
「海岸線」
マイナス200の空さえ灰に近い白、映画の街は晴れない霧に覆われていた、
粉になるまで降り注ごうとしていた雪は、まるで鏡を破ったみたいに宙にて光を跳ねていた、
冬の海の砂のように流れて消えてくれればいい、
風と波が弾け合わさる中空は、手を伸ばせばどうにか届いてくれるだろうか、
羊の毛を編み込んでいる、
鳥打ち帽を目深に被った男の眼は北極点の氷のように青白く、
扉の開いた木小屋のなかからドヴォルザークの新世界が流れっ放し、
耳がないから聴こえない、震える空気を風に向けた手のひらで、昨日の夜から感じているだけ、
行き先なんて何処にもないから仕方なく春を待ってる、
終わりを待ってるわけではない、然しは他に待つがあるでもない、
ときの流れは即ち終わりへ続く道、
冬の海の砂のように流れて消えてくれればいい、
風と波が弾け合わさる中空は、手を伸ばせばどうにか届いてくれるだろうか、
探し続けたあの場所は、春になるまで僕らを待っててくれるだろうか、
海岸線は光を東へ保ってくれる、
伸ばせばそこに、この手は届いてくれるだろうか、
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