審査員からみたNコン2010は?審査講評をちょっとだけ覗いてみる。
教育音楽12月号(音楽之友社)に
今年のNコンの特集がありました。
1校1校、講評が書かれていて、
なるほどなぁ、と思いながら読みました。
全部は紹介できないので、
一部要約して紹介します。
【小学校の部…指揮者・金田典子さん】
金賞の油面小の講評を一部紹介します。
◎透明感のある爽やかな演奏
◎フレーズの最後まで丁寧な演奏
◎腹筋がよく使われているので、
最後の余韻までよく響いていた
◎高音の発声がやや浅くなりがち
全体的な講評は、
◎評価するのが辛いほど、
甲乙つけがたい演奏ばかりで、
音程・リズム・正確さだけでなく、
演奏者がその曲にどう興味を持って捉えているか?
面白がって歌っているか?
それを感じ取れたとき、心に残るのではないか?
【中学校の部…指揮者・辻志朗さん】
金賞の郡山二中の講評を一部紹介します。
◎課題曲から安定した和音と豊かな表現で魅了された
◎自由曲も高度な歌唱技術を駆使し、
圧倒的な音楽展開であった
◎パートバランスが常にソプラノ優勢で、
ニュアンスの変化はあるものの
明確な強弱が伝わらないのは惜しい
◎課題曲と自由曲の色彩の変化も課題
全体的な講評は、
◎今年の課題曲の難しさは旋律と言葉の融合
◎声の統一は基本だが、美しい旋律・美しい和音の
概念が多様化しているので、
「美声」の概念も固定しないこと
【高等学校の部…指揮者・清水敬一さん】
金賞の安積黎明高の講評を一部紹介します。
◎課題曲では、中身が生きた時間表現が好感
◎全体のアンサンブルが、ライブ感と一体感を生んでいた
◎速く激しい部分でも詩が飛んでくるのは見事
全体の講評は、
◎中学校の部がスムーズに結果が出たのに比べ、混戦。
順位が審査室に貼り出されただけでは
総合順位を判断できないほど。
水準が極めて高かったことの現れ
とのことで、審査方法についても少し触れられていました。
◎「Nコン方式」と言われる審査方法で、
全日本の「新増沢方式」とほぼ同じ
◎ラウンドごとに審査員の過半数を取った
コンテスタントを順次抜けさせていく考え
◎NHKでは、実際に審査員の前で手計算をして
順位が決まっていくので、
その様子を目撃するのはスリリング
とのことで、こうやって聞くと、
審査室の緊張感が伝わってきますね。
・・・あと、個人的に気になっていた
銅賞の宮崎学園高の講評も。
◎言葉が生きて伝わってきた
◎自分たちの音楽を誠実に希求していて素晴らしい
◎「精密」からは少しはみ出しているところもあったが、許容範囲
◎自由曲でもディクションのトレーニングが
徹底的に行われているのが窺え、
それが具体的な方法論にとどまらずに、
気持ちを織り上げることに繋がっていることに脱帽
といったように、各校の審査講評が
丁寧に掲載されています。
その他に、鈴木輝昭さんのインタビューや、
さくらももこさん提供で話題になった
「こうしていよう」(H12中、朝川朋之・曲)
の相澤直人さん作曲による混声4部の
楽譜も収録されています。
気になる方は、ご覧になってください。
個人的に「こうしていよう」は
どんな感じなのか気になります。
「終結部まで気が抜けない難易度」とのことです。
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【Nコン自由曲】『若者たちの悲歌』―谷川俊太郎さんが若者たち、そして人間へと贈るメッセージとは?
無伴奏混声合唱組曲「若者たちの悲歌」から
若者たちの悲歌
作詞:谷川俊太郎、作曲:高嶋みどり
今年は全国出場は果たせませんでしたが、
昨年まで2年連続銀賞を受賞していた
熊本大学教育学部附属中学校が
自由曲に選曲した楽曲です。
ファンであると公言し、交流もある学校 ですね。
今年の自由曲は谷川俊太郎さんの詩でした。
私が今年のNコンでよく聴いている1曲です。
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私は私の夢から生まれてきたの
夜の間に流された血にくるぶしを染めて
私は踊ることができるだけ
やさしい獣たちと一緒に
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「若者たちの悲歌(ひか)」というタイトルから、
若者たちの悲しみを歌った詩なのでしょう。
各連に登場する若者たちはさまざまなものから
“生まれてきた”と歌われています。
メロディーラインに複雑に絡み合っていますが、
以下の6つが歌われています。
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私は私の夢から生まれてきたの …「夢」
僕は僕の未来から生まれてきたんだ…「未来」
私は私の愛から生まれてきたの…「愛」
僕は僕の自由から生まれてきたんだ…「自由」
私は私の問いから生まれてきたの…「問い」
僕は僕の怒りから生まれてきたんだ…「怒り」
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どの要素も、若者が生きていくうえで
若者ゆえに立ちはだかる要素であり、
生きる原動力でもあります。
ある若者はそれが「夢」であり、
ある若者はそれが「未来」だと歌います。
「愛」「自由」の連は女声と混声で
並行して進行しています。
中盤では、この原動力によって
生かされていることの「素晴らしいすごさ」
を高らかに歌っています。
最終連では、「人間よ」と呼びかけ、
若者だけでなく、人間は、
朗らかに笑う⇔怒りをよみがえらせる
と「笑い」と「怒り」という
相反する気持ちを抱えながらも
生きていることがダイナミックに
歌われています。
聴くたびに熱くなる自由曲です。
全国でも聴きたかったなぁ。
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「あいや節幻想曲」をノーカット版で楽しみながら、青森県の合唱の歴史に少しだけ触れる。
Nコン on the Webを聴いてて、
よく聴く演奏曲のひとつが
「あいや節幻想曲
」。
今年も現時点で公開されてる
音源によると6校が選択しています。
昨年まで同曲で弘前市立小沢小学校が
2年連続銀賞を受賞し、
平成2年度には作曲の小倉尚継さん率いる
青森県立青森高等学校が銀賞、
昭和63年度には八戸市立根城中学校
が
金賞を受賞しています。
作曲の小倉尚継さんは現在74歳で、
青森明の星短期大学教授・
青森市合唱連盟理事長を務められ、
平成20年度(第26回)NHK東北ふるさと賞も
受賞されているそうです。
青森高校や根城中学校、図南小学校など、
青森の学校がNコンの上位を
飾っていた80年代、各校の先生方は
勉強会を重ねていたそうで、
その努力の甲斐もあって、
まずは図南小の吉田先生が金賞(S56)、
そして根城中の竹内先生が金賞(S58)、
青森高の小倉先生も銀賞(H2)
を受賞したという歴史もあります。
(小倉先生は全日本でも青森西高で
金賞を受賞されています。)
小倉尚継論述集というものがあり、
青森県音楽資料保存協会のHP
に
公開されているので、興味のある方は
ご覧になってみてください。
「あいや節幻想曲」に戻って、
Nコンでは制限時間のためか、
演奏速度が高速だったり、
省略がよく見られますが、
こちらは省略なしの演奏です。
(演奏は根城中学校です。)
やっぱり小沢小といい、根城中といい、
郷土の生徒たちが演奏すると、
何となく様になっているような気がします。
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