
「青い庭」
星が静かで風もない、あまりに取り柄のない夜は、
ランプの揺れる途切れかけの赤の下、
四隅の黴た古い古い世界地図を眺めては、
自分だけの夢の世界を書き加えて気づけば本当の夢を見ていた、
背中の毛布が滑り落ちて目覚めたら、
温いミルクの甘い匂い、グランマが焼くチーズの香り、
遠い丘の稜線からは、その日もきっと良い天気、
フライパンの黄身のようにふくらむ朝陽、
春の近づく夜になるたび思い出すのは無邪気の季節の世界地図、
窓の外の青い草原、それは永遠なる景だとなぜだかずっと思ってた、
なぜだかずっと私はそう信じてた、
心身ひとつ、誰も彼もが健やかなれと合わせる手、
いまの私は世界の平和を夢に見るほど幼くない、
青い草原見続けた、季節はいまも生きていないわけではない、
けれども何かを信じようとするにはあまりに時間が過ぎてしまった、
春の近づく夜になるたび思い出すのは無邪気の季節の世界地図、
窓の外の青い草原、それは永遠なる景だとなぜだかずっと思ってた、
なぜだかずっと私はそう信じてた、
信じることができたまま、生きてゆけるほどには強くなかった、
信じることを続けていられるほど幼いままでもいられなかった、
季節は時を連れて廻る、立ち尽くすばかりの無防備なる私を置き去るように、
いま思う、永遠の青い庭が消えてしまったにしても、
それでも人は生きてゆけるかもしれないと、
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