ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会アニメーション第八話。

桜坂しずく嬢お当番回「しずく、モノクローム」放送!

 

……今回の感想は「神回すぎてなんも言えねぇ」です。

 

そのため、趣向を変えて書いて参ります。

 

例によって、光の先へネタバレ全開なことは変わりありませんので、あしからず!

 

 

🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈

 

 

『荒野の雨 -Solitude Rain-』

 

 

雨の色って、何色だろう。

 

ふと、そんなことを考えていた。

 

雨の色――つまりは水の色。

 

大人である私たちは、水の色が無色透明であることを知っている。

私たちが見る水の青は、光の屈折によって感じ取っている色でしかない。

 

けれど。

 

雨の色を想う時、私たちの頭の中には色が浮かぶ。

雨そのものを思い浮かべた、水色や青色。

曇天を思わせる、モノクロ。

 

これは数多の雨粒の一滴(ひとしずく)が紡ぐ、

透明な、モノクロな、水色な、一人の少女の物語だ。

 

💧

 

 

「ある街の、ある劇場に、一人の少女がいました。彼女の夢は、この街一番の歌手になること。そして、たくさんの人に歌を届けること――あなたの、理想のヒロインになりたいんです」

 

どこか憂い気な声色で、桜坂しずくは物語の始まりを告げた。

 

あなたの理想のヒロイン。

この劇が始まるまで、この“あなた”はとある人だけを指していると思っていた。

 

しかし、桜坂しずくの大望は、誰か特定の個人を指すような“あなた”という概念ではまったく収まらない。

彼女は世界を覆いつくさんとするこの世全ての“あなた”にとっての理想のヒロイン――そんな、途方もない夢を抱いたのだ。

 

それはきっと、誰からも愛される存在。

桜坂しずくの思う、“あなたの理想のヒロイン”は、きっと虹色に輝く変幻自在のスクールアイドルだ。

 

赤色が好きな人がいれば、赤色に。

橙色が好きな人がいれば、橙色に。

白色が好きな人がいれば、白色に。

紫色が好きな人がいれば、紫色に。

 

全ての“あなた”の好きな色となれる、大女優。

きっとできる。桜坂しずくは演じてみせる。この世全ての理想のヒロインを。

 

桜坂しずくは、とても器用な少女である。

演劇部として。スクールアイドルとして。なまじそれを熟してきてしまった。

 

しかし。

 

 

「無理だ。私の歌なんて、誰にも届かない。本当はわかっているのでしょう。あなたは、私だもの」

 

桜坂しずくは、――色だ。

 

赤色が好きな人の赤色に、本当になりきれるのか。桜坂しずくは――色なのに。

橙色が好きな人の橙色に、本当になりきれるのか。桜坂しずくは――色なのに。

白色が好きな人の白色に、本当になりきれるのか。桜坂しずくは――色なのに。

紫色が好きな人の紫色に、本当になりきれるのか。桜坂しずくは――色なのに。

 

「私の歌は誰にも届かない」

 

いつの日か、彼女は気付いてしまう。

 

「子供の頃のこと、覚えてる? みんなと少しだけ違う……ただそれだけのことだったけど、私はいつも不安だった。誰かに変な子って思われたら。嫌われたらどうしよう。いつもそんな風に怯えていた」

 

しずくちゃん、――色なの? 変なの。みんな、あの色なのに。

 

「だから、本当の自分を隠すようになった。そしたら、すごく楽になれた」

 

ううん。私もその色だよ。ほら。

 

「あの日からずっと、私は嘘の私のまま。自分を偽っている人の歌が、誰かの心に届くわけがない――そうでしょう」

 

どれだけ演じても。それは、嘘色だ。

“あなた”の好きな色には程遠い、モノクロに色褪せた嘘の色だ。

 

いつしか、桜坂しずくは本来の色を忘れ、あまつさえ虹色を演じているはずなのに、白色でも黒色でもない――モノクロになっていた。

 

誰かの好きな色になどなりきれない。

しかし決して、誰かの嫌いな色にもまた、なれないのだ。

何と甘美で、楽なことだろう。

 

