今日は、大田区の財政は健全か、と言う視点で、質問させていただきます。
夕張市の財政破綻をきっかけに、
一般会計だけでなく、第三セクターまで含めた自治体財政の健全性を、
赤字かどうかに重みを置いて評価しているのが、
財政健全化法に基づく各指標です。
令和7年度大田区財政健全化に関する5人の監査委員の審査の意見は、
・実質赤字比率も、
・連結実質赤字比率も、
・実質公債費比率も、
・将来負担比率も、
早期健全化基準を下回っていて、財政が健全であると言う結果です。
また、監査委員の意見書に、
・経常収支比率、
・公債費負担比率、
・基金の運用利回りなど、
数値で、ある種のメッセージが込められた指標が示され、
私たちは、つい、その指標に影響されて、評価してしまったりしますが、
*経常収支比率が約8割と言っても、
弾力性はなくて使いみちは決まっているようです。
(以下、大田区シティマネジメントレポートの経常収支比率の定義:人件費、扶助費、公債費等のように容易に縮減できない経常的経費に、地方税等の経常一般財源等がどの程度充当されているかによって財政構造の弾力性を測定するものであり、歳入構造と歳出構造をリンクさせた総合的な指標です。経常収支比率が高いほど新たな住民ニーズに対応できる余地が少なくなり、財政は硬直化していくことになります。経常収支比率が100%を超えるということは、安定的な収入が見込まれる経常一般財源では義務的な経常経費すら賄えなくなっていることを意味し、不健全な財政状況を示していることになります。一般的には70~80%が適正水準といわれていますが、インフラの集中的な整備が求められた時代に旧自治省が設定した数値で、現在のようにインフラの整備が一定程度進んだ中では、その水準は現状にそぐわないという意見もあるところです。)
第二回定例会で、家庭ごみの有料会についての質問で、
経常収支比率が約8割ですから、家庭ごみの処理費用は十分にまかなえると思って質問したら、
答弁は「単に形式的な数値のみで判断するのではなく、臨時的経費に充当している一般財源の特殊事情なども考慮したうえで、正しく評価する必要がある」でした。
一般財源の本決算額2165億円の78.2%の経常収支比率で、
財政の弾力性が471億円もあると思うのですが、
毎年、臨時的経費が出てきて、そこに使うことに決めているようなので、
弾力性と言っても、どうも指標の意味することとは違うようです。
それとも、このあとの質問の答弁で分かることだと思いますが、債務負担行為の今後の物価の上昇分を考慮して、財政運営に慎重になっているのかもしれません。
いずれにいたしましても、作られた財政指標だけで、財政は健全で大丈夫、と安心はできないということです。
そこで気になるのが、今申し上げました債務負担行為が、近年、急激に増えていることです。
資料番号の1をご覧ください。
シティマネジメントレポートR6
令和6年度決算のシティマネジメントレポートです。
22ページ、資料番号2に、そのページだけを抜き出していますので、そちらをご覧くださっても結構です。

債務負担行為と言うのは、単年度主義が原則の公会計において、複数年に渡る工事や、賃料など将来にわたる費用負担を、議決して有効にする方法で、予算書に毎年載っています。
ご覧いただくと、ここ数年、債務負担行為の金額が急増してきているのがお分かりいただけると思います。
馴染みのない債務負担行為が増えているなあ、と思って、
予算ですが、私が初当選した2003年度を調べたら20億円。
2000年度が163億円でした。
20億円はともかく、近年の債務負担行為の数字がいかに特殊かと言うのがお分かりいただけると思います。
ちなみに令和8年度予算の債務負担行為額は、1124億円。
2003年比ですと56倍です。
区長就任とほぼ同時の令和5年の公共施設改築・改修等中期プランで施設だけで120億円だった実績を2倍以上に増やしてきたわけですが、
こうした過剰なインフラ投資で、大きく増えたのは、
投資的経費だけでなく、
将来にわたる需要の設定、債務負担行為も増やしてきたということなのです。
ところが、債務負担行為と言うのは、
・将来、まだ、区民の皆さまが納めて下さっていない税収や、
・これまで区民の皆さんから、取り過ぎたり執行努力で貯めてきた基金を当てにして設定していますから、
他の需要で基金残高が急激に減ったり、税収が増えなかったりすれば、一気に事業執行が危うくなると言う危険性を持っています。
そこでうかがいます。
- 債務負担行為は財政の悪化要因になりえます。適正に管理しなければ、財政破綻リスクを増大させたり、物価をさらに高騰させたり、他の事業を圧迫したりしませんか?
