猫なでにき -32ページ目

ポール・サイモンを一服

子供の頃、お気に入りの歌があった。外国の曲で、一度か二度、ラジオできいたくらいだったが、キレイで優しいメロディで、「キラキラ星」とか、「ロンドン橋」のような感じで楽しげに聞こえた。私は、すっかり外国の童謡だと思っていた。

中学に入ったころ、FMラジオから懐かしいその歌が流れてきた。歌っているのが Simon & Garfunkel だというのもこの時知った。私が物心ついた頃には既に解散していた、名デュオだということも。

それは、「水曜の朝、午前三時(Wednesday Morning, 3 A.m.)」(1964) という曲だった。


そして、その内容も知って驚いた。こんなに可愛らしい雰囲気の曲なのに、中身は犯罪に走ってしまった若者の歌なのだ。
ああ、僕はなんてことをしたんだ
どうしてあんなことをやってしまったんだろう
僕は罪をおかしたんだ。法を破ったんだ
真面目な酒屋へ押し入って、奪ったんだ
25ドルの銀貨を
追っ手を逃れた青年が、何も知らず眠る恋人の枕元で、語っている。
自分の人生も犯した罪も現実感がなく、これからどうするあてもなく、朝を迎える前の時間を、ただ愛する人の顔を見ながら途方にくれている。

先の見えない社会の中に取り残された青年が、後先考えずに犯した犯罪を嘆いている様子は、今の社会とも通じるものかもしれない。

これはアルバムの表題作でもあるから、作者Paul Simonの思い入れも深かった曲なのだろうが、内容によほどこだわりがあったのか、次のアルバム『Sounds Of Silence』には、ほぼ同じ歌詞で曲調がガラリと違う曲が収録されている。

「どこにもいないよ(Somewhere They Can't Find Me)」という曲だ。
(拾ってきた映像、内容は曲と関係ないが…各国で拾ってきた“変な英文”を集めたものらしい)


この曲は、ベースとなっているのがDavey Graham作曲の「Anji」で、同じく『Sounds Of Silence』に収録されているのだが、ギターの名手として知られるPaul Simonが影響を受けたひとりがDavey Grahamだという。
その彼への敬意を表して、自分のこだわりのテーマに乗せて新しい曲として作り上げたのかもしれない。

曲調だけでなく、それに合わせてか歌詞にも変化が見られる。
前述したように“ほぼ同じ歌詞”なのだが、「水曜の朝、午前三時」が恋人を置いていくのを躊躇しているような内容だったのに対して「どこにもいないよ」では、
Before they come to catch me i'll be gone.
Somewhere they can't find me.

捕まえられる前に、僕はいくよ
誰にも見つからないところへね。
きっぱりと、別れを選んでいるようにみえる。

「水曜の朝、午前三時」の頃にはPaul Simon自身も、ミュージシャンとしてまだ未来が見えない中にいたのが、「どこにもいないよ」の頃には、大きな変化があったのかもしれない。
(実際、最初のアルバム『水曜の朝、午前三時』は出た当初は3000枚しか売れなかったというが、二作目の『Sounds Of Silence』は大ヒットしている)

以来私は、この美しいメロディと反するような激しく内面的な歌詞を合わせもつ、Simon & Garfunkel に、というよりは Paul Simon に、すっかり魅了されてしまった。
洋楽を、内容を意識して聴くようになったのは、このあたりからだったと思う。
だから、今でも私の中で Paul Simon は特別なミュージシャンなのである。

私にとって、Paul Simon の曲を聴くのは、一服のお茶をいただくようなものだ。それはなんともしれない落ち着きをもたらしてくれるから。


最後に、誰でも耳に馴染んでいるこの名曲。
Andy Williams と Simon & Garfunkel が一緒に歌った、世にも美しい 「Scarborough Fair/Canticle」。
原曲はイギリスのトラディショナル・ソングで、詠唱部分に Paul Simon オリジナルの反戦歌がからむ。





Paul Simon が作り出す名曲の数々は、むしろソロになってからの方が“本領発揮”というところかもしれない。音楽をのびのびと楽しみ、より自由になっていくように思うのだ。
それはまた別の項で書こうと思う。




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お爺ちゃんの大冒険

日差しがあるとまだ暑いが、風は随分秋らしくひんやりとしてきた。
電車に乗っていても、空調や人の服装に秋を感じる。

あれもこんな気持ちいい秋の日だったなあ…と、1年前のある出来事を思い出す。

その日、秋晴れの空が気持ちよくて、銀座にでも行くかとぶらぶら出かけてきた。
アップルストアを冷やかしたり伊東屋で文具にうっとりしたあと、数寄屋バーグでランチを食べ、一通り満足して

