○省内での検討(タマだし)
いざ、制度改正!
となったら、1月からの国会に向けて、早ければ2年前ぐらいから局内で改正事項(課題)の洗い出しの作業が始まります。
例えば保育制度の改正であれば
・こどもを多く持つ親の負担が過剰な現状があること
・保育園待機者が多数に上る現状があること
などといったことが課題として挙げられますね。

内部ではこれを「タマだし/タマごめ(※)」といいます。
タマは急には思いつきません。

ですので、役人は、常日頃から関係者の声を聞きながら、制度改正
に向け、「タマ」を日々考えておく必要があります。
(※)拳銃に弾丸(タマ)をこめ、発射する様子と、新たな制度を世の中に打ち出す様子を重ねて表現したことが始まりだと思われます。
(※)余談ですが、役所用語には、切った張った系の世界の用語が数多くあります。たとえば
・2段ロケット(法律の施行日を2回に分けること)
・ロジ ロジステックスの略。もともとは兵糧の確保や補給活動を指します。役所では会議のセットやスケジュール管理など、政策立案(サブ)の対比として使う。
・紙爆弾(最近はないですが、ほかの省庁が計画している法改正に異議があるときに大量に質問を送りつけること)
・○○に被弾する(国会質問や主意書の対応が必要となり、飲み会に行けなくなったときに使う)
などがよくつかわれています。


○審議会での議論

タマだしと同時並行的に行われるのが、有識者にその時々の課題を議論してもらう審議会です。

審議会の委員には、政策が変わることにより影響
を受ける団体や、その分野の専門家などが(一般には大臣により)選ばれます。

審議会では、その政策の課題について委員内の認識を共有
した上で、対応策を検討し、最終的に、会として「とりまとめ」と呼ばれる文書を公表します。

このとりまとめを踏まえて、役所は法律案を作成することになります。

審議会では異なる意見を持つ委員による喧々諤々の議論が行われています。(当然ですね。そうじゃないと審議会をやる意味がない)

どんな議論が行われているか、もし興味があれば、「審議会」と「何か興味のある事項」をインターネットで検索してみるといいと思います。
役所で行われている審議会の議事録が見つかります。どの委員がどんな主張をしているのかわかって興味深いかもしれません。

なお、審議会において、役所は基本的には庶務として活動します。
言ってみれば裏方としての活動で、適宜委員から求めに応じた資料提出(議題となっている課題についての現状報告(ここの内容がタマだしともリンクします))や質疑の応答をしたりすることが主な業務となります

そして、審議会の議論がまとまりだすごろ、省内にひっそりと開設されるのが「タコ部屋」です。ここではタコならぬウミガメの産卵さながら、若手の我々が文字通り、涙を流しながら作業を行っています。

タコ部屋の話はまた次回に。