しかも、債務負担行為の金額が増えるだけでなく、工期の変更も目立ちます。
資料の3の令和7年度補正予算案の概要一般会計第3次をご覧ください。
先ほど、2003年度予算で債務負担行為額が20億円と申し上げたように、
私も、債務負担行為をほとんどみることが無かったので、頻繁にみるようになって、何が起きているのだろう、どういう影響があるのだろう、とズーッと考えていました。
補正予算書の11ページ、資料4がそのページです。
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 4
債務負担行為の追加と廃止が載っています。
しかも、東調布中学校の債務負担行為の廃止は、71億円です。
資料5の補正予算第6次ですと、債務負担行為は22ページに掲載されています。資料番号で6です。
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 6
こちらでは、104億円もの馬込第三小学校の改築工事が廃止になっています。
また、その下には、令和9年度で終わるはずだった馬込橋の耐震補強整備が2年先送りの令和11年度までに工期が延長されて、工事金額も5億7千万円が、6億3千万円に1割以上増えています。
しかも、東調布中学校と馬込第三小学校の債務負担行為が廃止されて、
175億円の工事がなくなったようにみえますが、
無くなったわけではありません。
もしかしたら、令和9年度予算の債務負担行為に、あらためて、高騰後の工事単価で予算計上されるかもしれません。
令和7年に175億円の需要として計算され、令和9年度予算で計上されれば、175億円程度の需要が二重に計上され350億円の工事をしたのと同じように、増えたことになって、また、資材の高騰要因として物価調査会が見込むことになるのです。
工事金額も高額になり、債務負担行為で予算計上されても、廃止になったり、変更になったりして、工事が先送りされると、単なる変更ではなく、資材の高騰の影響で、工事金額もあがりますし、それがまた資材価格に影響することになるのです。
そこでうかがいます。
- 工事が先送りされ、工事が遅れれば、資材の高騰の影響をうけ工事金額が上がる可能性も高くなります。決算で残った債務負担行為の工事金額は、令和9年度予算で更に膨らみませんか?何パーセント増を見込んでいますか?
2003年の当初予算で、20億円だった債務負担行為と、2026年の予算で比べれば、56倍。
確定した令和6年度決算でも771億円。
資材高騰の影響の大きさも違います。
何パーセント増えるのか、というのが、今後の財政への影響を知る意味でも非常に重要です。それを見込もうともしない、示さないと言うのは、よほど都合が悪いから、かもしれません。
あらためて、資料の2をご覧ください。
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 2
例えば、令和6年度末で、
債務負担行為つまりは、令和7年度以降に支払わなければならない工事や家賃や利息などの総額は771億円で、
区債の発行残高が219億円。
債務は合わせて990億円です。
一方、基金残高が1172億円ありますので、182億円基金の方が多くて、
将来の区民がお支払いくださる税収への財政負担は無いですよ、
というのが、この棒グラフと表の意味です。
この金額が、急激に減ってきているのがお分かりいただけると思います。
債務負担行為額も、そして近年は、
区債残高も増えていますから、
急激に財政が悪化しているということなのです。
実は、令和6年度の補正予算でも、
同様に東調布第三小学校と田園調布小学校の債務負担行為が62億円廃止されています。
もし、これが、廃止されなかったら、どうなっていたかというと。
債務負担行為残高771億円が、833億円になって、
区債との合計は、1052億円。
基金残高は、1172億円ですかあ、120億円の差に縮まります。
財政基金と言うのは、財政調整基金と言う名の通り、
使う為というより、
年度内の歳入・歳出の調整のために使うものです。
高額な補正予算は、私たちも経験していますから、120億円と言うのはいかにも心もとない数字かお分かりいただけると思います。
区は歳入の二割程度基金の積立額を適正規模と言っていますが、
債務負担行為を見越してそう言っているのかもしれませんが、
実質的には、債務負担行為を巨額に設定し過ぎて、
基金残高さえ、余裕のない数字ということになります。
(因みに、この基金は、私たちから税金を取り過ぎて、余らせて貯めている貯金です。税金を取り過ぎて、
