ネパールの極西部ダンガリへ行ってきました。
ここで知的障害児のデイケアセンターが出来「是非アドバイスをしてほしい」と依頼がきたのです。ありがたいことです。
今年の青年海外省力隊のキャッチコピー「必要とされる日本人でありたい」。
そんなそんな大それたこと・・・。
なんて白い目で見ていましたが、地方のセンターから頻繁に(ホント頻繁に!)電話がかかってきて「次はいつ来てくれるの?この前教えてもっらった○○実践してるよ~」なんて話を聞くと辛くても地方のセンターに足を運びたいなぁと思うのです。
さて、今回のダンガリ訪問“嬉し涙、感激”の6日間でした。
●1日目:晴れ●
12時半のフライト。荷物も多いのでタクシーで空港へ。この出費なんとかならんもんか・・・。
すると・・・
「ダンガリ空港閉鎖中なので、待っていてください。」
とのこと、一昨日も飛ばなかったらしいし・・・心配。
空港で座っていた椅子が壊れパソコンを落してしまい!ヒヤっ!!
1時間程待つと、「急いで!!すぐ飛びます!!」
というアナウンスで、大急ぎで飛行機へ。
久々の1時間以上のフライト!
しかも、ずーーーーっとヒマラヤが見えていたのです!マウンテンフライト!!
興奮興奮!マウンテンフライトでは西側は回らないので贅沢なフライトです。
エベレストは見られませんが、ダウラギリやマナスル、マチャプチュレが美しくみえました!

上から見るとマチャプチュレの近さがわかりますね。

空港に着くと、センターの方がお迎えに来てくださっていました!
この日はセンターの方と街を散策して、手に入る物をチェック。
私は基本マテリアルはカトマンズから持ってきません。
全て現地で揃えて、スタッフと一緒に買い、スタッフと一緒に作ります。
今日の買い物。
・風船
・模造紙
・画用紙
・のり
・色鉛筆
・テープ
今日のもらいもの
・段ボール
・王冠
※この地域はお酒を飲む習慣が強いのか、王冠の種類が豊富!!王冠の種類だけで6色揃いました!嬉しい!しかも知的障害児に教える為に使うと言うと、快く無料で譲ってくれました!
子ども達は既に帰ってしまっていたので、誰もいないセンターを見学。
元々インターネットカフェだった部屋を改装してセンターを開いていました。窓もなく、カーペットはあるものの、寒い!!机くらいあるといいのだけど・・・。それもありません。
夕方、街でやっていたお祭りを見物し、ホテルに戻り休憩していると、
なんとスタッフがお弁当を作って持ってきてくれたのです!!嬉しい!!
しかも絶品のチキンカレーとゴーヤ炒め。
ということで、ホテルもまぁまぁ快適だし、wi-fi無料でネットも出来るし、快適な出だしです!

自転車の多い街です。さすがタライ地域!

リキシャーの運転手さん。このリキシャはフェラーリ製です!?
●2日目:終日くもり●
夜は12時以降まで、朝は5時前からホテルがうるさく、私にしては珍しく熟睡できず、久々の耳栓!
朝、センターに行くと大学生のスタッフ2名、利用者4名が来ていました。
センターの問題点や、スタッフからみた保護者達について事前情報をもらい、明日の保護者会へ向けての下調べ。
大学生のスタッフ2名は、ゲームを中心に子ども達と楽しそうに遊んでおり、これは吸収してくれる余地あり!最初からノートを広げて鉛筆を握らせる人が多いのです。
今日はスタッフがいつも行っているボウリングゲームを少し発展するようなアイデアを提供しました。

また、スタッフ向けに「ダウン症」「自閉症」「脳性麻痺」について簡単な簡単なレクチャーをしました。
何より子ども達が楽しそうにしているのが嬉しく、楽しみな5日間になりそう!
さて、午後は手遊び歌をしようかな?なんて思っていると、、、
今日は結婚式だから、午前で終り!ユキも結婚式に行かなくてはなりません!
と、衝撃の事実・・・
なんで、今日結婚式かなぁ・・・それは今日が結婚にふさわしい日だからです。日本で言う“大安”だからです。
結婚式の様子は別途ブログに書きます。
そんな2日目が終了。すでにクタクタです。
●3日目:終日曇り●
午前中
脳性麻痺(かな?)と思われる子の保護者と家庭での苦労、今後についてを話しあいました。
彼は知的には問題がない子です。デイケアセンターに来るまでは何度か普通学校に通ってみたものの、ずっと耳をふさぎ行きたがらなかったそうです。
デイケアセンターも開設当初は笑顔もなく、元気もなかったそうですが、今では楽しくて毎日お母さんやお姉さんに背負われて喜んで通っています。
しかし、お母さんは不安で不安で仕方がない様子。
そこで、同期隊員の理学療法士が1年間かけて支援してきた脳性麻痺の子どもや、ネパールで出会った脳性麻痺の教員補助をする先生の話をすると、お母さんも少し前向きになってくれたのです。そして、なんと彼自身が「普通学校に通って勉強したい!」と言い出したのです!ずっと涙目だったお母さんの晴れやかな顔!!
彼は今は家以外ではトイレが出来ません。そこでプラスチック椅子で簡単に作れるトイレの提案をし、トイレの自立の重要さをお話ししました。ネパールでも作れる!外国の特別なものではない!これを作ってくれるといいのですが・・・。

午後

保護者会の皆さん、軽度の知的障害の成人が集まるということで、ロウソク作りのボケーショナルトレーニング、「知的障害って何?」というシンプルなプログラムを用意して行きました。
ロウソク作りのトレーニングはずっとやりたかったとのことで、楽しみにしていた人が多く、本日作ったロウソクは見事完売。ほんのりピンクにしたことがマダムの乙女心をくすぐったかな?

