カントリーで世界も変わる
TVをつけると、発泡酒のCMで「Change the World」が使われていた。歌っているのはTOKIOの長瀬智也らしい。彼らしい勢いのある歌い方だ。少し前にも車のCMで流れていたし、常にどこかで耳にする気がする。
「Change the World」は既に知らない人のいないくらいのヒットナンバーなのだが、これをEric Claptonの曲だと思っている人が多いのではないだろうか。
実はこの曲は、元々はWynonna Juddというカントリー歌手の持ち歌なのだ。
ソングライターのGordon Kennedy、Tommy Sims、Wayne Kirkpatrickの3人によってWynonna Juddの為に作られ、彼女が1996年に発表したアルバム『Revelations』に収録されている。
(このソングライターズは、この他にも数々のヒットTUNEを編み出している)
Wynonnaのこの曲を、鼻の利く…もとい、キャッチなメロディに敏感なBabyfaceがすぐさまピックアップし、Eric Claptonの為にプロデュース、ついでに映画とのタイアップもして、“カントリー発”世界的大ヒットナンバーが出来上がったわけだ。
ちなみに、そのタイアップした映画『フェノミナン』自体はヒットしなかった。何故か曲だけが一人歩きし、その年のグラミーを獲得することになるのである。
映画はヒットしなかったとはいえ良作で、主演のジョン・トラボルタの新境地を開拓した作品として、近年になって再評価されてきている。ハートウォーミングな作品である。結構オススメ。
話をWynonna Juddに戻すと、彼女はベテランのカントリー歌手で、20代の頃から母と共にThe Juddsというデュオを組んで活躍していた。
カントリーというジャンルの日本でのイメージはマイナーなものかもしれないが、グラミー賞の中継などを見たことがある人にはおわかりのように、確立されて人気のあるジャンルでスターと呼ばれる歌手も多いのだ。The Juddsも、グラミー賞の常連に名を連ねる大物スターなのだった。
そしてこれがそのThe Judds時代の写真なのだが……一応念のためいうと、左が娘、右が母である。
(22才の年の差があるとはとても思えない容姿なので、姉妹デュオと思っていた人も少なくないらしい)

ちなみに、映画『ダブル・ジョパディー(DOUBLE JEOPARDY)』の主演などで活躍する女優のAshley Juddは、Wynonnaの妹。芸能一家である。
姉とは似てないが…母の血は受け継いでいるかも。
ソロになってからのWynonnaの、三枚目のアルバムが『Revelations』で、このアルバムはプラチナディスクとなる大ヒットアルバムになった。
今日みたいに晴れた日、彼女の張りのある歌声を聞いていると、もっと元気になる気がする。
そんなエネルギーにあふれる一枚なのである。
最後に、このアルバムに収録の曲「Old Enough To Know Better」を。ライブ演奏で、パワフルなWynonnaのヴォーカルに、疲れもふっとびそうだ。
カントリーというジャンルのイメージも、少しは変わったのではないだろうか。

「Change the World」は既に知らない人のいないくらいのヒットナンバーなのだが、これをEric Claptonの曲だと思っている人が多いのではないだろうか。
実はこの曲は、元々はWynonna Juddというカントリー歌手の持ち歌なのだ。
ソングライターのGordon Kennedy、Tommy Sims、Wayne Kirkpatrickの3人によってWynonna Juddの為に作られ、彼女が1996年に発表したアルバム『Revelations』に収録されている。
(このソングライターズは、この他にも数々のヒットTUNEを編み出している)
Wynonnaのこの曲を、鼻の利く…もとい、キャッチなメロディに敏感なBabyfaceがすぐさまピックアップし、Eric Claptonの為にプロデュース、ついでに映画とのタイアップもして、“カントリー発”世界的大ヒットナンバーが出来上がったわけだ。
ちなみに、そのタイアップした映画『フェノミナン』自体はヒットしなかった。何故か曲だけが一人歩きし、その年のグラミーを獲得することになるのである。
映画はヒットしなかったとはいえ良作で、主演のジョン・トラボルタの新境地を開拓した作品として、近年になって再評価されてきている。ハートウォーミングな作品である。結構オススメ。
話をWynonna Juddに戻すと、彼女はベテランのカントリー歌手で、20代の頃から母と共にThe Juddsというデュオを組んで活躍していた。
カントリーというジャンルの日本でのイメージはマイナーなものかもしれないが、グラミー賞の中継などを見たことがある人にはおわかりのように、確立されて人気のあるジャンルでスターと呼ばれる歌手も多いのだ。The Juddsも、グラミー賞の常連に名を連ねる大物スターなのだった。
そしてこれがそのThe Judds時代の写真なのだが……一応念のためいうと、左が娘、右が母である。
(22才の年の差があるとはとても思えない容姿なので、姉妹デュオと思っていた人も少なくないらしい)

