
「家へ帰ろう」
私の真上を飛行船が飛んでゆく、
陽光受けて光が跳ねた、銀の楕円は鯨の子供みたいに見えた、
伸ばした指の爪の先から背中へと、大海渡る鯨のお尻を渡り鳥が追ってゆく、
空はそのとき茜を射して、黄昏れゆく雲は溶けてた、
ちりんちりんとベルを鳴らして舗道を二輪が横切ってゆく、
お母さん、ねえほらカラス、
隣の補助輪、腕白未満が啼き飛ぶ影を赤い指で指し示す、
鯨も鳥も人だって、夕暮れ時には帰路を急ぐ、
そこにはきっと止まり木がある、羽根を休める静かな場所が、
帰る場所は今日も微笑み、疲れて足を引きずる私たちを待っててくれる、
ネズミの親子が天井裏で届いた絵手紙、懐かしげに回し読み、
眠れずにいる私たちはそんな風景、思い浮かべてくすりと笑う、
洗ったばかりの白いシーツにくるまって、ずっとこうしてたいねって、
ウサギやリスには森の樹が、空ゆく船には発着場が、
光を受ける地上のどこかに帰る場所がきっとある、
明日なき旅人たちなら帰る場所を探してるんだと、いつか君が教えてくれた、
私の真上を流れる星が走ってく、青い尾っぽの光が滲む金の球体、
夢に描いた花のことを思い出す、
伸ばした指の爪の先から背中へと、まるで水面へと浮き上がる、
流れる光を私たちが追ってゆく、
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