実習生物語
ただいま専門学校から実習生の女の子「サキちゃん」が来ている。
普段は「サグラ」と「テルツィーナ」の2店にてアルバイトしているというサキちゃん。
若いのになんという努力家であろう。私が彼女と同じ歳の時は、毎日家でドラクエをしていた。
初日からかなり扱き使ってしまったのだが、彼女は一生懸命やってくれた。
平日のチカの居ない穴を埋めてくれたので、「いやあ助かったよ、さすがだね」と言うと、「私ドジでノロマなんですいません・・」と謙遜し、往年の堀ちえみの様な事を言っていた。控え目な所もまた素晴らしい。
週末にはチカも来るので、「チカ恐いからね、あたしもいっつも怒られるから」と脅してみると、「えーー・・どうしよう私ノロマなんで・・」とまた松本千秋になっていた。
さしずめチカは村沢教官か。
こんな事を言っていては本当にチカに怒られそうである。
卵と綿毛
そら色のたね、ノリコママの個展である。
ずらり卵と綿毛が。
圧巻である。
外にも卵。
瓶の中に綿毛。
ウイスキーの瓶に入っている船を思いだした。
そんな風には作ってないのであろうが。
ノリコママは卵と綿毛の様な可愛らしい人であり、会うといつも楽しくなる。
私は最終日にしか行けなかったのだが、個展初日に私が来たとママが言っていたらしく、「来てくれたんだね、ありがとう!」と、ノリコからメールが来た。
ノリコママは私に似た人と普通に会話したと言っていた。私に似た危篤な方が世の中には居るらしい。心からお気の毒にである。
因みに、円山にあるイタリアン「ソラーレ」に、同姓同名の「ノムラアキコ」さんが居る。
こちらは名前は一緒だが、若くて可愛い「ノムラアキコ」であったが。
そして、紹介したが個展は今日で終わりである。
次も楽しみである。
ゴミ
父は我が家のゴミ大使である。
暇さえあれば家中のゴミ箱を見て周り、ゴミがあれば即座に回収し、我が家のゴミステーションである物置へ持って行く。
その回数が半端ではないため、毎度物置へ行く父を見ては母が、「物置大好きだから住めばいい」的な事を言い放つ始末である。
7月からゴミが有料になり、ゴミ大使は俄然張り切り仕分けだしている。
おそらく、ゴミの分別下手な母に父が軽く注意したのではないかと思われるのだが、ついに母は早くも禁断の一言と思われる、「どうでもいい」を言ったらしい。父情報である。
それを聞いた私は、この時代にそれを言ったというのが、我が母ながら恐ろしいと心から感じた。
母が捨てるゴミは父が全て分別して捨てている。
せめて私くらいはきちんとせねば。
雨のせい
友人宅から帰ろうとすると雨が降っていた。
自転車で来ていた私は、置いていくと取りに来るのが億劫なので、なるべく乗って帰る方向で考えていると、「傘をさしていない人もいるから、自転車乗っていけるんじゃない」との友人の言葉に乗り、自転車を乗って帰る事にした。
「あー大丈夫だ行ける行ける」と、雨の中出発したのはいいが、次第に雨足は強まり、風まで吹いてくる始末である。そして到着地までまだ距離もあり、道半ばである。
「失敗したかも・・」と思ったが、道端に自転車を置いていく訳にもいかず、もう無心で乗るしかなくなった。
前日の裏参道のお祭りではしゃいで飲み食いしたのも、夜にレストランで食事したのも急に遠い記憶である。楽しかったあの時が懐かしい。もう二度とあんな楽しい事はないのかも。でも何としても家までは帰らないといけない。頑張れ私。
しょうもない悲壮感に駆られながらやっと到着地である。
ずぶ濡れで何もかも嫌になり、格好も何もどうでもよくなってしまった。
眼鏡をかけていたのだが、雨を拭く事もなくそのままで、服も濡れたまま、うっすら臭いそうなくらいの汚さであったが、それもお構いなしである。
やろうとしてた事を全部やめて、寝る事にした。
雨に打たれると全てのやる気を削がれる事が分かった。
これからは雨の日にふらふらと出歩かないと固く誓った。







