厚生労働省は、当初所得の格差は拡大していると認めています。これを、社会保障で再分配すると、格差が縮小するというのですが、大田区の予算を見ると、福祉費割合は減少、営利企業の利益(株主利益=富裕層)のために税金を使うなど、格差を拡大させる予算になっています。
再分配は、税金と社会保障で再分配されます。
日本の再分配は、税金を集めるときより、集めた税金を使うときに再分配するほうが大きいのです。
累進性が低い税金などの集め方になっている、と言ったらいいかもしれません。
たとえば、国は所得税は累進性が高いと言っていますが(この間所得税の最高税率は下がり続けていてもそう言っています)、地方税(特別区民税など)は低率なので累進性が低い税金です。
大田区の税金の2割強をささえる特別区民税は、累進性が低い、中間層、低所得者層により重い負担の税金です。
それなのに、集めた税金を福祉に使わずに、土木や建設やイベントに使えば格差が拡大するのは、当然です。
そもそも、日本の社会保障は、年金と生活保護に厚いしくみです。
年取って働けなくなった、なんらかの理由で収入を得ることが出来なくなった人は、そのセイフティーネットにかかって、救われますが(の場合が多い)、元気だけれど仕事が無い、働いているけれど低収入のシングルマザーや非正規雇用、失業者などのセイフティーネットは非常に乏しいと言えます。
その乏しいセイフティーネットのなかの、子育てや介護や障害や医療や住宅や教育を大田区は担っています。
全体のしくみは、国が作っていて、自治体で全てを解決することが難しい施策もありますが、だからと言って、区民から集めた税金を社会保障以外の目的に使っていいことにはなりません。
社会保障費と言っても、民営化で株主利益や株主の資産のために税金を使ったら富裕層に税金が流れるので、格差がさらに拡大します。建物を建て替えたり、物を買ったりで予算を膨らませたりしても、暮らしやすさに直接の変化はありません。
大田区のような税金の使い方をしていると、格差が縮小していると国が言っているほどに、格差は是正されないことになります。
私たちは、国の見せかけの数字で、格差は是正されていると、納得させられたような気持になっていますが、暮らしている実感がなによりも実態を表していると思うのです。
以下は、予算の反対討論です。
政策的な視点から、格差の拡大要因を分析しています。興味のある方は、ぜひ、お読みください。
https://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/bbedca1487a98b42a23af1d7c4cd465d