「さあ、日の高いうちに家に帰ろうかな♪」

と、有楽町駅に向かった。
横浜方面行きの電車にのり、いつもの駅で降りる……はずだったのが、ここで予想外の出来事が。

席に座ってうつらうつらしていたら、横に座っている爺さま達の会話が耳に入った。

「だから、どこ行くのあんた」
「うんうん。小岩。」
「小岩ってぇ、あのね、この電車、そんな駅いかないよ」
「うんうん。大丈夫。これ持ってるから」
「それ東京都シルバーパスでしょ。あのねえ、こっから先、神奈川だよ?」
シルバーバス(見本)


←こういうの。
 都内のバスや都電等で有効。
「大丈夫。これあるから」
「大丈夫じゃないよ、まいったなぁ……僕は川崎で降りないといけないし、あんたも一緒に降りて、反対方向乗り直しなさいよ」
「こんなことで降りたら、とんでもないことになっちゃう」
「うーん…まいったなあ」

電車は川崎に着くところ。
このままではちょっとボケてるらしいこの爺さまが一人残されてしまうらしい。

うー…………仕方ない。



「あのー私、時間の余裕ありますから、お爺さん連れていきますよ」
お節介虫こんにちは。




そんなわけで、爺さま連れの珍道中と相成った。
案の定この爺さま、素直に川崎で降りてはくれない。そうこうするうち扉は閉じて、次の鶴見でもまだ降りない。

「これ(東京都シルバーパス)、あるから。親切ありがとうね、大丈夫」
「いやでもね、この先横浜ですよ。神奈川なんです。お爺さん、どこにお住まいですか?」
小岩にいくの。新小岩の次。あ、ほら(と笑って指さす) 新小岩だ」
「違いますよ、あれは新子安
「うん、新小岩。次だよね」
「(違うんだけどなー;;)そうですね~次で降りますよ、ね。私も一緒に降りますから」

着いた東神奈川で、他の乗客の方が呼んでくれた駅員さんも手伝って、なんとか電車から降りてもらった。

爺さまが持っていたシルバーパスに自宅の電話番号があったので、電話をかけてみると奥さんが出た。昼前に外に出てから戻ってこないので、心配していたという。今、神奈川だというと、ビックリしていた。そりゃあそうだよなあ。

奥さんに一通りの説明をして、最寄り駅を教えてくださいというと「新柴又」だという。北総線の駅らしい。
駅員さんから乗り継ぎを教えてもらった私は、爺さまを連れてまた向かいホームへ。
帰る車中で、ひとつひとつ駅を戻っていくうちに、少し、間違えた方向へ来ていたことを自覚した様子で、

「あなたがいてくれなかったら、とんでもないところへ行くところだったねえ。千葉の向こうへいっちゃうとこだったねえ」

……うん、まだまるきり間違ってるけどね。
千葉と神奈川はまったく逆方向だからねー。でも「間違ってる」と自覚してくれただけいいか。

とりあえず、一緒にいるから大丈夫、駅に着けば奥さんが迎えに来てくれるからね、と励ましつつ、手をにぎると、うん、うんと頷く爺さま。

各駅停車で、乗り換えつつゆっくりゆっくり1時間半くらいかけて、新柴又に到着した時には5時をだいぶ回っていた。外はもう夕暮れだ。

改札の外には、爺さまの奥さんが心配そうに待っていた。

「すみません、わざわざ遠くから……どこまで行ってたんですか? この人は」
「ええ、横浜駅の手前まで(にっこり)」
「そんなところまで、どうして!(と、爺さまに向かって)
 どうもすみません、これたいしたものではありませんが…」

「あ、どうも~。ありがたくいただきます(^^)」

と、私は奥さんから紙包みをいただいた。ここは遠慮しないでおこう。

奥さんは案外しっかりした感じだったので、ちょっと安心(^^)
でも毎日大変だろうなあ……。


そうやってやっとこ自分の家に帰り着いた時には、7時過ぎになっていた。
秋晴れに誘われた朝からはじまり、長い一日だった。


爺さまの奥さんに戴いた包みの中には、
いただきもの
お菓子と飴が入ってた(*^_^*)
お駄賃って感じ。ほのぼの。

今は爺さまどうしてるかな。こんな天気の良い日には……また冒険にでかけてるんじゃないだろうか。
爺さまの行く先々に、今日も良い人がいますように。




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「おろち」が見せる世界

楳図かずおの名作『おろち』が映画化されたので、それを観る前にと、新装版『おろち』を読んだ。

中学生くらいの時、お小遣いが少なくて買えず、近所の本屋(同級生の家)で立ち読みで読んで以来。もう、怖くて目が離せなくて、そのまま脳髄に刻みつけられた、強烈なイメージ。
そして、新しい装丁、きれいな印刷での再会……その怖さはそのままに。
大人になってから読む『おろち』は、怖さの他に悲しさ、寂しさ、なんともいえない感慨も連れてきた。