モノクロな桜坂しずくの目には、世界があまりにも鮮やかに色づいて見える。

 

 

周りにカラフルなものが溢れる中で、彼女は異質にモノクロなものを見ていた。

 

 

それは、桜坂しずくの憧憬。

 

 

その横顔へ、問いかける友達がいた。

 

「好きなの? 昔の映画」

 

この問いに、桜坂しずくは心臓が止まりそうになる。

彼女には経験と技術があるから。瞬時にそれを感じさせない。

しかし若干16歳の彼女は詰めが甘い。

結局、友達からのその問いに答えることまでは出来ないのだ。

大好きを叫ぶことも、大好きではないと叫ぶことも、出来なかった。

 

「やっぱり怖いんだ。本当の自分を見せることが。嫌われたくない? そうでしょう。私、歌いたいの! みんなの心に届く歌を! そのためには、自分をさらけ出さなきゃ。受け入れて」

 

本当は、自分をさらけ出したい。

みんなみたいに。

優木せつ菜のように。宮下愛のように。天王寺璃奈のように。近江彼方のように。

大好きを叫びたい。私だけの光を放ちたい。

 

だけど。

 

 

「……できないよ、さらけ出すなんて。……嫌い。こんな私なんて」

 

そんな自分が一番嫌い。

嫌われるのが怖くて、いつまでも踏み出せない自分が、嫌いで嫌いで堪らない。

 

桜坂しずくは桜坂しずくが、大嫌い。

 

そして、心の底から恐れている、本当の自分をさらけ出した未来の世界を想う。

今この場で、本当の自分をさらけ出したら、来年には……?

 

 

虹ヶ咲学園、二年生。

そこに変な子、桜坂しずくはいられないんだ。

 

そんな未来が頭にこびりついて離れない。

 

消えて。消えて。消えて……!

 

怖い未来が来ませんように――『五十音』をおまじないのように唱えながら。

大丈夫、演じられる。そんな未来は来させない。大丈夫だから。

 

だから、早く止んで。

 

 

その時だった。

 

 

来てしまった。

友達が。

一番本当の自分を見せたくない、友達が。一番嫌われたくない、友達が。

見ないで。こんな自分を。

 

少し待って。今からいつもの「桜坂しずく」を演じるから。

 

今までだったら、それまでだったかもしれない。

しかし、こともあろうに。

今目の前にいるのは、この世界にただ一人、桜坂しずくをグイッと引っ張れる人だった。

だからこそ、どこか諦めたように、桜坂しずくは白状する。

 

 

「私、小さい頃からずっと、昔の映画や小説が好きだったの。でも、そんな子は私しかいなかったから。不安だった。誰かに変なのって顔をされるたび、嫌われたらどうしようって。そのうち、他のことでも人から違うなって思われることが怖くなって」

 

しず子、――色なの? 変なの。みんな、あの色なのに。

 

「だから演技を始めたの。みんなに好かれるいい子のふりを。そしたら、楽になれた。私、やっぱり自分をさらけ出せない」

 

ううん。私もその色だよ。ほら。

 

「それが役者にもスクールアイドルにも必要なら、私はどっちにもなれないよ。表現なんてできない。嫌われるのは、怖いよ」

 

ついに、桜坂しずくはさらけ出してしまった。

弱い自分を。涙の色を。

 

 

桜坂しずくが自ら背負った、自分の色を捨て望まれた色となる十字架。

それを重いと嘆くことを、中須かすみは甘えと断じる。

 

「なに……甘っちょろいこと言ってんだー!!」

 

嫌われるかもしれないからなんだ。

それが「桜坂しずく」じゃないか。

この世界中の全員がNoだって言ったって。自分は自分を信じてあげろと。

 

意外と頑固なところも、意地っ張りなところも、本当は自信がないところも、全部。

ダメなところも武器に変えるのがスクールアイドルなのだから。

みんな、そうやってさらけ出して、武器にして戦ってるんだから。

 

その十字架すら武器にして戦ってみろと。

 

それで嫌われるかもしれない。「好きじゃない」と拒む人がいるかもしれない。

 

だけど。

 

 

「私は、『桜坂しずく』のこと、大好きだから!」

 

 

しず子の色、私は大好きだから!!

