた池だった。

吉光は眼光が鋭く威圧的であったが、司と一緒に鯉を見ている時だけは笑っていた。

しかし今は全く表情がない。

 

 

「10年か。お前らが出稼ぎに出て」

「はい。………商いに来ました」

 

 

吉光は池を見つめながらハッと嘲るように笑った。

「確か100両(約2000万円)だったな。お前らの頭を冷やすには十分な金と時間だったろう。

 

だが俺にとっては端た金だ。後で全て家来と奉公人に配る。………で、何故、お前はひとりだ」

 

 

甲は答えなかった。そしてひとつ下がって座っていた安里に目配せした。

出会って間もない二人はもう他人ではなかった。

 

 

乙の死がこの二人を死以外の何事からも離すことの出来ない、白く固い鎖で巻いた。

安里はこの甲と乙の金を甲に渡す時、自らの命も渡した。

 

 

「なよなよとしているのは今も変わらんな。片割れはついに女になったか」

甲は金の包を膝に置いた。

 

 

そしてこの10年間、双子の甲と乙が、桜が、追い求めてきた事を口にした。

 

 

 

 

 

「桜の『骨』を、買わせて頂きます」

 

 

 

 

 

吉光に少し表情が浮かんだ。寂しいような、何かを押し殺す様な。

 

 

甲は少しずつ丁寧に金を並べ始めた。

どれもこれも同じ形の金。しかし甲にはひとつずつが違って見える。

 

 

いつ、どこで、どちらが稼いだ金か分かるような気がした。

いつも乙の『笑い屋』の方がよく稼いだ。

 

甲はその度に悔しかった。

 

 

そして自分達の命を並べ終わった。

 

 

家臣の1人が吉光に何かを進言しようと腰を浮かした。

吉光は軽く手でそれを収めた。

 

 

「………少し足りんようだが」

「15両、足りません。その代わりに買って頂きたいものがあります」

 

 

吉光はやっと甲の目を見た。甲は吉光が随分と老いた様な気がした。

しかし同じ底なし沼にいる者同士、深いところに閉じ込められた乾いた涙は見えた。

 

 

「おかしな事を言う。俺がお前に約束通り桜の骨を売るのに、なぜお前が俺に物を売る?」

「………乙の骨です」

 

 

甲は胸元から白い紙の包みを取り出した。

それを開き、半分焼け焦げた乙の骨を見せた。

 

 

「………先日の大火か。おい。桜を持って来い」

家臣の1人が席を立った。

 

 

吉光はまた池を見ていた。

そして呟くように言った。

「司、今日は立てるか………」

 

 

家臣達は震えていた。

旗本、吉光の前で泣くことは絶対に許されなかった。

 

 

奉公人達はあまり司を知らなかった。

病弱ゆえ、吉光が近づけなかったからだ。

通常は家臣達が世話をしていた。

 

 

床を殴った者が居た。だが吉光は池を眺めたままだった。

しかしもう………家臣も安里も畳に涙が落ちた。

 

 

「桜でございます」

家臣はマリの形の美しい彫刻の入った、白い小さな木箱を吉光に渡した。

吉光はそれを持って甲の前にしゃがみこんだ。

 

 

「手渡す位は自分でやらねばならないな。ほら、この箱は桜の木で出来ている」

 

 

そして両手で小さな木箱を甲に手渡した。

中には白い絹で包まれた、小さな小さな、桜がいた。

 

 

「乙の骨は要らん。桜と一緒に故郷に埋めてやれ」

吉光は立ち上がって去ろうとした。

 

 

「吉光様」

「何だ」

 

 

甲は畳に額をつけた。

 

「わたくし達兄妹、甲乙桜は、吉光様の最愛の妻、司様を死に追いやりました。

 

そして、わたくし達の身内の犠牲心は、吉光様の傷口をさらにえぐりました。

 

吉光様は桜を呉服問屋に売られましたが、死ぬとは思われなかったのでしょう………。

 

吉光様に取り返しのつかない消えない悲しみ、罪を、わたくし達、甲乙桜はつくってしまいました。

 

しかしわたくし甲、それ以外の者は最後の火が消える時、司様に………。

 

どうか、わたくし達兄妹の命を持っても許されませんが、謝罪をさせてください………」

 

 

吉光は甲の側で自分の足元を見つめていた。

じっとしていた。

 

 

泣いているのは安里だけではなかった。

しかし安里以外は、声も出さなかった。

 

 

吉光は一度天を見上げてから甲の頭をポンと叩き、甲にだけに聞こえるように言った。

 

「罪とは赦しだ」

 

そして庭に出ようとし、振り向いて言った。

 

 

「おい。女。思い出した。お前は呉服問屋の便利屋だったな。雇ってやる。

 

甲は今の商売を続けろ。つまらん話し屋だろう。でもそれが供養だ。

 

………俺は司と金楼(きんろう)を見てくる。もう帰れ」

 

 

 

 

 

 

 

江戸の末期。

 

山中を走る小さな街道に一件の茶屋があった。

 

 

昼前の透き通った空の中、店主の婆様は店先に座って居眠りをしていた。

その前を一組の夫婦が通り過ぎた。

 

 

「ここ?」

「そう。江戸が見渡せるだろう。金はここに埋めていた」

 

「どうしてここに?」

「俺らの村は病で失くなった。ここは幼い頃、兄妹三人でよく来た場所だ」

 

 

安里は遠くに見える江戸を目を細めて見た。

 

 

「幼い頃は江戸を見下ろす自分達が将軍だとよく言っていた。

桜は俺らの間に座ってキャッキャと笑っていた」

 

 

「さ」

 

 

甲は金が詰まっていた穴に桜と乙をそっと埋めた。

そして立ち上がって手をパンッパンッとした。

 

 

「さーあ。急に子供が二人もできたしな。稼がないと」

安里は甲に抱きついた。

 

 

「………空が蒼いな。『哀し屋』は廃業だ。

誰だって笑って生きていたい。俺は『笑い屋』をやる」

 

 

(俺は水面で大きく息を吸い込んだ。乙と桜よ。お前らの手を離すぞ。

ここはもう底なし沼ではない。美しく光が漏れる水底でゆっくりと眠れ)

  

 

甲と安里はしばらくの間、突き抜けるような青空を見ていた。

 

 

「見っけ」

「………」

 

「もう金は払わないよ。甲、見っけーーーー」

安里は甲を抱きしめた。

 

「よせ、お前の力じゃ骨が折れるだろ」

「見っけーーーー」

 

 

 

 

 

江戸の末期。

 

 

ある家族があった。

そこに呆れて笑っている3人の子供達がいた。

 

 

父母がいつまでも新婚の様だからだ。

しかし彼らは骨のある夫婦だった。

 

 

 

 

そして桜の咲く、きらびやかな季節がやって来た。

 

 

 

 

 

全ての罪を、養分にして。

 

  

 

 

 

 

 

(終わり)