save tha children norwayの作った障害者についてのシンプルなテキストを使ったのと、自閉傾向にある子どもの問題があるとのことで、自閉傾向の子どもに対する対応と、彼らがなぜ常同行動や自傷をするのかについて説明、また、カトマンズで出会った子や日本の職場の利用者さんを例にし、急な成長は難しい障害であること。しかし、彼に合う支援が出来れば仕事もすることができるという話をしました。


予想以上に賢い保護者の方が多く、私のつたないネパール語も理解してくれ、意見交換も積極的に行え本当に嬉しかった!
そして、障害手帳の問題点についても話し合いました。
この地域の女性開発事務所(障害者手帳の発行元)は以前JICAの青年海外協力隊が派遣されていました。なので期待していました。期待の通り(?)障害者手帳の発行はされていました。(発行すらしていないところも山ほどです!)そして、障害者給付金も対象者には半年に一回支給しているとのこと!(手帳を配って終り!の所が多いのです!)これは今まで聞いた中で最も優秀!!
しかし、知的障害に関する知識はまだまだで、給付金が貰えるようなレベルの手帳はもらえないそうです。「私は障害者です」っていうだけでなんの特典もサポートもない手帳だそうです。
保護者会が終わった頃。。。
新聞記者がのこのこと登場。遅いわ!!
そして、やるきなく精神障害なんでしょ?と何度も言ってネパール人スタッフも激怒。。。
「精神障害と知的障害は違うって何度言わせるのよ!!ちゃんと書きなさいよ!!」
と喧嘩。
プライドの高そうな記者だったので

「あなたのような知的でメディアリテラシーが出来ているであろう方でも、知的障害の事をわかっていない。日本や他国ではそんなことありえません。あなたと話しているだけでもネパールの問題が見えてきますよね?」
と嫌みの一つと保護者会の写真をプレゼントし、記者は帰って行きました。
●4日目:終日曇り●
早速、新聞に掲載されていました~!しかも1面!活動のことが載ると嬉しいものです!

センタースタッフ向けにマテリアルの作り方、なぜ使うか、どう発展させるか、といったディスカッションを行いました。
また歌を使った支援方法、自閉症児に有効な方法などを実践を含めて紹介。

子どもの「良いこだわり」を見つけて、そこを生かしてあげることを伝えてみましたが・・・

そして、センター関係者と一緒に白い壁に的当ての絵を一緒に描いてほぼ完成させました!
初日に提案したことがもう形になっている!しかもセンターのお金でやってくれたことが更に嬉しかった!あとは子ども達に使ってもらえるようにしなきゃ!


センター終了後、前にボケーショナルで作った造花の花を置かせてもらっているというホテルに御挨拶。立派な☆☆☆のホテルの部屋に飾られていました。これを他のホテルにも紹介して買ってもらえるといいのですが・・・。



ここのセンターの頑張りがみえます!
●5日目:終日曇り●
今日はダンガリに住み視覚障害者の盲学校を運営しているルパさんが、わざわざ私に会うため出張中のカトマンズから飛んで帰ってきてくれました。

この方は全盲で何も見えないとのことなのですが、御自分でお金の管理から学校運営、村落地へのホームビジットもされていました!見えていないということを忘れてしまうほどアクティブ!!
センターで作ったロウソクのボーケーショナルトレーニングを自慢げにルパさんに渡すセンター長。そこで、ルパさんが凄いことを言ってくれたのです!!
「これはフィニシングが悪いから、ダメ!商品というものはフィニシングを良くすれば価値が上がって高く売れる。同じ材料を使って出来る努力をしなさい!」
これがネパール人のセリフです!!もう、感動してルパさんに抱きついてしまいました。
「クオリティ」売り物にするのならばクオリティを考えなくてはいけない。
ずーーーーっと私が言ってきたこと。
でも、ネパール人に解ってくれなかったこと。
解ってくれる人っている!
「沢山のネパール人に会う!」
そう決めた私の活動に光が見えた瞬間でした。
そして、私が伝えたかったことを、ルパさんが代弁してくれるかのようにセンターのスタッフに話してくれたのです。
センターのスタッフも力強い彼女を見方につけ、嬉しそうでした。
●6日目:飛行機飛ぶかな?心配なほど曇り●
飛行機は昼便の為、朝一でルパさんの運営する盲学校のホステルを見学に行ってきました。
ルパさんがホステルに入ると生徒達が大喜びで
「ルパマダム!ナマステ!」
と駆け寄ってきました。
綺麗に整理された部屋。考えられた食事。今まで見てきたホステルの中でとても上手く運営しているように見受けられました。
政府からのお金だけでは足りないため、ノルウェー(またもノルウェー!)からの支援で食費などを賄っているとのこと。
また、保護者から事前に医療費を徴収してあり、病院にもすぐに通えるシステムを作っていました!素晴らしい!
なにより、子ども達の健やかな顔!!本当に楽しそうで幸せそうなのです!彼女のようなカリスマ的な同じ障害を持った人が近くにいれば、目標にもなるのでしょう。
ルパさんをキーパーソンにダンガリの障害者支援は発展していくに違いない!必ずモデル地域になれる。そんなことを思いました。
残りの任期可能であれば、この土地で活動したいなぁ。と思わせてくれる6日間でした。
帰国前にあと1度は2週間くらいどっしり腰を据えて滞在したい!
本当にネパール大好き!!
そして、この仕事が大好きだなーと思いました!
皆既月食














