ちなみに、映画『ダブル・ジョパディー(DOUBLE JEOPARDY)』の主演などで活躍する女優のAshley Juddは、Wynonnaの妹。芸能一家である。
姉とは似てないが…母の血は受け継いでいるかも。
ソロになってからのWynonnaの、三枚目のアルバムが『Revelations』で、このアルバムはプラチナディスクとなる大ヒットアルバムになった。
今日みたいに晴れた日、彼女の張りのある歌声を聞いていると、もっと元気になる気がする。
そんなエネルギーにあふれる一枚なのである。
最後に、このアルバムに収録の曲「Old Enough To Know Better」を。ライブ演奏で、パワフルなWynonnaのヴォーカルに、疲れもふっとびそうだ。
カントリーというジャンルのイメージも、少しは変わったのではないだろうか。
| Revelations amazon.co.jp ¥742 | ![]() |
| フェノミナン amazon.co.jp ¥1500 | ![]() |
日曜はイタリアーン
日曜日、チョコレート工場散歩のあと、家に向かって歩きながら、昼は何にしようか、と相談。
ピザが食べたいなあ、粉はあるから、どうせならドゥから作ろうか、ということで話がまとまった。
スーパーに寄って、乗せる具材をちょっと買い足して。
そう、実は粉は沢山あるのだ。パン用の強力粉。
ガソリンの値段が上がり始めた頃、小麦粉の値段もグンと上がるぞ~!という話だったので、2キロの袋でふたつも買ってしまった。そんなに毎日パンを焼くわけでもないのに…。案の定、一袋まるまる残っていたりする。
というわけで、がんばって消費しなくては、どんどん古くなってしまうではないか。(まあ、古くても食べられるが)。
などと言ってる間に、イーストを予備発酵させたり、粉を計ったり、まぜまぜしたり。

こねてこねて、丸めて丸めて、表面つるつるになってきたら十字の切り目をいれて、発酵ターイム。
ラップかけて、火をいれてないオーブンに。この中の温度が今の時期は丁度よいみたいだから。

30分くらい経つと、こんなに膨らんでぷくぷく。
イーストさん元気に働いてくれて、ありがとう。

2枚焼くので、半量をのし棒できれいにひろげて。
本当は、この状態で具材をならべて焼けるんだけど、具が乗ると皿からうまく移動できなくなるので(下手だから)、一旦空焼きすることに。

ピザストーンをオーブンにいれて、200度に温める。ピザストーンがあっちっちになったら、伸ばした生地をこの上に乗せて、8分くらい空焼き。
ピザストーンは、ピザの水分を飛ばしてカリカリに仕上げてくれる便利な道具。2000円くらいで売っている。

空焼きが済んで丁度良いかたさになったドゥ。→
店で売ってるクラスト生地と同じくらいの感じ。
あとは、好みの具材を乗っけて、250度くらいのオーブンで10分!

エリンギ、ミニトマト、生ハムをのっけたもの(焼いた時点で生じゃないのだが)と、アンチョビ、ズッキーニ、エリンギをのっけた2枚を焼いて、あとは胃袋へ直行便。

すっかり気分はイターリアン。
だからというわけではないが、ズッキーニが残ってたこともあって、夜はズッキーニとソーセージのペペロンチーノ。それと鶏のバルサミコ酢ソテー。スープがなくてちょっと寂しいが、お腹はいっぱい!
バルサミコ酢ソテーは、鶏もも肉を塩コショウ+小麦粉をつけて下準備しといて、あとはよーく焼いて、火が充分通ったあたりでバルサミコ酢を煮詰めながら絡めるだけ! 簡単で美味しいので我が家ではよく出るメニュー。
前に、オレンジページだか3分クッキングだかに出ていたレシピなのだな、確か。
バルサミコはイタリアの黒酢みたいなもので使い勝手がいいので、がんがん使ってしまう。
でもチョット高いのが難点なのだ。だから、時々黒酢でも代用してみる。これも結構いい感じ。
これだとイタリアンじゃないかもしれないけど。
ピザが食べたいなあ、粉はあるから、どうせならドゥから作ろうか、ということで話がまとまった。
スーパーに寄って、乗せる具材をちょっと買い足して。
そう、実は粉は沢山あるのだ。パン用の強力粉。
ガソリンの値段が上がり始めた頃、小麦粉の値段もグンと上がるぞ~!という話だったので、2キロの袋でふたつも買ってしまった。そんなに毎日パンを焼くわけでもないのに…。案の定、一袋まるまる残っていたりする。
というわけで、がんばって消費しなくては、どんどん古くなってしまうではないか。(まあ、古くても食べられるが)。
などと言ってる間に、イーストを予備発酵させたり、粉を計ったり、まぜまぜしたり。

