みなさんこんにちは。境界知能当事者ノミです。

今回は、
【感想】(第二章・後編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話です。

 

 


このような方におすすめの記事です
・虐待サバイバーの方
・いわゆる毒親育ちの方
・自分自身に起こっている現象を知りたい方


 

 

本紹介についての記事はこちらです。
 

 

感想についての記事はこちらです。

第一章 発達障害としての子ども虐待


第二章 反応性愛着障害と子ども虐待(前編)(後編)

第三章 解離という現象と子ども虐待(前編)(後編)

 

第四章 高機能広汎性発達障害と子ども虐待(前編)(後編)

 

第五章 多動性行動障害と子ども虐待

第六章 子ども虐待の終着駅ー解離性同一性障害と複雑性PTSD

 

第七章 子ども虐待が脳に及ぼす影響

 

第八章 被虐待児へも包括的ケア1 心理アセスメント

 

第九章 被虐待児へのケア2 子ども自身へのケア

 

第一〇章 家族へのケア

 

第一一章 子育ての未来

 

 

 

 

 

第二章 反応性愛着障害と子ども虐待

 

反応性愛着障害とは?

愛着形成がされず、健康に生きるための適切な人間関係を作る能力の障害が生じるに至った状態のことで、国際的診断基準では、二種類に分けられています。
 

①抑制型
他者との安定した関係性が持てず、他者に対して無関心を示すことが多い。
ネグレクトの状態に置かれたときに多い。
自閉症圏の発達障害、特に高機能広汎性発達障害と酷似。

 

②脱抑制型
部分的な愛着関係の状態に取り残され、他者に対して無差別的に薄い愛情を示す。
ネグレクトに加え、身体的虐待、愛着者が一定でない場合に多く現れる。
注意欠陥多動性障害に酷似。

 

 

「子を愛せない母 母を拒否する子(ヘネシー澄子著)」をもとに、筆者が反応性愛着障害の表を作ったのですが、表れが発達障害にとても似ています。


愛着形成とは、脳の発育にも関わる非常に重要な要素と言えそうです。

愛着が形成されることにより、子どもが抱える不安が和らいで安心して生活を行えるようになりますが、愛着が未形成の場合は、不安が解消されず、心がいつも非常事態のままです。

虐待によって、脳の発達が適切に行われないだけでなく、他者との関係性を築くことも難しくなります。

また、虐待下で育った子どもの場合、前頭葉の部分に支障が生じやすいです。

前頭前野はおでこの裏側の位置にあります。

 


前頭前野と呼ばれる前頭葉の部分は、抽象的思考や、パースペクテイブの獲得(空間的、時間的、対人的な視点の移動を行うこと)などの働きを担っています。

この前頭葉の機能障害によって、整理整頓や計画を立てることが苦手、衝動コントロールが苦手、多動傾向の引き起こしや思考力や学習の未熟さなど、さまざまな障害につながります。

このように、非常に多岐に渡る問題・困難が起こるため、本人としてはとても苦労します。
 

重大な愛着障害は、脳の器質そのものを変化させ、部分的な愛着不全は、対人的社会能力に欠落を抱えることになります。

愛情提供者を抑圧者と学ぶと、愛そうとする人を拒否したり、大切な人を大切に扱わなかい反面、見ず知らずの人にまとわりつき、場当たり的な、その場限りの関係をとりやすくなるようです。

 

 

豆知識 グルーミング(性的グルーミング)

簡単に言えば、ゴール(性加害)への下準備のことです。

ターゲットとの信頼を得て、手名付ける行為とも言えそうですね。

「あんないい人が犯罪行為をするはずない!」というような、いわゆる「良い人フィルター」によって、告発に踏み切れなかったり、被害者自身による性加害の否認、問題の長期化につながっていきます。
 

 

豆知識 虐待的絆

著者は歪んだ愛着と書いていますが、不健康な愛着形成とも言えそうです。

虐待児は、「いかに暴力的な日常生活を送るか」ということが、生活するうえで重要だと捉えているのかもしれません。

虐待者の声、臭い、色、音、感触、恐怖、叩かれてしびれる体の感覚、喉が詰まり、胃が痛くなる、血が沸くような感覚、血が凍るような感覚、足元がぐらつくようなあの感覚、…。

それこそが、生きる基盤であり、なじみの感覚。

虐待児自身も、とても不快であり怖い日常生活を送っているはずですが、一方で、慣れ親しんだ感覚で安心する、ホッとするというような部分があるのかもしれません。

かくいう私も、身体的虐待、精神的虐待、性的虐待を受けていた時代、とても不快でした。

 

しかし、「これこそが私の人生だ」というような、なじみの感覚・安心するという感覚があり、とても不快だが安心する、という思いを持ちながら、当時は生活していました。

人生を立て直すという点では、マイナスからのスタートといっても過言ではないのかもしれませんね。

 

 

豆知識 虐待を受けた子どもは、兵士と同じ!?

こちらは記事。
The PTSD brains of children and soldiers - BBC News


こちらは動画です。

 

イギリスにある国立アンナフ・ロイトセンターの、イーモンマクローリー教授が解説しています。(主に虐待について研究している方。)
 

また、動画では、子ども虐待についての話をしていますが、私個人としては、家庭、学校、職場、コミュニティ内、親、恋人、夫婦、などなど。

 

環境や立場が変わっても、暴力を受けた場合は、こちらのような現象が当てはまるのかもしれない、と思っています。


ハンディキャップのある人は、暴力を受ける確率が高いかもしれません。
 

そのような人が、さらに苦境に追い込まれていく。


これほど辛いことはありませんよね。

 

著者が「虐待児のケアーは敗戦処理」と書いていたのも、ある意味うなずけます。
 

※アンナ・フロイト

精神分析という学問を創りあげたジークムント・フロイトの娘。
教員、ウィーン精神分析協会の会長、国際精神分析協会の名誉会長などなど。

子供の精神分析や自我の防衛機制について研究していた、草分け的存在の方です。

彼女が住んでいた家は、今はフロイト博物館として営業しているようです。

 

 

 


 

 

 

今回は、
【感想】(第二章・後編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話しでした。

 

次回も感想記事をお伝えしたいと思います。

 

 

 

それではまた!

 

 

 

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