貯金が有るから、大きな船に乗ったような気になって、使い過ぎた結果、こうなったという風にみることができるのです。)
しかも、債務負担行為残高771億円が、資材の高騰や専決処分で、工事契約の変更になることは、十分にあり得ますから、
財政が健全とは言えなかった、厳しい局面を迎えていたのが、令和6年度決算だったのです。
ところが、私たち議会は、
まさか、ここまで、財政がひっ迫していたなどとは知らずに、
令和6年度決算の認定をしてしまった会派も多かったのではないでしょうか。
なぜかというと、決算時点での債務負担行為の残高は、
決算書にも監査の意見にも、どこにも示されていないのです。
毎年1月に公表されるシティマネジメントレポートで、
私たちは初めて、その金額がいくらかを知らされることになります。
そこで、資料番号7をご覧ください。
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 7
先日の、総務財政委員会で報告された、普通会計決算の速報ですが、
ここにも、債務負担行為の決算額は示されていないのです。
しかも、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
令和7年度の補正予算で、
東調布中学校と馬込第三小学校の、175億円債務負担行為を廃止しています。
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 4
総務費(フェアな民主主義)奈須利江 6
債務負担行為の決算額がいくらかも大切ですが、
さらに、廃止した175億円の債務負担が隠されているということなのです。
決算における債務負担行為が、いかに大切かがお分かりいただけると思います。
実質的財政負担が、将来に及ぶ瀬戸際だということです。
そこでうかがいます。
決算の認定に極めて重要な意味を持つ、
- 7年度決算の債務負担行為額が示されていませんが、いくらですか?およその数字でも示すことはできませんか?示せないのは、財政が急激に悪化するからではないですか。6年度末決算で771億円ですが、増えるか減るかも示せませんか?
【答弁】
速報値で675億円。
令和7年度決算の債務負担行為残高が675億円
区債残高が243億円
基金残高が1228億円
余裕は310億円
令和6年度決算が182億円ですから改善したように見えますが、
令和7年度の補正予算で、175億円の債務負担行為を廃止しているので、
見えない債務負担行為額を合わせると、余裕は、135億円に減ってしまいます。
債務負担行為は、単年度主義の例外で、多用すべきものではありません。
長期にわたる工事契約が、インフレの影響を受ければ、区民負担を大きくするばかりでなく、区民からみえにくくなる、という致命的な欠陥もある、ということです。
夕張市の財政破綻をきっかけにできた財政健全化比率は、
・第三セクターの赤字に注目して作られたからなのか、
・債務負担行為がこれだけ濫用されることを想定していなかったのか、
・あるいは、そこまで織り込み済みだったのか、
わかりませんが、債務負担行為を全く問題視していません。
だからと言って、
法が求めなければ、債務負担行為の決算残高を決算議会で明らかにしなくて良いはずがありません。
財政民主主義の視点から、透明性の確保と説明責任を果たすためにも、
今の大田区の債務負担行為の濫用と、区民及び議会への説明責任に欠ける運用には、非常に大きな問題・課題があると思います。
そこでうかがいます。
- 債務負担行為や繰越明渠など、区が出す、決算書類でも、シティマネジメントレポートでも見えない財政のマイナス要因も含め、区民にわかりやすく見せるべきではないですか。
大田区が、令和5年に公共施設整備費を急増させたとき、議会で、物価の高騰に影響しないか質問したら、大田区だけでは、ただちに影響しないと答弁しています。
いま、どうでしょう。物価や資材高騰は、円安と原油高だけが原因でしょうか。
基金を貯める構造も国が作り、需要を大きくする公共施設整備計画の改定も、複合化や多機能化と言う整備手法も、
国が示してきたから大田区は行ってきたはずで、大田区の個別の問題では無いことを区は知っていたはずです。
国と一緒になってデフレ完全脱却で、インフレという物価高に誘導してきたのがこの間の大田区政です。
蒲蒲線や、羽田空港跡地開発や、学校複合化や、多機能化が、
大田区の財政を圧迫し、悪化させることがわかっているから、
住民税基礎控除を、総務省が事務局の市長会に同調して、据え置かせたというのが真相では無いでしょうか。
物価高や財政破綻の影響を受ける、大半の区民生活を考えてのことでしょうか
