
「白鳥」
青い葉くわえ反る背骨、氷の色の透き通る、
青い青を切り裂き抜けゆく白鳥たちは眼下に這いつく詐欺師の群れに小便垂れた、
〝跪く、そして手を組む、沈痛なる汝の声は、
悲痛なほどに滑稽しかない残念ながら〟
神も天の使いでも、護ってなんてくれやしねぇと、
幼稚すぎる幻に反吐をした、それから枯れてしまうまで、
唾を吐いたら嗤ってやがる俺がいた、
見上げるしかない天には夜を急ぐ白鳥たちが、
月明かりに縁取られた赤い森へと帰る刻、
ペパーミントの葉を一枚、琥珀注いだグラスへ浮かべ、
揺れてる様を眺めているのは悪くなかった、
生憎、そいつが沈んでくのは全てに終わりが近づいてるから、
白痴とサボテン、
ベッドサイドの写真に映る砂漠のキャラバン、
駱駝と木彫りの聖母に黒黴、
犬ぞりたちは雪上を、
金髪なびく冬の原野で鹿が月に向ける角、
奴隷商と武器商人が偽造金貨で死にたがりを募る街角、
ガス燈には羽虫とボロを纏う貧民たちが集まって、
街娼たちが痩せたドレスで風に耐える、
嗤いたくて仕方がないのに夢にまで現れる、
景色はどうにも飛び起きずにはいられない、荒景ばかりが焼きついた、
天地を思わば、どうにも此処は地にしか過ぎず、
私たちは這う獣、地上だろうが地下であろうが、地獄だろうが奈落だろうが、
私たちが生きるのは、どうにもそんな荒景ばかりだ、
〝跪く、そして手を組む、沈痛なる汝の声は、
悲痛なほどに滑稽しかない残念ながら〟
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