こねてこねて、丸めて丸めて、表面つるつるになってきたら十字の切り目をいれて、発酵ターイム。
ラップかけて、火をいれてないオーブンに。この中の温度が今の時期は丁度よいみたいだから。

30分くらい経つと、こんなに膨らんでぷくぷく。
イーストさん元気に働いてくれて、ありがとう。

2枚焼くので、半量をのし棒できれいにひろげて。
本当は、この状態で具材をならべて焼けるんだけど、具が乗ると皿からうまく移動できなくなるので(下手だから)、一旦空焼きすることに。

ピザストーンをオーブンにいれて、200度に温める。ピザストーンがあっちっちになったら、伸ばした生地をこの上に乗せて、8分くらい空焼き。
ピザストーンは、ピザの水分を飛ばしてカリカリに仕上げてくれる便利な道具。2000円くらいで売っている。

空焼きが済んで丁度良いかたさになったドゥ。→
店で売ってるクラスト生地と同じくらいの感じ。
あとは、好みの具材を乗っけて、250度くらいのオーブンで10分!

エリンギ、ミニトマト、生ハムをのっけたもの(焼いた時点で生じゃないのだが)と、アンチョビ、ズッキーニ、エリンギをのっけた2枚を焼いて、あとは胃袋へ直行便。

すっかり気分はイターリアン。
だからというわけではないが、ズッキーニが残ってたこともあって、夜はズッキーニとソーセージのペペロンチーノ。それと鶏のバルサミコ酢ソテー。スープがなくてちょっと寂しいが、お腹はいっぱい!
バルサミコ酢ソテーは、鶏もも肉を塩コショウ+小麦粉をつけて下準備しといて、あとはよーく焼いて、火が充分通ったあたりでバルサミコ酢を煮詰めながら絡めるだけ! 簡単で美味しいので我が家ではよく出るメニュー。
前に、オレンジページだか3分クッキングだかに出ていたレシピなのだな、確か。
バルサミコはイタリアの黒酢みたいなもので使い勝手がいいので、がんがん使ってしまう。
でもチョット高いのが難点なのだ。だから、時々黒酢でも代用してみる。これも結構いい感じ。
これだとイタリアンじゃないかもしれないけど。
秋は靴の季節なのだ
夏は、どこに行くにも殆どサンダルで済ませてしまったズボラさん夫婦だったが、もうすっかり秋なので靴を買おうということになった。

じゃーん。ASICSの女子靴ブランドmajo aileと、Hush Puppiesの新作靴。
実はHush Puppiesはmajo aileの三倍の値段!
ひー!
でも履きやすいから好きなんだよ、Hush Puppies。秋になると欲しくなるんだよね何故か。

でも、50周年キャンペーンとかで、時計がついてきたので、ま、高くても元はとれた……かな?
我が家はねこの家だけど、このHush Puppiesのキャラクター、バセットハウンドのパピーは大好きなのだ。
このタレ具合が…

好みのタイプ。
そういうわけで結構我が家にはHush Puppiesの靴があるのだが、買う時はいつも大井町のHush Puppies専門店へ行く。
専門店というとなんだかちょっとお高い感じなのだが(いや、実際靴は高いけど)、この店はそのへんの小洒落た店とはチョットちがう。
店の扉をあけると、そこに待っているのはお爺さんとお婆さん。時々お婆さんの数が増殖しているが、お爺さんはひとりだけ。多分、全員高齢者医療制度対象者。
なんか戦後すぐからずーっとそこで靴屋さんやってる雰囲気。実際きいてみたら当たってたけど。
でもこのお爺さんが丁寧なんだよね。さすがの年季で、靴選びのアドバイスも的確だし。なんか今時の若造にあれこれ言われるより、ずっと安心感あるっていう感じなんだな。
靴が気に入ってるのももちろんだけど、なんとなくこの安心感があるから、この店で買いたくなる。
多少高くても、大事に履けば長持ちするしね。
しかし長持ちする分、年に一度しか買いに行かないが。(もちろん前に買ったのもちゃんと大事にしてるよ)
もっと沢山買いにいけるほどお金持ちになりたいけどな~、などと思いつつ、靴を買って大井町をあとにした二人なのだった。

