
「痩せっぽちのセス」
最後の一葉、苛立ち毟り、
踵にそれを磨り潰す、
重なり合う、磨り減り続ける靴の底が如くの私たちであることを、
尖らせた唇で、吹いた口笛、痩せっぽちのセスは猫背で水の音を聴いていた、
幽霊船が浮かんでた、夜の天より濃い水上に揺られてる、
その下には深海魚たちが群れなして、沈むはずのズガイコツたち待つんだろう、
治らないのは爪を噛む癖、首から垂れる真鍮製のカモメを模したペンダント、
俯くセスの爪の先には編んだ麻の古い靴、見たこともない花が甲に咲いていた、
寒がる潮風、夏はまだ少し先、
中空踊るツバメたちは8の字描く、くちばしにはたぶんチェリー、
巣には船から持ち去った、金や銀が子を待つだろう、
痩せっぽちのセスは煤けたシャツを脱ぎ捨てた、鳥のように舞う舞う白が、
嵐の前の海へと流れてそいつはたぶん幽霊船までたどり着くだろう、
吹いている口笛は、海賊たちの旅の歌、
思い出すのは去年の夏のエスパドリーユ、ブラウン管で眺めた冬の映画と、
痩せっぽちは今年もまた痩せっぽちになってしまった、
砂浜眠る小舟のうえでセスは見上げて青いものを数えてた、
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