テント | のむりんのブログ

テント

友人は、人が「忘れて欲しい」と思っているエピソードをいつまでも覚えている。

高校時代にバレー部であった友人は、そのエピソードが大好きで、一人で語り継いでいる。


その日の部活は、男女一緒にストレッチやマッサージのやり方について先生が指導していた。

男子生徒の一人が練習台となり、先生がその男子生徒にマッサージをほどこしていたのだが、その男子生徒はなぜかそんな時に、男としての重要な部分の調子が良くなってしまい、生徒が騒然となってしまったのだ。

先生は場を和ませようと、「お前元気いーなー!」等と言って締めくくったらしいが、そんな慰めは高校生には通じず、男子生徒はそれからしばらく先輩にからかわれていたらしい。


友人はその話をする度に、「その男子生徒の名前と、その時につけられたあだ名を忘れてしまったから絶対に思い出したい」とずっと頑なに言っていた。

「それだも友達いなくなるわ」と言ってやると、「お前もね」とすかさず言われ、かと言って友達が居ない事を反省する気もない私達は、ただ大笑いするのが常である。


そんな折、友人がカウンターに一人で居ると、当時の同級生で同じバレー部でもある男が偶然にも来店した。

友人の目は輝き、開口一番にそのエピソードを話すと、ついにその答えを得られる事が出来たのだ。


当時のその男子生徒は「山田(仮名)」と言い、つけられたあだ名は「テント山田」であった。

私達はひっくり返って笑い、「テント山田!」と、何度も友人と言いあっていると、私の隣でチカが「・・テント」と言っているではないか。

私は耳を疑ったが、「チカがテントって言った!」と叫ぶと皆は仰天したが、本人は「なんでですか」と、分かってない様子である。

私達が言ってるのはキャンプのテントではないのだ。それをチカの口から聞くとなると、こっちの方が顔が赤くなるという話である。


友人は、「悲しい事や辛い事があったら元気出す為にチカちゃんからテントって聞きたい」と、言っていた。

そんな変なサービスの店にならないように気をつけねば。