
「空洞」
地下道を、か細い声が突き抜けてゆく、
小口径から弾き出される鉛のよう、
あるいは手負いで足掻く犬のよう、
其れは悲鳴、絶望しか含まれない、掠れて割れた滲む血の声、
君にも僕にも届いているが、応えることはできず俯く、
爪先には虫が這っているのが見えた、誤魔化そうとそいつを踵が捻り殺す、
希望はあるか、望む場所は見えているのか、
ありふれたる疑問のようで、存外、答えに窮するはずだ、
私たちは輪郭すらはっきりしない、曖昧なる願いばかり幾つも抱いて生きてしまう、
外は雨、真夜中には遠い時間だったのに、
雲は黒ずむ、流れて数日、溜まったままの血のように、
空洞を持っている、腹には空の洞を飼う、
其処にはなにが絶命し、何がいまだ呼吸を続ける?
底には何が溜まり続けて悲鳴に至るまで生きる?
君は其れに答えられる、僕は目前、其れを見る、
空洞で吠え、耐え、超えられず、
空洞に生き、絶え、膝を抱く、
その道は灯かりなく、出口は見えず、
その空には青も白も水もなく、
唯々いる、唯々ある、私たちという木偶が、
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