

【台風】【雑記】海鳥と難破船
台風の接近を知ると時間を作ってでも海を見にゆく。
波が高ければ岸壁から見下ろし、そうでなければ波打ち際に下りて海鳥たちの姿を探す。対岸の工業地帯から風に煽られたサイレンが届いてくる、接岸する船の汽笛も聞こえる。
耳をすませば。
上空を周遊する白い海鳥たちが騒いでいるのがわかる、そして、眼前には打ち上げられたまま身動きのとれない難破船のような流木が横たわっていた。
流木ビジネスなんてものがあると聞いた、けれど、これは大きすぎて売り物にはならないだろう。なにせ軽トラックの荷台にも乗り切らないようなサイズだ。
近づきすぎないように周囲をぐるり視認してみる。経年を感じる。倒れた(もしくは倒された)一本に枯れた蔦や海藻が絡まり合い、その重量のせいか、この海岸に流れついてからはどこかへ流れ消えてしまうこともなく、無言に佇み、虫たちの住処になっている。
天気は良くないものの、台風らしい雨風はない。波もふだんと変わらない。
けれど。
この難破船だって、いつまでもここにいるわけではないだろう。明日にはどこかへ出航しているかもしれない。
もし僕が小さな虫であれば、この難破船の水夫として、見たことのない景色へ航海するのも悪くない、そんなことをふと思った。
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