じゃーん。ASICSの女子靴ブランドmajo aileと、Hush Puppiesの新作靴。
実はHush Puppiesはmajo aileの三倍の値段!
ひー!
でも履きやすいから好きなんだよ、Hush Puppies。秋になると欲しくなるんだよね何故か。

でも、50周年キャンペーンとかで、時計がついてきたので、ま、高くても元はとれた……かな?
我が家はねこの家だけど、このHush Puppiesのキャラクター、バセットハウンドのパピーは大好きなのだ。

好みのタイプ。
そういうわけで結構我が家にはHush Puppiesの靴があるのだが、買う時はいつも大井町のHush Puppies専門店へ行く。
専門店というとなんだかちょっとお高い感じなのだが(いや、実際靴は高いけど)、この店はそのへんの小洒落た店とはチョットちがう。
店の扉をあけると、そこに待っているのはお爺さんとお婆さん。時々お婆さんの数が増殖しているが、お爺さんはひとりだけ。多分、全員高齢者医療制度対象者。
なんか戦後すぐからずーっとそこで靴屋さんやってる雰囲気。実際きいてみたら当たってたけど。
でもこのお爺さんが丁寧なんだよね。さすがの年季で、靴選びのアドバイスも的確だし。なんか今時の若造にあれこれ言われるより、ずっと安心感あるっていう感じなんだな。
靴が気に入ってるのももちろんだけど、なんとなくこの安心感があるから、この店で買いたくなる。
多少高くても、大事に履けば長持ちするしね。
しかし長持ちする分、年に一度しか買いに行かないが。(もちろん前に買ったのもちゃんと大事にしてるよ)
もっと沢山買いにいけるほどお金持ちになりたいけどな~、などと思いつつ、靴を買って大井町をあとにした二人なのだった。
熱いトタン屋根の猫
9月26日、ポール・ニューマンが83才で亡くなったという。
昨年引退を表明し、その後ガンであるとの報道もあったので、突然の訃報というわけでもないのだが、やはり数々の名作にその名を刻んできた名優の死は、ひとつの時代の終わりを感じさせ寂しさを覚える。
その死を悼み、彼の主演している映画を観ようと、ライブラリから一本拾ってきた。

1958年の『熱いトタン屋根の猫』。
テネシー・ウィリアムスの戯曲の映画化である。
ニューマンはこの作品で、ガンに冒された父の息子を演じている。

真っ赤なタイトルバックがモダンで美しい。
タイトルは、エリザベス・テイラー演ずるマギーのセリフ
「今の私は“熱いトタン屋根の猫”よ」
から来ている。
彼女の苛立ちを表現したものだが、実は家族それぞれが“熱いトタン屋根の猫”よろしく、苦しみを抱えていながらそこから抜け出すことができないでいるのだ。
当時26才だったテイラーは、単なる美人女優から演技派への脱皮を試みていた時期で、この映画では気の強い妻を体当たりで演じている。

その登場からしてインパクト充分だ。
兄夫婦の子供の悪さに腹をたて、自分にぶつけられたアイスクリームを、そのままその子供の顔になすりつけてしまう。
しかしこの子供(たち)がまた憎たらしいことこの上なく、アイスクリームだらけになった顔をみても全然同情できないのだが(笑)

ニューマン演ずるブリックは、かつてフットボールのスター選手だったが、今は酒に溺れる毎日を送っている男だ。
ポール・ニューマン自身も学生時代はフットボールの選手だったことがあり、設定にリアリティを持たせている。

ブリックは親友の死以来マギーを拒絶し、冷たい言葉を投げつけるようになる。酒に溺れるようになったのもそれからなのだが、どんなに荒れていてもクールな瞳が濁ることはなく、端正な顔を曇らせるばかりだ。
この頃のテイラーは、目映い美しさとセクシーさに溢れている。画面で動くごとに美をしたたらせているようだ。こんな女性を無視できる男がいるだろうか。

