みなさんこんにちは。境界知能当事者ノミです。

今回は、
【感想】(第三章・前編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話です。

 

 


このような方におすすめの記事です
・虐待サバイバーの方
・いわゆる毒親育ちの方
・自分自身に起こっている現象を知りたい方


 

 

本紹介についての記事はこちらです。
 

 

感想についての記事はこちらです。

2024年1月UP
第一章 発達障害としての子ども虐待
第二章 反応性愛着障害と子ども虐待(前編)(後編)

2024年2月UP
第三章 解離という現象と子ども虐待(前編)

2024年3月UP
第三章 解離という現象と子ども虐待(後編)

 

2024年4月UP
第四章 高機能広汎性発達障害と子ども虐待(前編)


2024年5月UP
第五章 多動性行動障害と子ども虐待

2024年6月UP
第六章 子ども虐待の終着駅ー解離性同一性障害と複雑性PTSD

 

2024年7月UP
第七章 子ども虐待が脳に及ぼす影響

 

2024年8月UP

第八章 被虐待児へも包括的ケア1 心理アセスメント


2024年9月UP

第九章 被虐待児へのケア2 子ども自身へのケア

 

2024年10月UP

第一〇章 家族へのケア


2024年11月UP

第一一章 子育ての未来

 

 

 

 

 

第三章 解離という現象と子ども虐待

 

解離とは?

解離とは、脳が目に見える器質的な傷を受けたわけではないのに、心身の統一が崩れて記憶や体験がバラバラになる現象の総称のことを言います。


繰り返し受けたトラウマ(心的外傷体験)により、高確率で起こる現象です。


脳への影響が表面化していないだけで、実際は水面下で症状が現れています。
 

こちらの動画では、幼少期の性的虐待が、時代的に悪魔に取りつかれたと捉えられていた話を挙げています。

 

 

こちらの記事でも書きましたが、生まれて初めての反応・応答が虐待によるものであれば、その後の人生でも、虐待的観点が人生の指標として、虐待児に付いて回ると思われます。

 

 

 

豆知識 抑圧された記憶・外傷理論・外傷的経験

子供の頃に受けた虐待・性的虐待という耐えがたい記憶のこと。

それを封印することによって、日常生活に影響が出る、いわゆるヒステリーの状態が起こると、フロイトは当初考えていました。
 
 
 

豆知識 「性的虐待はファンタジーだ」

その後、フロイトは、性的虐待を事実ではなくファンタジーとして捉えるという転換をします。

フロイトがカウンセリングを行っていく中で、近親姦の記憶などを訴えるクライエントが彼の予想をはるかに上回っていたようです。

そこで、フロイトは「こんなに近親姦が多いわけがない」と判断。
 
患者は幻想・fantasyの中にいるとしました。

これにより、誘惑論・誘惑理論という概念が生まれました。(外傷理論とも言います)

この理論では、少し見方を変えれば、虐待児は被害者ではなく、誘惑者・共犯者であり、主犯者という考えもできそうです。

つまり、大人の誘惑に耐えられず受け入れたという側面(幼児性欲)だったり、異性の親を親を独占したいという性的欲求(エディプスコンプレックス)による現象によって、性的虐待というファンタジーを作り出したのだ、という主張です。
 
こちらのショート動画が簡潔で分かりやすいです。

 

 

 
 

豆知識 「フロイトは隠蔽工作をした」

上記の誘惑論は、当時非常に批判・反対があり、受け入れらなかったようです。(現代も様々な意見があります)

フローレンスラッシュというソーシャルワーカーが、「フロイトは隠蔽工作を行った」と主張する出来事もあったようです。

こちらの動画は批判サイドの解説です。

 

「子ども虐待という第四の発達障害 第八章 被虐待児へも包括的ケア1 心理アセスメント」でも書かれているのですが、社会が虐待を認知する準備、受け入れる段階ができていないという状態なのかもしれませんね。

 

 

 

豆知識 虚偽記憶・過誤記憶(False Memory)

本人にとっての真実と、客観的な事実に相違が生じている状態。

1980年代以降のアメリカで、抑圧された記憶を引き出せば精神疾患は治ると考えたカウンセラー達が、催眠療法による治療を始めました。

それにより、女性のうつは幼少期の性的虐待が原因になるとして、加害をした家族を被告とする裁判が多発。

ある裁判では、原告側(訴えた側)に、ジュディス・L・ハーマンが加わり、性的虐待との関係性を示しましたが、法廷では予想を上回る不利な状況だったようです。


※ジュディス・L・ハーマン
「心的外傷と回復」の著者。(著書は、社会的な貢献に寄与した証のライトミルズ賞を受賞したようです)
初めて複雑性PTSDを提唱した。


被告側(訴えられた側)には、臨床的記憶の専門家のハーヴェイ・メアリー・Rなども加わり、さらにエリザベス・ロフタスの実験によって、勝訴が確定となりました。


※エリザベス・ロフタス
アメリカの心理学者。

マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点として活動している。
ショッピングモールの迷子の実験が有名。
(子供の頃にショッピングモールで迷子になったという、事実にない記憶を信じるかどうかについての実験)

偽記憶症候群財団(FMSF:False Memory Syndrome Foundation)の設立者。

 

 

 

被告側は勝ったものの、この裁判は非常に混乱しました。

(ロフタスの行った実験は、まるで日常の延長のようであり、成人を対象としている。被虐待児の秘密性が高い空間での虐待体験と比較することが、そもそも可能なのかどうかを疑問視する声)

(3/4の被験者は嘘の記憶と分かり1/4の被験者は偽の記憶を植え付けられた。偽の記憶を植え付けられた被験者・いわゆるレアケースの実験結果を、自身が提唱した理論の証拠・エビデンスとして使用するには、弱すぎないのだろうかという意見)

この裁判は記憶論争・記憶戦争・メモリーズウォーとも呼ばれました。
 

 

豆知識 ラモーナの偽記憶事件

1990年代のカリフォルニアでは、娘に虐待の偽の記憶を植え付けたとされたとして、父親であるゲイリー・ラモーナが精神科達を訴えた裁判がありました。

娘の精神科医、病院を訴えた父親は、性的虐待の事実はないことを主張し、この事件による離婚と失職による慰謝料、800万ドル(当時の金額で、日本円では約11億円)を請求。

※父親はワイン会社のロバート・モンダヴィ・ワイナリー(50年以上の歴史があるワインメーカー)の副社長だったため、破格とも言える慰謝料だったようです。

父親が勝訴し、慰謝料50万ドル(約7,200万円)が支払われました。

以下の記事が簡潔にまとまっています。

真の信者 (nytimes.com)
 

父親が「偽記憶」訴訟で勝訴-ロサンゼルスタイムズ (latimes.com)

 

 

 

豆知識 被害に気付くのは、11年後?

性被害の被害認識年数についての資料が載っています。

http://spring-voice.org/wp-content/themes/theme-bones-master/library/pdf/survey01.pdf
 
上記のラモーナの偽記憶事件の場合も、子ども時代の性被害ですね。

事件の内容によっては、気付いたときには時効となっている場合もあるかと思われます。

11年後(もしくはそれ以上)、裁判で証拠と判断される物が、残っているのか?

そもそも、子どもが証拠という概念を獲得しているのか?

まるで、「幽霊の証拠」とでも言うような、事実確認が非常に難しい案件が多いと思われます。
 
 
 

 

 

 


 

 

 

今回は、
【感想】(第三章・前編)子ども虐待という第四の発達障害

についてのお話しでした。

 

次回も感想記事をお伝えしたいと思います。

 

 

 

それではまた!

 

 

 

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