皆を見送ったのち、私は一人残ることにしました。
と言うのも、空港のあるバイラワに「デイケアセンターが開設したので見に来てほしい」というオファーがあったからです。
さて、予約していた宿にチェックインをし
「6泊しますから安くしてね!」なんて交渉も済ませ、
デイケアセンターの責任者に「バイラワ到着しましたー」と電話をすると
「僕が住んでいるのはバイラワだけど、デイケアセンターはルンビニだよ。ルンビニ来てちょうだい。」
え・・・ルンビニってバイラワからローカルバスで1時間・・・
空港近くのバイラワと聞いていたから、体重計やらマテリアルなど多荷物で来てしまいました・・・。
どうする・・・この多荷物。
今回は、肥満チェックは諦めることにし、最小限の荷物を持ってルンビニへ移動しました。
「さて、ルンビニに着きましたよ。センターはどこですか?」
迎えに行くのでと、待ち合わせをし、責任者のボスと車に乗ること・・・・


♪こんな道を走ること1時間・・・

♪ジャングルの中にこんな大きな学校が!
この学校の校舎の1部屋を借りてデイケアセンターが開設されていました。


♪ものすごい歓迎でした。50個近い花束をいただきました。ほんの一部。
初日はブトワルという大きな街からラジオの取材も来ていました。
「日本のJICAからボランティアで来ているユキさんにお話しを伺います。ユキさんは“知的障害者でも学校に通う必要がある!”と訴えています。」
と、そんなことをいう外国人初めてだぞ。とでも言うかのような雰囲気で、インタビューが始まりました。

子ども達もインタビューを受けます。
「学校に行けてどうですか?楽しいですか?何を学んでいますか?」など・・・。
私の出演は15分程でしたが、わかりやすいネパール語で質問していただいたので、答えやすく、また啓発活動のひとつになったかな?と棚ボタでした。
余談ですが学生時代4年間ラジオ局でアルバイトをしていたワタシ・・・
原稿も打ち合わせもキュー振りもなく、ボイスレコーダーのみで番組を作ってしまうネパールラジオにビックリ!貴重な経験ができました♪

さて、子ども達は23人。ほとんどの子どもが、このように保護者の方に自転車で連れられやってきます。

先生は手探りしながら、子ども達にわかりやすいように頑張って教えていました。
先生が頑張って描いたゾウ。キュート!

先生、と言っても、利用者の保護者。この夫婦がボランティアでデイケアセンターを運営していました。

外国人が珍しいのでしょう。常に大勢のギャラリーが見学していました。

先生の絵本の読み聞かせ!これが素晴らしく上手で感動!才能ある本当に素敵な先生方!

先生と一緒に作った絵カード。日本のように黒板にマグネットなんて出来ません。工夫工夫。全て現地で手に入るもので作りました。洗濯バサミ、画用紙、ビニールテープ。ひも。以上。

お店でコーラの王冠をもらってきて数の勉強。机もないので、ちょっと大変そうだけど、楽しんでくれました。

ひもを使って「電車ごっこ」ならぬ「ジャングルのぞうさんごっこ」これが大ウケ!!

ホームビジットもしてきました。

家畜の世話のお手の物!?


最終日、私が来ていることを聞きつけたルンビニの僧侶がわざわざ訪ねて来てくれました。
ありがたいことです。

毎日山もりの昼食を利用者の保護者の方々が持ってきてくれました。

最終日に集合写真を撮りました。初日は20家族が集まりましたが、2日目~最終日は10~12家族。話をするには充分の人数でした。
結局、4日間の訪問でしたが、初日“外国人が来る=何かもらえる!”と集まってきた山ほどの人。「寄付してくれ。寄付してくれ。」というお偉いさん達。もう、慣れました。しかし、お金や物が貰えないとわかっても、自分の子どもの為と、来続け、真剣に私の話を聞いてくれる親御さんが何人もいました。
R君という片麻痺の少年がいました。
彼は、このセンターが出来るまで、家の中でずっと笑うこともなく下を向いたまま生活をしていたそうです。
麻痺は酷くなり、右手は広げることも困難になってしまっていました。
このセンターが4か月前に開設し、彼は毎日ここに通うようになりました。
すると、毎日ゆっくりゆっくりと下お向いたまま食事をしていたのが、
さっさと朝食を食べ「学校に行こう!!」と言うようになったそうです。
彼は学校で大笑いをして楽しそうに過ごしています。
「こんな笑える子だったなんて信じられないの」
とお母さんが話していました。
そして、私がネパールの歌をアレンジした手遊び歌を教えると
歌の最後に手をパチパチ!と拍手するところで、R君の固まっていた手がフワーっと広がり
両手でぎこちないながら拍手しながら歌ったのです。
お母さんは「この子が拍手が出来るなんて・・・」と涙を流していました。
先生の携帯電話で写真を写し「お父さんや家族に見せなきゃ!!」と、大喜び。
ちっとも特別なことをしたわけでもないのに、ユキすごい!!と希望を持ってくれる保護者の方々。
ネパールに来て本当に良かった。と思える瞬間でした。
保護者の方と沢山の話をしている中、悲しい話も沢山聞きました。
娯楽の少ない村落部。行くところがなく徘徊してしまう知的障害者を面白がり、お酒や薬物などを与え酔っておかしくなっているのを見て楽しむ人達がいるそうです。
実際に被害に合い、紙タバコ(日本にはないのですが、石灰のような。。。中毒性のあるものだそうです)が止められなくなり、物乞いをしてまで紙タバコを買い食べ続ける知的障害の少年にも会わせてもらいました。
自分の子どもは彼のような被害に遭わせたくない。そう危惧した保護者が力を合わせて知的障害児の日中の安全を守っているように思えました。
個別支援計画・・・肥満対策・・・シンプル理学療法・・・デイケアのスケジューリング・・・
なんて頭でっかちになっていた私ですが、
“毎日安心して通う場所がある”ということが自然とソーシャルワークへとつながり、理学療法にもつながるのだということを、知りました。
やらなきゃ!やらなきゃ!と、もがきにもがき苦しんだ1年半。ようやく自分がネパールに残せるかもしれない小さな小さな“なにか”が見えたような気がしました。
ネパールは広い!!もっと見て、知り合っていかなきゃ!!!

♪今回の素敵スマイル賞!