実は、ブリックは妻を憎んでいるわけではない、彼もまた苦しんでいるのだ……ということが、逃げ込んだバスルームでのこのシーンが物語る。
マギーが脱いだローブにすがり、苦悩に顔を歪ませるブリック。ポール・ニューマンのストイックな演技が際だつ。
冷たい彫刻のように整った顔立ちのニューマンと、赤い情熱を燃やすように美しさをふりまくテイラーの対比が、夫婦の温度差と苦しみをより強く感じさせる。
しかし、ふたりが並んで画面にいるだけで、なんて絵になるんだろう。

家族は、父の退院と誕生祝いの為にこの家に集まっているのだが、実は父の病気は重く、医者にもさじを投げられている。
周囲は本人に知らせまいとしているが、ブリックはそれを苦々しく思っている。
父親は封建的でワンマンな経営者で、家族に対しても「この家のボスは一体誰だ!くだらん!」といいはなつ。誰も彼に意見などできない存在だ。

父と子が激しく言い争うさまをうつすように、外は嵐が吹き荒れる。
ブリックはその嵐の中を飛び出し、口論からつい病気の真実を伝えてしまう。父は真実の告白にショックを受け、地下室へ向かう。

地下室には、様々な骨董品、美術品がしまわれ、放置同然になっている。それはそのまま、この家族の心の中のようだ。物に溢れているが、顧みられることがないのだ。
この時、上の部屋では兄が母に詰め寄り、これまで言えなかったことを訴える。地下室との対比が面白い構成になっている。
初めて、心からお互いにぶつかり合いながらも本音で話したあと、父親は晴れ晴れとした顔でブリックに言う。
そして、父に希望を与えたくてマギーがついた「子供ができたの」という嘘に、恐らくはそれと知りつつも目をじっと見つめ、
主役二人はもちろんだが、この父親を演じたバール・アイヴスの圧倒的な存在感が、この映画を芯の通ったものにしていると思う。
今の時代からみると、こんな封建的な父親はナンセンスかもしれないが、圧倒的な支配力の父親がいてこそ、そこから脱して成長していくのだという示唆も読み取れる。

そしてもう一人。このドラマの中で、ひときわ印象に残るのがこの女性だ。
兄嫁メイを演じている、マデレーン・シャーウッド。
義父母に媚びを売り、その影で弟夫婦をこきおろし、子供たちを父におべっかを使う道具にしたてあげ、笑顔で毒舌を吐く。最後まで、その独特のファニーフェイスで、憎々しく醜悪な兄嫁を演じきった彼女は見事だ。
家族の心が新しい結びつきを得るころ、外の嵐も収まり、平穏な夜がやってくる。

映画の最後、夫婦が絆を取り戻して寝室で抱擁を交わす、このシーンが洒落ている。
夫がこれまで寝ていたソファに置いてあった枕を、後ろ手につかんで、

ベッドに向かって放り投げる。

枕が、もうひとつの枕のとなりに着地したところで、The End。
* * *
これはわずか半日の間に起こる家族の物語で、テネシー・ウィリアムズらしい室内劇だ。
原作はピューリッツァー賞も受賞している。
そして、ポール・ニューマンは、受賞こそ逃したものの、この映画の演技ではじめてアカデミー賞にノミネートされたのである。
俳優は、数々の作品を経て名優になり、私達を楽しませてくれた。
私達はこれからもずっと、彼の姿をスクリーンに見続けることができることを幸せに思う。
心から、彼の冥福を祈る。安らかならんことを。

昨年引退を表明し、その後ガンであるとの報道もあったので、突然の訃報というわけでもないのだが、やはり数々の名作にその名を刻んできた名優の死は、ひとつの時代の終わりを感じさせ寂しさを覚える。
その死を悼み、彼の主演している映画を観ようと、ライブラリから一本拾ってきた。

1958年の『熱いトタン屋根の猫』。
テネシー・ウィリアムスの戯曲の映画化である。
ニューマンはこの作品で、ガンに冒された父の息子を演じている。

真っ赤なタイトルバックがモダンで美しい。
タイトルは、エリザベス・テイラー演ずるマギーのセリフ
「今の私は“熱いトタン屋根の猫”よ」
から来ている。
彼女の苛立ちを表現したものだが、実は家族それぞれが“熱いトタン屋根の猫”よろしく、苦しみを抱えていながらそこから抜け出すことができないでいるのだ。
当時26才だったテイラーは、単なる美人女優から演技派への脱皮を試みていた時期で、この映画では気の強い妻を体当たりで演じている。

その登場からしてインパクト充分だ。
兄夫婦の子供の悪さに腹をたて、自分にぶつけられたアイスクリームを、そのままその子供の顔になすりつけてしまう。
しかしこの子供(たち)がまた憎たらしいことこの上なく、アイスクリームだらけになった顔をみても全然同情できないのだが(笑)