主人公のおろちは、いつの頃からか生き続けている少女。世の中と人間を観察し、100年に一度眠りにつく。

ふりかえるおろち
楳図かずおの漫画といえば、おどろおどろしさが思い出されるが、実のところ一番の怖さは、そこではない、と『おろち』を読んで改めて思う。
この世ならぬ存在のとしておろちが現れるが、実はこの世のもの…人の心こそが、一番怖い。恐ろしい。
そのことを、『おろち』は真正面からつきつけてくる。


最近、世間では悲しい暗い事件が多い。人が自殺する、殺される、そんなことが毎日のように起きている。
自ら手を下して人を殺せば殺人の罪でさばかれるが、自ら手を下さずに、人を死に追いやる者もいる。実際の罪のあるなしの確信なく、想像だけで人を糾弾できる人もいる。
そういう、「正義」の名の下に誰かの人生に悪意を注ぎ込む行為は、一体誰が止めることができるのだろうか。

『おろち』は、意識する悪意と意識しない悪意、それらが混在するこの世の恐ろしさを、その美しい目で見せてくれる。どんなに恐ろしくても、その現実から逃れられないと。

今もどこかにその美しい少女が立っていて、どこかの家を見上げているのではないか……。つい、そんなことを考えてしまう。

そしてこの世を見つめ続けるおろちという存在の悲しさを改めて思う。

それにしても、楳図かずおの絵の素晴らしさには圧倒される。
上手いとか下手とか超越して、ただただ、素晴らしい。
机にそのまま置いておけないくらい、恐ろしくもあるけど。


さあ、映画の『おろち』はどんな作品に仕上がってるだろうか。
楳図かずおのかもしだす空気の一片でもそこにあるなら、それはきっといい映画になっているだろう。




おろち 第1巻
¥1200


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ねこねこ文字

我が家のねこは、次のネコリンピックに向けて、日々新しい技をみがいているのである。

N
N字の技~



W
W字の技~



d
d字の技~



こ
…「こ」の字の技~
……く、苦しいわねちょっと。



ウルトラ文字
う…ウルトラ文字~
イーカゲンです

ちょっと……何見てるのよ、秘密練習なのよっ
マスコミ立ち入り禁止よっ!!



……我が家のねこは、某国サッカーチーム並に神経質なのである(嘘)



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すべてオーブンのお仕事

日曜、天気は悪いし外に出るのもおっくうなので、久しぶりにパンを焼いてみた。

コロコロパン
焼きたては美味いので、少し減ってしまったが、こんな感じにコロコロしたパンができた。

こねる時に、レーズンをきざんで入れてみたらちょっと色が悪くなってしまったんで心配だったけど、焼き上がったらそうでもなくなっていた。味も悪くなかったしね!

でも、次に作る時にはきざまずに入れよう。

パンが美味しくできたので、夜ごはんもパンのおかずにしてしまおう。パンのおかずならば、引き続きオーブンに活躍してもらうアレにしようかな。

というわけで、切って重ねて乗せてオーブンに入れるだけのごちそう、じゃがいも魔神の得意料理「じゃがツナオーブン焼き」いってみよう。

ジャガツナオーブン1
じゃがいもは中くらいで4~5個を薄切りの輪切りに。玉ねぎは中1個をスライス。ツナ缶は80グラムのを2缶(大きい缶だったら1缶)、トマト缶を1缶。

あとはひたすら、
ジャガツナオーブン2
玉ねぎ→じゃがいも→ツナ→玉ねぎ→じゃがいも…の要領で、重ねて重ねて乗っけて。

じゃがいも並べる時に軽く塩コショウすると、いい感じ。
ジャガツナオーブン3
ツナはまばらに広げるくらいで充分味が行きわたるから、パラパラパラという感じで。
ジャガツナオーブン4
一番上をじゃがいもにして、また塩コショウして、潰しておいたトマト缶をかける。

うちではトマトのホール缶を、トマト潰して塩コショウで調味して使ったけど、最初から味付けしてあるトマトソース缶だともっとお手軽で充分美味しい!

最後にチーズをパラパラ置いて、200度~220度くらいのオーブンで30分くらいおまかせ。

できあがり
こーんな感じでこんがり焼き上がり。左の黄色いのは、れんこんを薄切りにして、これまたチーズかけてオーブンで10分くらい焼いただけのもの。これにはタバスコがよく合う。

これ、ぜーんぶオーブンのお仕事。切ってならべてオーブンにポイ。あとはタイマーさえきちんとかけていれば出来てしまう。お手軽豪華(見た目だけ)な、オーブン料理なのだった。

オーブン焼きは、ケーキと違って温度管理それほど必要じゃないから、オーブントースターでも出来る簡単料理なのだ。途中でホイルとかかけて、コゲすぎないように注意すれば大丈夫。
ぜひお試しあれ。



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