みなさんこんにちは。境界知能当事者ノミです。

今回は、
【感想】(第三章・後編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話です。

 

 


このような方におすすめの記事です
・虐待サバイバーの方
・いわゆる毒親育ちの方
・自分自身に起こっている現象を知りたい方


 

 

本紹介についての記事はこちらです。
 

 

感想についての記事はこちらです。

第一章 発達障害としての子ども虐待


第二章 反応性愛着障害と子ども虐待(前編)(後編)

第三章 解離という現象と子ども虐待(前編)(後編)

 

第四章 高機能広汎性発達障害と子ども虐待(前編)(後編)

 

第五章 多動性行動障害と子ども虐待

第六章 子ども虐待の終着駅ー解離性同一性障害と複雑性PTSD

 

第七章 子ども虐待が脳に及ぼす影響

 

第八章 被虐待児へも包括的ケア1 心理アセスメント

 

第九章 被虐待児へのケア2 子ども自身へのケア

 

第一〇章 家族へのケア

 

第一一章 子育ての未来

 

 

 

 

 

第三章 解離という現象と子ども虐待

 

解離症状の分類

一般的にイメージしやすいのは、多重人格や狸寝入り(仮死状態・死んだふり)ですね。


愛着のように、解離症状は他の生物でも見られる現象です。

また、一般的な例だけではなくて、人によって多種多様な症状の表れがあります。
 

 

 

 

解離は2種類ある

パットナムは、解離には2種類あるとし、それぞれ特徴的な表れがあるようです。

記憶障害

  • ブラックアウト(記憶が飛んでしまっている状態)
  • とん走エピソード(気付いたら別の町にいて、その時の記憶がない)
  • 技能知識水準レベルの動揺(あるときは高い能力を示すのに、ある時は全くダメとか、日によって能力が変わること)
  • 自己記憶の空白(ある年齢の記憶が全くない)
  • フラッシュバック(突然トラウマ記憶に襲われる)

 

解離過程症状

  • 離人感(物事の実感がなくなる)
  • 被影響体験(何かに操られているような感じ)
  • トランス体験(没自我に陥る)
  • スイッチ行動(普段とは違う状態にスイッチが切り替わる)
  • 解離性思考障害(内なるお化けなどの声に邪魔されて考えがまとまらないなど)

 

 

※フランク・W・パットナム(Frank W. Putnam)
医学博士。
主に児童虐待と解離についての関係についての研究をした。
1979年、イエール大学での研修中に、PTSDのベトナム帰還兵の治療を担当。トラウマについての研究を始める。
1986年、NIMH(National Institute of Mental Health、国立精神衛生研究所)の研究員となり、多重人格性障害の研究を開始。
1999年、シンシナティチルドレンズホスピタルメディカルセンター(University of Cincinnati,Cincinnati Children's Hospital Medical Center(CCHMC))のメイヤーソン・センター・フォー・セーフ・アンド・ヘルシー・チルドレンの所長に就任。
2011年、ノースカロライナ大学医学部の臨床精神医学の教授に就任。


※メイヤーソン・センター・フォー・セーフ・アンド・ヘルシー・チルドレン(Mayerson Center for Safe and Healthy Children)
アメリカオハイオ州のシンシナティ小児科病院内の施設にあり、20年以上、児童虐待問題に取り組んでいる機関。
児童擁護センター(CAC)でもある。
医師、警察、弁護士、検察との連携もあり、早急な対応が必要な案件でも介入しやすい。
身体的、精神的、性的暴力など、様々な種類の虐待に対応するプログラムがある。
ホームページには、質疑応答や、日常的な子育て、虐待についてのコラムもあり、非常に分かりやすい印象です。

 


 

日常的な解離状態と、病的な解離状態の違いは何だろうか?

実は、私達は日常的に解離症状を体験しています。

日常的な解離状態と、病的な解離状態の違いは何なのでしょうか。
 

日常的な解離

  • 没我体験(テレビを見ていて夢中になる)
  • 軽い自動化現象(考え事をしていて、運転中に、どこを通ったか覚えていない)
  • 興奮状態(運動や性行為)
  • 例として、野球場で大声で叫んでいても、その間の記憶がとばない。

 

病的な解離

  • 自己分裂感
  • 親しい人、見慣れた人を識別できない
  • 解離自動症(自分の体験が不連続になる、知らない間に一連の行為がなされている現象)
 
日常的な解離は、全体を統合した意識の記憶の継続が保たれるのに対し、病的な解離は、平静に戻ったときに暴れたときの記憶そのものがなかったり、連続性がない(統合が存在しないままの切り替えが起こっている)状態という違いがあります。
 
 

離散的行動状態モデル
(Discrete Behavioral State Models、Discrete Behavioral States Theory(DBST))

パットナムは、解離を離散的行動状態モデルによって説明しています。

生理的な状態と意識状態とがワンセットになった行動状態の間を、スイッチを切り替えて移動することを表した行動モデルのことです。

赤ちゃんが、ぐずり、うとうと、大泣き、覚醒をするように、これらの異なったブロックを切り替えて、私達は生活しているという概念です。

大人の場合では、仕事モードとか家族団らんモード、運転モード、野球モードなどの切り替わり例が分かりやすいと思います。
 
 
 

病的な解離は水密区画のような動きをする

水密区画とは、船底にいくつもの部屋、区切られている区画があるという状態の事です。

もし水が浸入してきても、一部をの部屋を閉めることで、船全体の沈没となることを防ぐことができます。

これと同じように、圧倒的なトラウマ体験に対して、その部分だけを切り離して全体を保護をするという防衛機制が、被虐待児では起こっているようです。(解離現象)

幽体離脱のように意図的に意識を飛ばすことによって、スクリーンの向こう側のような、離人感を体感することとなります。

ぼんやりと、他人事として見ることができれば、今起きている虐待の痛みも、辛さも感じないし、耐えることができます。

 
 
 

解離の壁を溶かすことから始まる

被虐待児は、過覚醒状態が多い傾向があるようです。

気分の高揚があり、多動で衝動的、喧嘩が多く怪我もしやすい。

パッと見、元気があるように見えますが、実際は心が非常モードとなっています。

はしゃいでいる状態とは対照的に、不眠症状や生理リズムのずれ、過覚醒状態がみられます。

また、トラブルの際は解離を起こしやすく、目がうつろになったり、あくびをするなどもうろうとし、解離でも対処できないストレスの場合は、いわゆるキレる状態となり、暴れ出すこともあります。

解離による、連続性のない切り替わりが起こる(一つのモードに対応しても、別のモードへ移行してしまう)ため、記憶がとんでしまい、何度も対処する必要性が出てきてしまいます。

 

 

 


 

 

 

今回は、
【感想】(第三章・後編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話しでした。

 

次回も感想記事をお伝えしたいと思います。

 

 

 

それではまた!

 

 

 

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