タイで年に1回、一般の本から子どもの本まで部門別に与えられる良書賞のうち、子どもの本関係を追っています。
これまでのものは、カテゴリー「タイ良書賞」でごらんになってくださいね。
2023年、今年のタイ良書賞の発表がもう行われていました。
だいたい春のブックフェアで受賞作品が購入できるようにされています。
今年の受賞作品発表のもようはこちらです。
最初10分くらい、良書賞のこれまでをふりかえる動画があって、おもしろいです。
後半、すべての受賞作品が紹介されています。
今回は、子どもの本に関する部門の中から、それぞれの最優秀賞をご紹介します。
まず、3-5才部門。
最初にあげた書影の
『ふとったねことやせたねこ』
作家さんは、タイの代表的絵本作家でこのブログでもカテゴリーをつくっている、プリーダー・パンヤーチャン先生です。
おめでとうございます
私がバンコク日本人会子ども図書館ボランティアだったとき、ごいっしょにタイの先生がたにワークショップもしたことがあります。
プリーダー先生は、チーワン先生とともに、シーナカリンウィロート大学のポータブルライブラリープロジェクトの地方のお話し会に、学生時代から参加されていました。
(ポータブル・ライブラリーについても、カテゴリーをつくっています)
この絵本については、出版社の
から、中身を見ることができます。
プリーダー先生の端正な絵で、円をつかって描いた太ったねことやせたねこの対比がユーモラスに絵が描かれていますね。
巻末を見ると、読者が、同じように円から、絵が描けるような参加型になっていて、やはりお話し会で子どもたちと接している作家さんならではと思います。
そして、今年の注目作品と作家さんはこちらです。
『まるたのいえとおなおしやさんのなかま』
この絵本は、6-11才部門と、子どものための美しい部門で最優秀賞をW受賞していますが、これ以前の年も受賞するようになってきています。
作家さんは、クリッサナー・ガーンチャナパーさんとワチラワン・タップスアさん。
このお二人はご夫婦で、先日調べていて、タイの公共放送PBSで30分番組がつくられているのを見つけました。
私も何冊か知らずに絵本を持っていたことと、ご夫婦で専業絵本作家としてスタジオを持って活躍しているというのが、とても新しい形なので、別記事でご紹介しようと思います
以前はタイでは専業で絵本作家として活動できる方は非常に少なかった上に、絵本作家というのがめざすべき職業を考える人は少なかったのです。
『スイカの王子』という絵本で、2002年にユネスコ野間絵本原画コンクール(今はありません)で入賞した、ウィーラユット・ラートスッウィチャイさんが初めて「子どものころから職業作家をめざした」人と言われています。
続いて、「マンガとグラフィックノベル」部門も注目しています。
一般部門もご紹介します。
ควันหลง และ หมอกขาว
『のらねこ煙(クワンロン)』と『白い霧(モークカーオ)』というような題名でしょうか。
内容は、出版社のあらすじを見ると、まず寒季、のらねこのクワンロンが、夢見がちな女の子フォーンファンฟองฝัน(ゆめの泡)と出会って不思議なことが起こるお話と、雨季に、なまけものの白いねこのモークカーオが、ごくふつうの少年サーイロムสายลม'(風)と出会ったいろいろな物語だそうです。
読んでみたいですね
そして同じ部門の子どもの本部門は、
『スサーコーン』です。
これはタイ最大の詩聖と言われるスントーンプーの長大なファンタジー『プラアパイマニー』の中の、子どもを主人公にした章で、龍馬にまたがる小さい仙人の姿のスサーコーンが父親(プラアパイマニー)をさがしに旅に出るお話です。
この絵本の出版社は、Class Publishingといって、以前はぬりえを主に出していました。
タイはぬりえ文化が盛んだったそうで、タイの古典や文化風習をシールブックにしたりしていました。
今は美しい絵本部門などでよく入賞しています。
タイのぬりえについては、
ご紹介しています
「きいちのぬりえ」で有名な蔦谷喜一さんの作品を集めた「ぬり絵美術館」の館長金子マサさんからうかがった、貴重なお話もご紹介しています。
ということで、このあと、奨励賞は各部門3作品ずつ受賞していますので、おいおいにご紹介していきたいと思います~