 

世界中の全員がNoだなんてあり得ない。

Yesと言ってくれる友達がいるのだから。心配なんてしなくていい。

 

「……帰るっ! かすみんにここまで言わせたんだから、絶対に再オーデイション合格してよね!」

 

口にした言葉のあまりの恥ずかしさに。

その友達は、思わず照れて逃げ出してしまった。

 

 

あんなに最初は格好良かったのに。

最後の最後で締まらないなぁ。でも……。

 

それが「中須かすみ」だ。

 

あんなにさらけ出して。それであんなに「かわいいスクールアイドル」なんだ。

 

 

詰みだった。

 

もうどうしようもないほど、桜坂しずくの、負けだった。

 

桜坂しずくは中須かすみに完敗した。

だけど、その顔は清々しく、どこか嬉しそうに。

 

まずは自分を認めるところから、始めてみようかな。

窓を開け放ち、見上げる。そこに広がっている、自分の色を肯定しよう。

 

あぁ――

 

 

桜坂しずくは、水色だ。

 

💧

 

 

「ある街の、ある劇場に、一人の少女がいました。彼女の夢は、この街一番の歌手になること。そして、たくさんの人に歌を届けること――あなたの、理想のヒロインになりたいんです」

 

どこか晴れやかな声色で、桜坂しずくは物語の始まりを告げた。

 

スクールアイドル桜坂しずくのパーソナルカラーは、ライトブルーである。

それは果たしてどのような色なのだろう。

 

ライトブルーは明るい青である、というトートロジーでは済ませられない。

当然、公式が提示している色が正解であるということも今はどうでもいい。

 

明るい青――それは多くの場合「水色」と呼ばれる。

 

では「水色」は?

 

今一度。目を閉じて。「水色」を思い浮かべる。

 

……きっと、“あなた”が思い浮かべた水色と、他の“あなた”が思い浮かべた水色は別の色だ。

ここに10人の人がいて、その10人が目を閉じて思い浮かべる水色はきっと10色ある。

 

空の水色――どんな空?

海の水色――どんな海?

雨の水色――どんな雨?

涙の水色――どんな涙?

 

エトセトラ、エトセトラ……。

 

それらはどれも水色、ライトブルーだ。

十人十色のグラデーションに彩られたライトブルーだ。

 

そんなライトブルーをパーソナルカラーに携えて、桜坂しずくはスクールアイドルとして再び舞台へ上がる。

 

“あなた”の理想のヒロインを目指して。

 

 

「そんなに怖いの? 本当の自分を見せることが」

 

怖いよ。

 

「待って。私、それでも歌いたいよ」

 

そうだね。本当に、その通りだ。

 

「ずっとあなたから目をそらしていた。でも、歌いたい。その気持ちだけはきっと真実。今までごめんなさい。これが私。逃れようのない、本当の私」

 

もう、嘘はつかない。

 

「嫌われるかもしれない」

 

私はライトブルー。光放つ水色。

 

「でも、好きだって言ってくれる人もいた」

 

モノクロは嘘の色じゃない。モノクロは武器だ。

世界中にいる“あなた”の理想のヒロインになるための、鍛え上げた武器だ。

 

 

『だから、この小さなステージで、もう一度始めよう!』

 

 

――Solitude Rain

 

どこまでもライトブルーに、理想を追いかける雨。

 

 

時を止めて。桜坂しずくは自分のライトブルーを解き放つ。

その一瞬を見逃すことなかれ。

雨の水色の次はもう、空の水色になっているぞ。

 

さぁ、“あなた”の理想の水色は何色だ。

その水色が私の水色だ。

私はその水色になって魅せよう。

 

水色は好きじゃない? 多いに結構。その部分はこのモノクロで埋める。

 

さぁ、宣言しよう。

 

これはこの世界中の“あなた”へ対する宣戦布告だ。

 

 

「本当の私を、見てください!」

 

