
「青い鳥」
歩き疲れて靴は磨り減り、踏みしめるには踵が足らぬ、
痺れるほどに爪先伸ばせば窶れたあばらに風軋む、
青く醒めたる天を仰ごう、然しは届くはずもなく、
ならばいっそは飲み込めるかと舌を出す、
吐き気に呻き、背を折り垂らした涎には、
期限の切れた感情共が拾い集めた言葉になって溢れ出た、
あまりに青には似合わぬ姿よ、
ありふれたる自己憐憫が地中で腐る、墓場に独り立ち尽くす、
両肩からは何もないがぶら下がる、握るものなく垂れ下がる、
富みながら健やかなる者、病みながら富持たぬ者、
病みながら富める者やら富めずに唯病める者、
頭上に烏は吐き笑い、更なる上にて空はいまも青ざめる、
青い鳥ならお前が空腹しのぎに眉をひそめて飲み干した、
スープに肉が浮かんでいたろう? 以前はそいつが飛んでいた、
知らないなんて言い訳なんざ、親子の野良さえ食わないだろう、
やがてその歯はナイフになって、お前の背骨に突き立つだろう、
スプレー缶をからから振って、十字に灯る蝋の火を、
膨らませて浮き上がらせた、飛び立つ鳥の姿を真似て、
青い鳥ならお前が退屈しのぎに撃った、散弾銃に落とされたんだ、
いまは誰かの胃のなかで、スープになって溺れてるんだ、
そいつの犬になって尾を振りながら、喉を噛み切る刻を待つ、
岬に眠る難破船の点鐘が、明日空を泣かせるのなら、
犬になって青い鳥の尾を追って、背骨を肉ごと噛み砕く、
砂に咽び泣くように、砂の時間に流されて、
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