怒るチカ
チカはいつも温厚である。
私がどうでもいい事でかんかんに怒っていたり、悪口を言ったりしていても、「まあまあ」と、可愛い笑顔で宥めてくれる天使である。
以前ピアッツァ時代にヤスがよく、「チカに怒られた、チカ恐い」等と言っているのを耳にしたが、「ダメでしょ」くらいの怒られかたであろうと勝手に思っていた。
どうせヤスもしょうもない事で怒られているのは間違いない。
ヤスが悪いに決まっているし、チカが恐いなんて有り得ないのだ。
先日のノムラ祭りにて、元ピアッツァのコマツが何故か主役級に弾け飛んでいた所、一緒に来ていた嫁が具合が悪いので先に帰るというので、「オマエも一緒に帰れよ」と言ってやると、「いえ、自分はお誕生日なんで」と、訳の分からぬ事を言ってまだまだ居る気まんまんである。
「古巣の皆と飲むのも久々であろうから大目に見るか」と放っておくと、コマツは嫁が帰るとますますエンジン全開になり、ついには色んな物をひっくり返し始めた。
「あのバカ」と思っていると、「コマツっ!!」と怒鳴り声が。
まさかと思うとチカである。
「いい加減にしなさいよっ!」と、真顔で怒られているではないか。
「これがヤスの言っていた恐いチカか・・」と、私は震え上がり、「何か言っとかなきゃ示しつかないかこれ?」と思い、「コマツ、ダメだよあんた」と軽く注意してみたもののチカの怒りは収まらず、近くに居たヤスまで「あんたねえ!」と、何が原因で怒られたか分からぬがとばっちりを食っていた。
ヤスは手馴れたもので黙ってやり過ごしていたが。
次の日、コマツの嫁が一人で「迷惑かけて本当にすいません・・」と、泣きながら謝罪に訪れた。
バカな亭主を持つとこんな謝罪行脚をしなきゃいけないのだ。心から不憫である。
「面白かったから全然いいって、チカは怒ってたけど、ハハハ!」と言うと、コマツの嫁はチカに向かって涙ながらに謝罪していた。
しっかり者のチカが居てくれて、うちの店は安泰である。
ノムラ祭り
9.11は私の誕生日である。
何年か前から、寂しい誕生日を過ごしている私を見兼ねた友人達が、「ノムラ祭り」と称して誕生会を開いてくれていた。 しかも年々エスカレートし、去年は「全員仮装で」というドレスコードまでひかれ、私などは喜んで柔道着を着たりしていたが、皆のアイドルである「スープカレーS」のリエちゃんが口ひげをマジックで描かれているのは不憫であった。
そしてついに今年の祭りは商業化され、「ノムラーノにて食べ飲み放題3500円」とした。 自分の誕生日に商売をし、尚且つプレゼントまで貰っているのだからとんでもない事この上ない。
柔道着だと似合い過ぎるので、今年はミニーちゃんのリボンを頭につけてみると、「気持ち悪い、腹が立つ」と不評だったので一安心である。
「カワイイ」などという間違った褒め言葉は無用である。
アグラチームから贈られたピザのケーキ仕立てである。
チカがくれたケンタッキー。
プレゼントというのはだいたい好物をくれるものなので、私が普段どれほどジャンキーな物を食べているのかが伺える。気をつけねば。
たくさんの方々に来て頂き、プレゼントを貰い、お祝いの言葉まで。
「こんなに幸せで大丈夫か私?」と思ったが、37歳の今まで独身なのでプラマイゼロであろう。
非常に楽しかったのでまた来年も懲りずに、自分による自分の為の誕生会をやろうと思う。
来てくださった方々に心から感謝を。
ハワイでの休暇
ハワイの事を悪く言う人に会った事がなく、皆一様に口を揃えて「良い所だ」と言う。
近年、南の島に関心を寄せていた私は、「一度行ってみたい」と考えていた。
そこに知人の結婚式の話が舞い込んだので、これはもう行くしかないと念願のハワイへ行く事になった。
「ハワイったら水着だな、ビキニだな」と思い、お客様に「ハワイに行くんでビキニ姿の写メ送りますよ」と冗談半分で言うと、「それだけは勘弁して下さい」と、切々と帰る間際まで言われ、一緒に行く友人にも水着禁止令を発令され、帰って来てからさえもお客様に「水着着たの?」と笑いながら聞かれる有様である。
