日本をよくするための政策を考えたい。

これが公務員を志望する人間の共通した動機です。

一方、公務員以外の立場から政策を変えることも可能。

あなたがどの立場から政策実現に関わりたいか。これによって職場は変わってきます。

「政策を実現する」という観点での違いをお伝えします。

 

〇公務員
強み:政策の細部を作りこめる。長期的に政策に関われる。
公務員は法案を作り、法律にするのが仕事。当然、担当の職員は、制度に「日本で一番詳しくなる」ことが求められます。

その知識を生かして、問題を解決するための制度の細部を作り込むことができます。

例えば、「〇〇制度を作ろう!」と掛け声をかけるのは役人ではなくてもできます。

しかし、その対象の要件、いつから実施するか、自治体との役割分担はどうするか、制度をどのように普及させるか、等については基本的に役人が関係する人々の意見を聞きながら制度として、つくりあげていきます。

 

弱み:発信力は今後の課題。
担当の制度については日本一詳しくなる一方で、その内容を世の中に発信する機能(能力)は高くありません。

これまでは、自治体・関係団体経由や啓発ポスターなどが政策周知の主要なツールでした。

しかしながら「必要な人に届いていない」という批判はあります。
最近では、横浜市が、TIKTOKと連携した乳がん検診の啓発活動を行い、約1億回の再生回数を記録しました(※1)。
このように届けたいターゲットと彼らの利用行動を踏まえた活動が今後は必要になってくると考えています。https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/iryo/2019/1112tiktok.html


②マスコミ
強み:世論喚起の力が強い。

マスコミは社会の声を拾い、社会に発信して世論を作るのが仕事。声を拾って、大きなうねりをすることができます。
例えば、献血制度。かつては売血が容認されており、貧困者が短期間の間に何度も血を売り、謝金を得る構造がありました。

売血により得られた血液は、効果が少ないほか肝炎を発生させることがあり、大きな問題となっていました。
当時の読売新聞の記者本田靖春はこの問題に着目し、「黄色い血」キャンペーンを連載。

大学生らによる活動も後押しし、や献血体制の整備へ国を導きました。
このキャンペーンがあったのは1964年ごろ。だいぶ古い話ですが、マスコミの力がよく表れています。


弱み:(当たり前ですが)長期的かつ詳細な制度設計にかかわれない。
若いころ在籍した部署に数年たって幹部職員として帰ってくる人事が公務員にはよくあります。

異動を繰り返すことによって、他分野の知見を別の分野に応用することができます。

制度に関する知識の膨大な蓄積、長期的に政策に関わることによる引き出しの多さ。政策を作る専門家としての公務員が持つ、ほかの業種にはない特色であるといえます。



民間企業(NPOなど)
強み:現場の視点を政策に反映できる。

民間の組織は制度の影響を受けながら日々仕事をしています。その業務の経験から制度の変革を働きかける、ということも可能です。

例えば、最近多児保育をしている方に対する支援の不十分さが話題になっています。

このうねりはフローレンスという病児保育を行っている団体の方がネットを使った呼びかけを始めたのがきっかけのようです。

​ネットでうねりを作った結果、国会で大臣の前向きな答弁を引き出しています(※3)。

私も、業務上、いろいろな民間の方にお会いしますが、

実際に現場で戦っている方々は、やはり凄みがある、と感じます。

公務員にはない特徴だと思います。
(※3)https://florence.or.jp/news/2019/12/post36748/

 

弱み:メインは事業であって政策ではない。関われる分野は公務員の方が広い
この立場からは、あくまで事業を中心にしつつ、制度の改善を目指すことになると思われます。

また、自身の所属する団体の事業を中心とした政策改善が主となります。

そのため、制度全体のバランスに配慮するといった仕事は公務員の仕事になります。




政策をどの立場から実現していくか、公務員、マスコミ、民間企業の立場から検討しました。


中身は当然公務員から見た整理なので少し偏りがあるかとおもいますが、そんなものかなと、受験生の役に立てば幸いです。