9月
9月は、1日から5日までお休みを頂く。
さっぽろタパスに参加する為、6日は日曜日であるが営業してみたり、9月の大型連休の日曜日も営業したりと、かなり変則的な休みになるので、「9月は定休日がちょっと違うので宜しくお願いします」と、来店して頂いたお客様に伝えると、「じゃあ9月は来ないわ」と言われてしまった。
そう言わずに宜しくお願いします。
テント
友人は、人が「忘れて欲しい」と思っているエピソードをいつまでも覚えている。
高校時代にバレー部であった友人は、そのエピソードが大好きで、一人で語り継いでいる。
その日の部活は、男女一緒にストレッチやマッサージのやり方について先生が指導していた。
男子生徒の一人が練習台となり、先生がその男子生徒にマッサージをほどこしていたのだが、その男子生徒はなぜかそんな時に、男としての重要な部分の調子が良くなってしまい、生徒が騒然となってしまったのだ。
先生は場を和ませようと、「お前元気いーなー!」等と言って締めくくったらしいが、そんな慰めは高校生には通じず、男子生徒はそれからしばらく先輩にからかわれていたらしい。
友人はその話をする度に、「その男子生徒の名前と、その時につけられたあだ名を忘れてしまったから絶対に思い出したい」とずっと頑なに言っていた。
「それだも友達いなくなるわ」と言ってやると、「お前もね」とすかさず言われ、かと言って友達が居ない事を反省する気もない私達は、ただ大笑いするのが常である。
そんな折、友人がカウンターに一人で居ると、当時の同級生で同じバレー部でもある男が偶然にも来店した。
友人の目は輝き、開口一番にそのエピソードを話すと、ついにその答えを得られる事が出来たのだ。
当時のその男子生徒は「山田(仮名)」と言い、つけられたあだ名は「テント山田」であった。
私達はひっくり返って笑い、「テント山田!」と、何度も友人と言いあっていると、私の隣でチカが「・・テント」と言っているではないか。
私は耳を疑ったが、「チカがテントって言った!」と叫ぶと皆は仰天したが、本人は「なんでですか」と、分かってない様子である。
私達が言ってるのはキャンプのテントではないのだ。それをチカの口から聞くとなると、こっちの方が顔が赤くなるという話である。
友人は、「悲しい事や辛い事があったら元気出す為にチカちゃんからテントって聞きたい」と、言っていた。
そんな変なサービスの店にならないように気をつけねば。
念願のビアガーデン
7月になったくらいから、「そろそろビアガーデンだ」と、周囲に言ってまわる程ビアガーデン好きである。
いよいよ暑くなってきたので、「今度の休みは絶対ビアガーデンに行こう!」と、心に固く決め、「日曜日、ビアガーデン行くからね」と、チカの予定も聞かずに決行する事にした。
そら色のノリコは当日に誘っても来るだろうと思われたが、一応前もって言っておくと張り切って浴衣を着てきた。
他にも私は、最近のお目当てである、憧れの男性を誘ってみたのだが、これまた見事に断られた。
それを知ったチカとノリコは嬉しそうに、「なんて断ってきたか」と、事細かに聞いてきて、「・・凄い行きたいけど都合つかなかったってさ」、と私が言うと、「さすが良い男は断り方も上手い、ほんとは行きたくないくせに行きたいみたいに匂わすんだ」と、私が認めたくない事実を言い放った。憎たらしい二人である。
結局ババア3人で飲む事になり、「ここに彼が居るはずだったのにオマエかよ!」と、ノリコに暴言を吐きながらビールを延々飲んだ。
そして5時間近く居ると、いよいよビールも飽きてきたので、「ツバキホールに行こう!」と、場所を変える事にした。
ビアガーデンで散々飲み食いしたにも関わらず、またスパゲッティやらデザートを食べ、最終的に「痩せたい、太り過ぎだ」という話になるのだから、本当に自分でも頭がどうかしてるとしか思えない。
「夏だからいいんですよ」と、チカが言ってくれたが、そうやって言い訳をつけては毎日食べている体たらくである。
クスクスを食べに行く
クスクスが食べたいと思い立ち、友人と「ル・プルコア・パ」へ。
普通であればこの一皿で腹一杯なのであろうが、私はそんじょそこらの人とは訳が違う。
このクスクスまでに一コースやっつけているのだ。
ついでに久保田シェフの気遣いで、クスクスも友人より大盛りである。
例に漏れず彼も、私を太らせて笑いたいのであろう。
「ル・プルコア・パ」は今年で10周年で、9月にパーティーが開かれる。
その昔、久保田さんに「頼むから」と懇願して合コンを開催して貰った事がある。
その御礼ではないがせめてそのパーティーのお手伝いをして、「こんなババアに合コンをありがとう」の恩返しをと思い、微力ながらチカとお手伝いさせて頂く。
ドレスコードがセミフォーマルとあるのだが、私はお手伝いであるし昨年購入した柔道着でいいかと考えている。ドレスコードを仮装と解釈してみているのだが。
角刈りのヅラもあるので今から準備万端である。
前足か後足か
デブにとって夏は過酷である。
暑さで薄着はしたいが、太い足と太い腕、ついでに腹は人様にさらす事は許されず、汗をかきながらもう1枚羽織るのだ。
先日友人と買い物をしていると友人は、「前足は出せない」等とぶつぶつ言いながら洋服を見ている。私はハっとし、「もしかして前足って・・」と思い尋ねると、「あんたその腕、腕だと思ってんの、前足だって」ときっぱり言われた。
そして近々に知人の結婚式が迫り、着る服に困っている私に向かい友人は、「前足か後足か、出すのはどっちかだけにするように、両足は絶対禁止」と釘を刺され、選ぶ余地が俄然減ってしまった。
どっちの足もダメなので服を買う気力が失せ、誰かに借りる事にしようと考えた。
すると、マリさんが素敵なのを持っていたのをふと思い出し、「あれを貸してくれ」と、内々に頼んでおいた。マリさんは太ってこそいないが、デカいので私でも着れそうである。
すると何故か後日、マリさんにしか言っていないはずのその話がノリコから回ってきて、「ノムリンにあのベビーピンク色は似合わないからこれにしな」と、頼んでもいないのにノリコは華やかなワンピースを持ってきた。
察するに、マリさんとノリコは二人で私がベビーピンクのドレスを着ているのを想像して大笑いし、「似合わな過ぎる」という話になり、「せめてこっちじゃない」と、勝手に違うのを持って来たのだ。しかもそれは両足を出すタイプであった。
「両足は無理だし・・」と言うと、「なに女みたい事言ってんの」と、ノリコに一蹴された。
デブ故に服は買えず、友人さえも貸してくれず、もう結婚式には紋付羽織袴で行くしかない。