着るつもりは毛頭なかったが、そこまで反対されるとは。
ブタに厳しい世の中である。
そして、英語が全く出来ないが、「ハワイは出来なくても大丈夫」という言葉に騙された感もある。
英語が出来なくて大変な思いをし、辛かった。出来るに越した事はないというとこである。
と、なんだかんだ言っても、非常に楽しかったのは、増えた体重が物語っている。
「次に行く時は自分の結婚式でありますように」と、祈るばかりである。
冒険に出る
ゲームが大好きで、特にRPGが好きである。
家に居ながらいつでもどこでも大冒険に出掛ける事が出来る、とんでもないゲームである。
大学生の時、ドラクエが発売になった日から1週間は、学校はもちろん、アルバイトも休みを取り、トイレに行く以外は1日中部屋にこもりドラクエをやっていた。
バイト先の店長に「1週間も休み取ってるけど旅行にでも行くの?」と聞かれ、「あ、はい」と答えたものである。旅行は旅行でも架空の世界への旅行であるが。
買ったばかりの攻略本は、家まで我慢出来ずに地下鉄の中で真剣に読んだりもした。
ドラクエが発売されると、異常な集中力を発揮したものだ。
その意欲を勉強に向ければどれほど良かったかと思うが、あとの祭りである。
今は少々大人になったのでそれほど入れ込んではいないが、40近いババアの割には一生懸命やっている方かもしれぬ。地図も持っていないのにすれ違い通信をしていて友人に叱咤されたが。
冒険ではないが、明日から本当の旅行に出掛けるのでお休みを頂きます。
6日の日曜日の「さっぽろタパス」からまた再開します。
ついでに11日の金曜日はなぜか、19:00~24:00まで、3500円で食べ飲み放題を開催しますので是非。
よろしくお願い致します。
置戸への旅
置戸町に大変お世話になっている方がいる。
私が「先生」と呼ぶその方の家では、塩と米以外は全部自家製だというくらいの生活をしている。
いつも鹿肉を送って貰っているので、「いつかは置戸に行って御礼をせねば、そして置戸の暮らしを見たい」と、常々思って1年経っていた。
そしてついに行く事になった。
最近、鹿の仕事を始めたアグラのナナエさんとカキモトさんと一緒である。
その日に行くのは分かっていたのに、前日に朝まで遊び、店で寝た私は酷い有り様で集合時間の8時に起き、「すぐにコンビニに寄ってくれ」とか、「悪いけど寝る」などと、札幌から置戸まで日帰りで運転するカキモトさんの気も知らずに言い放った。本当に私はとんでもない。
起きたのは、旭川でちょっとと、北見で塩焼きそばを食べた時だけである。
「ホテルくろべ」の塩焼きそばが有名らしく、そこでお昼を食べる事にした。
塩焼きそばにはライスを付けるか付けないか選べるのだが、ライスを頼んだのは私だけであった。
車の中では寝ていただけなのに、むっくり起きて食べる時は人一倍である。
ライスを持ってきた店員さんは、3人の中で唯一男性であるカキモトさんにライスを差し出した。
男性がライスを食べると思うのは最もであろう。店員さんが思うのも無理はない。
なので黙ってそのままやり過ごせば良いものを、カキモトさんは「いや、ライスはこちらです」と、わざわざ私を指差してしまい、北見まで来ていらぬ恥をかいてしまった。
置戸ではヤマメや野菜、卵などをごっそり貰って帰ってきた。
七面鳥や鳥骨鶏、他にも忘れたが色々な鶏の取れたて卵である。
その日釣ってきてくれたヤマメである。
すでに掃除まで済ませてくれていた。
いつも頂いてばかりなのに、出向いてますます頂いてしまった。
御礼に伺うつもりが、これではただ貰いに来ただけである。
結局、寝てばかりの貰ってばかりで、何しに行ったのだかである。
ヤマメはカルピオーネにしてみたので是非。