必ずなる。桜坂しずくは“あなたの理想のヒロイン”に。

 

そう、これは数多の雨粒の一滴(ひとしずく)が紡ぐ、

女優でスクールアイドル、「桜坂しずく」の、本当の始まりの物語だ。

 

🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈

 

 

桜坂しずく

 

中須かすみ

 

天王寺璃奈

 

上原歩夢

 

朝香果林

 

宮下愛

 

近江彼方

 

優木せつ菜

 

エマ・ヴェルデ

 

色葉

今日子

浅希

 

綾小路姫乃(友情出演)

紫藤美咲(友情出演)

 

演劇部部長

 

演劇部部員

演劇部部員

新聞部部員

新聞部部員

 

高咲侑

 

💧

 

 

 

🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈🌈

 

 

あとがき

 

ここまでお読み頂き、本当に、本当にありがとうございます。

 

白状します。

今回のはもう、二次創作です。

これは「感想記事」とは呼べません。

いつも自分の解釈を書き殴っているだけなのですが、とりわけ今回は正直、自分好みの理想のヒロインとして書いた所が否めません。

 

だからこれは本当にただの二次創作です。

 

また、二次創作中は、あえてかすみちゃんと璃奈ちゃんを深く描写しませんでした。

一人のA・ZU・NA推しとして、桜坂しずくの魅力を最大限に見てほしいという気持ちからです。かすみちゃん、璃奈ちゃんに関しては、タイトルに全てを詰め込ませて頂きました。

 

繰り返しますが、今回は二次創作。

そう思い切って、少し小説や映画の真似事をして書かせて頂きました。

ラブライブ!サンシャイン!!から感想記事を書いていて、初めての出来事です。

結果として、桜坂しずく回らしい記事に仕上げられたかとは思っております。

 

公開するのが怖い気持ちもありながら、そこはしずくちゃんに倣って、さらけ出していこうと思います。

 

ですがタイトルに感想記事と入れておりますので。

最後にほんのちょっとだけ、感想記事の体を装って締めくくりたい所存です。

 

しずくちゃんって、16歳の高校一年生なんです。

 

「本当に手遅れ」になる一歩手前だったと思うんです。

 

器用で容量の良い彼女は、このまま進んでいったら、嘘がどんどん上手くなっていく。

どんどん生きることに慣れて行って、どんどん嘘をつくのが平気になっていく。

八方美人の優等生という生き方から抜け出せなくなっていく。

 

そんなしずくちゃんが、自分を好きになること。自分の色を好きになること。

かすみちゃんと璃奈ちゃんという二人の友達の力を借りて、再起する第一話。

 

 

そして、仲間たちにはちゃんと、桜坂しずくの水色が見えていたこと。

嫌いになるわけないじゃないっていう想いのネックレス。

 

しずくちゃんが、今まで培ってきたものを全て纏ってのファーストライブ。

 

本当に素晴らしかった!

 

間違いなく、この八回の中で一番心動かされた回でした。
 

そして桜坂しずく、ライトブルー、水色についてこれでもかと考えさせられて。

改めて彼女の色が、この色以外ありえないと痛感させられました。

 

カラーコード「lightblue #add8e6」と、

公式の桜坂しずくのライトブルーが一致していないことも付け加えたいです。

 

 

言いそびれるところでしたので、忘れずに。

 

スタッフさん、ありがとう!!

前田佳織里さん、ありがとう!!

 

 

毎回恒例のスクスタ衣装に加えて、スクフェス衣装、4コマネタにオフィーリア……

毎度のことながら、素敵な桜坂しずくが詰まっていました。

こんなに幸せなPVをありがとう。

 

最後に。

……ごめんなさい、最後だけ。

大好きを少しだけ叫ばせてください。

 

演劇鑑賞してる菜々ちゃんもかわいいよ!!

 

 

締まらないなぁ笑

 

でも、これが私。……ということで。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第八話感想を締めたいと思います。

 

毎週感想書いていきますので、気が向いたらまたお立ち寄りくださいませ。

それでは!

 

 

 

 

 

 

 

 

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