2番目以降は覚えてもらえない
よく言われる話ですが、人間「一番」はよく覚えているのですが、「2番」はほとんど覚えている人はいません。
「日本で一番高い山は?」と聞くと誰でも答えることができますが、「日本で二番目に高い山は?」と聞くと、ほとんどの方は答えられないです。
(ちなみに日本で二番目に高い山は、山梨県、南アルプスにあります「北岳」(標高3,193m)です)
専門家も一緒で、「○○なら××で一番です」と言い切っている人間は覚えていますが、「何でもできます」と言っている人は印象にさえ残っていません。
私は「資金調達に関することなら大阪で一番のコンサルタントです」と言っていました。
日本で一番と言うほど自信がなかったので(今から考えると、大阪で一番というのも、かなり吹いていたとは思いますが・・・)、「大阪」にしました。
「一番」と言いたいのであれば、自分が自信のある範囲まで絞ってもOKだと思います。
例えば「北摂地域で一番」であったり、「港区で一番」であったり、もっと絞れば「新橋界隈で一番」でもいいと思います。
頭に残るのは「一番」という言葉。
二番目以降は十把ひとからげになってしまいます。
すなわち、覚えてもらえない。
だからこそ「一番」と言える何かを持っておくことが必要になってきます。
先日、「ヒガシカワさん。事業承継に関するコンサルティングなら、東京で二番目です」
と言い切っているコンサルタントの方に会いました。
「二番目とはめずらしいですね。一番は誰ですか?」
と尋ねたところ、
「それは知りませんが、一人ぐらいは私よりよくご存知の方がいらっしゃると思っています。だから2番目なんです」
と堂々と答えられました。
あつかましいのか奥ゆかしいのかよくわかりませんでしたが、わざと「二番目です」というところが印象に残りました。
もしかして、彼の策略にまんまとはまりましたかね?
絞り込むからこそ紹介が生まれてくる
士業が仕事を獲得していく上で、よくしがちなのが「業務範囲を広くとってしまうこと」
名刺交換をしたときに裏を見ると、書かれている「業務内容」が9行も10行もあって、「この人、何ができるのだろう」と悩んでしまうこともよくあります。
「業務を絞り込んだら、来るはずの仕事も来なくなるのではないか?」と不安になるのはよく理解できます。
でも、逆なんですよ。なぜなら・・・
士業が仕事を獲得する一番大きなチャネルは「紹介」です。
紹介してくれる方が多ければ多いほど、仕事を獲得するチャンスが増えます。
では、どういうときに人は紹介してくれるのでしょうか?
私は以前、金融機関に勤めていました。
時々、取引先のお客様から
「ヒガシカワさん。○○に困っているのだけれど、知り合いの方で○○に詳しい専門家はいらっしゃいませんか?」と何度か尋ねらたことはありました。
仕事柄、いろいろな専門家の方々と名刺交換はしたことはありましたが、深くつきあったかたはほとんどいませんでした。
誰にお願いしようかと悩みながら、いただいた名刺を見てみると、ほとんどの方を思いだせません。
その中で思い出せたのは、「××なら一番得意です」と言っていた◇◇さんという専門家。
「何でも対応します」という専門家では決してありませんでした。
ぴったりの専門家ではありませんでしたが、その専門家に連絡して、「◇◇さん、以前「××なら一番得意です」と言っていたけど、「○○という業務はできますか?」と問い合わせました。
どんな専門家でも、得意な業務だけをやっているわけではないということは知っていましたし、他の業務でも一番得意なものを持っているぐらいの◇◇さんだから、一番得意でなくても、何とかしてくれるだろう」と考えたからです。
「何でもできる」人は印象に残っていませんし、後で名刺を見ても思いだせません。
印象に残るのは、得意分野である【キラーコンテンツ】をもっている人だけです。
だからこそ、他の業務の依頼も来ることになります。
セミナー講師になりたい人を応援することで広がる人脈
経営コンサルタント、セミナー講師という仕事柄、士業・コンサルタント・講師と知り合う機会が数多くあります。
そのなかの少なからずの方々が、「自主セミナーではなく、外部のセミナーから講師として招かれたい、声をかけてもらいたい」というニーズを持っているので、私も普段からそういった方々のサポートを心がけています。
先ごろ知り合った研修講師にも、セミナーエージェントへの登録を薦めました。自分に合ったエージェントを選びやすいように各社の傾向もあわせてお知らせしたところ、相性の良いエージェントに登録できたとたいへん感謝されました。
今は全国各地からよばれる売れっ子講師として活躍中で、私もうれしい限り。研修の場では経営者から相談を受けることも多いとのことで、自分の専門外分野の相談相手として、私をよく紹介してくれます。私としても、見込み客と「紹介」という形で出会えるのはとてもありがたい話です。
具体的な情報なら、相手も行動を起こしやすくて助かる
知り合えた場で相手の情報を収集するとき、「相手が何を欲しているのか」を意識することが大切です。そして、相手の求めるものについて自分が何らかの情報を持っていれば、惜しみなく伝えましょう。
そこで大切なのは、その情報が具体的であること。私の場合だと、単に「エージェントに登録すればいいですよ」だけでなく各社の特徴、もし尋ねられれば報酬額の設定方法まで隠さずお話しします。
また、「講師としてよばれる」ために役立つセミナーの開催情報、自分がセミナー講師として選ばれたときの体験談を話したりすることもあります。さらに、要望があれば、採用されやすいセミナー企画書のアドバイスや添削も行い、その方のセミナーのクオリティが高ければセミナーエージェントに直接、紹介することもあります。
注意したいのは、押しつけがましくしないこと。たとえよかれと思っても、親切の押し売りになっては相手も辟易します。私も普段から気をつけたいと肝に銘じています。
●相手のための情報やサポートは、できるだけ具体的に