ニューマン演ずるブリックは、かつてフットボールのスター選手だったが、今は酒に溺れる毎日を送っている男だ。
ポール・ニューマン自身も学生時代はフットボールの選手だったことがあり、設定にリアリティを持たせている。

ブリックは親友の死以来マギーを拒絶し、冷たい言葉を投げつけるようになる。酒に溺れるようになったのもそれからなのだが、どんなに荒れていてもクールな瞳が濁ることはなく、端正な顔を曇らせるばかりだ。
この頃のテイラーは、目映い美しさとセクシーさに溢れている。画面で動くごとに美をしたたらせているようだ。こんな女性を無視できる男がいるだろうか。

実は、ブリックは妻を憎んでいるわけではない、彼もまた苦しんでいるのだ……ということが、逃げ込んだバスルームでのこのシーンが物語る。
マギーが脱いだローブにすがり、苦悩に顔を歪ませるブリック。ポール・ニューマンのストイックな演技が際だつ。
冷たい彫刻のように整った顔立ちのニューマンと、赤い情熱を燃やすように美しさをふりまくテイラーの対比が、夫婦の温度差と苦しみをより強く感じさせる。
しかし、ふたりが並んで画面にいるだけで、なんて絵になるんだろう。

家族は、父の退院と誕生祝いの為にこの家に集まっているのだが、実は父の病気は重く、医者にもさじを投げられている。
周囲は本人に知らせまいとしているが、ブリックはそれを苦々しく思っている。
父親は封建的でワンマンな経営者で、家族に対しても「この家のボスは一体誰だ!くだらん!」といいはなつ。誰も彼に意見などできない存在だ。

父と子が激しく言い争うさまをうつすように、外は嵐が吹き荒れる。
ブリックはその嵐の中を飛び出し、口論からつい病気の真実を伝えてしまう。父は真実の告白にショックを受け、地下室へ向かう。

地下室には、様々な骨董品、美術品がしまわれ、放置同然になっている。それはそのまま、この家族の心の中のようだ。物に溢れているが、顧みられることがないのだ。
この時、上の部屋では兄が母に詰め寄り、これまで言えなかったことを訴える。地下室との対比が面白い構成になっている。
初めて、心からお互いにぶつかり合いながらも本音で話したあと、父親は晴れ晴れとした顔でブリックに言う。
死を覚悟したぞ お前に生きる覚悟は?その言葉で、ブリックは前へ踏み出していく。
そして、父に希望を与えたくてマギーがついた「子供ができたの」という嘘に、恐らくはそれと知りつつも目をじっと見つめ、
本当だ。マギーには命がやどっている。という。マギーの瞳のかがやきに、真実以上の真実をみたのだろう。
主役二人はもちろんだが、この父親を演じたバール・アイヴスの圧倒的な存在感が、この映画を芯の通ったものにしていると思う。
今の時代からみると、こんな封建的な父親はナンセンスかもしれないが、圧倒的な支配力の父親がいてこそ、そこから脱して成長していくのだという示唆も読み取れる。

そしてもう一人。このドラマの中で、ひときわ印象に残るのがこの女性だ。
兄嫁メイを演じている、マデレーン・シャーウッド。
義父母に媚びを売り、その影で弟夫婦をこきおろし、子供たちを父におべっかを使う道具にしたてあげ、笑顔で毒舌を吐く。最後まで、その独特のファニーフェイスで、憎々しく醜悪な兄嫁を演じきった彼女は見事だ。
家族の心が新しい結びつきを得るころ、外の嵐も収まり、平穏な夜がやってくる。

映画の最後、夫婦が絆を取り戻して寝室で抱擁を交わす、このシーンが洒落ている。
夫がこれまで寝ていたソファに置いてあった枕を、後ろ手につかんで、

ベッドに向かって放り投げる。

枕が、もうひとつの枕のとなりに着地したところで、The End。
これはわずか半日の間に起こる家族の物語で、テネシー・ウィリアムズらしい室内劇だ。
原作はピューリッツァー賞も受賞している。
そして、ポール・ニューマンは、受賞こそ逃したものの、この映画の演技ではじめてアカデミー賞にノミネートされたのである。
俳優は、数々の作品を経て名優になり、私達を楽しませてくれた。
私達はこれからもずっと、彼の姿をスクリーンに見続けることができることを幸せに思う。
心から、彼の冥福を祈る。安らかならんことを。



