12月4日。平日の2番目である火曜日。
月曜日のおかげで仕事に体が慣れ、ついおととい休んだばっかりで気力もまだまだ充実している曜日である。
なかなか「よし、サウナに行こう!」とはならない曜日であるが、週末にまんしゅうきつこ先生の「湯遊ワンダーランド」を読み、かつ週末はサウナに行けなかったため、蒸男のサウナ禁断症状が限界に達した。
よって、めでたく「火曜日のサウナ」という、なんだかテレビ番組のタイトルみたいな行動を取ることと相成った。
この日、蒸男は心に決めていたことがあった。
アカスリをしよう!
全国のサウナー諸兄には怒られるかもしれないが、
「アカスリをしだしたらもうおじさんだよね~」
という強固な固定観念が蒸男にはあり、いや、今なおある。
なので、これまではアカスリをしたことがなかったし、しようだなんて夢にも思わなかった。それにもかかわらずアカスリをする気になったのは、先輩サウナー方のブログを拝見しつづけ、そしてまんしゅうきつこ先生の漫画にとどめを刺されたからである。
※第2巻第58話「カサカサひりひり」
アカスリをした後のサウナは汗が良く出て、アカスリをした後の水風呂は肌に水が吸い付いて気持ちよさ数倍増しらしい。
というわけで、やってきたのはおなじみ、「稲佐山温泉ふくの湯」である。
火曜日という曜日のせいなのか、駐車場はとても空いていた。
施設内には「アカスリエステ」なるお店があり、料金体系は次のとおりである。
初心者の蒸男は、スパアカスリの「A:お試しコース」30分3800円で行くことにした。
受付のお姉さんとおばちゃんの間くらいであろう年齢の女性に
「20分ほど湯船につかってもらうと垢がより出ます。また、アカスリ前には洗体は行わず、サウナにも入らないでください」
と教えられる。
なるほど、アカスリ前にはサウナに入ってはいけないのか。
理由は知らないが、餅は餅屋である。蒸男はサウナには一家言あるが、アカスリはバージンなのだ。お店の方の言うことに従うのが一番である。
というわけで、お店の方の言うことを素直に聞いていたらヘアーシャンプーをオプションで付けることになった。
30分後を予約して、いざ浴場へ。
ちなみに、今日のドリンクはこちら。
大塚製薬の新商品「ボディメンテ」。ポカリスエットの強化版のようだ。
ポカリスエットのような味ではあるが、グレープフルーツのような苦みがあり、苦みがうま味と感じられる中年にとっては癖になる味だ。よくわからないが、浸透圧とかの計算もしているらしく、ただの水よりも水分が体に吸収されやすいらしい。これはサウナのために開発されたドリンクに違いない。しばらくは蒸男サウナドリンクの一軍となりそうである。
それにしても、洗体とサウナの禁止である。
普段は身体を洗い、サウナへ直行するため、これらを禁止されると何をしたらよいかわからない。
とりあえず、ジェットバスと炭酸泉につかる。
これがなかなか気持ちいい。
「湯船もいいもんだなー」と、露天の寝湯やかめ湯にも浸かっていると、あっという間に30分が経っていた。
そそくさとアカスリ場へ向かう。
アカスリ場には台が三つあり、受付のお姉さんとおばちゃんの間くらいの年齢の女性が準備を整えていた。
「この光景、どこかで見たことあるな」と思っていたら、盲腸で見た手術室の光景であった。
思い出したくもない思わぬ再会に驚く。再会はいつも突然である。全裸にタオルで股間を隠したまま、人生の真理の一つを知る。
手術の際はT字体というなのふんどしをつけたが、アカスリの際は紙製のTバックみたいなパンツをはかされる。こんなところにも共通点。お尻がぷりんと出て恥ずかしい。
おけつ丸出しのまま、女性に促され手術台もといアカスリ台に横たわる。思った以上にふかふかで驚く。
指示に従い仰向けになると、美容院でシャンプーをされるときのように濡れタオルで目元を隠される。
シャワーで全身にお湯をかけられ、いよいよアカスリスタートである。
特殊なアカスリ手袋をした女性に、ぬるぬるのシャンプーをかけられ、全身をごしごしとこすられる。
文字にすると若干卑猥であり、実際卑猥なことを考えてしまわないか心配であったが、それは杞憂であった。
予想以上に気持ちがよい。
ただ単純に気持ちがよい。
人間、本当に、単純に、気持ちがよければ、そこに卑猥な思考など混ざりようもないのである。
おけつ丸出しにしたまま、再び人生の真理の一つを知った。
それにしても本当に気持ちが良い。
痒いところに手が届くとはこのことで、背中は当然として、胴体の側面や手足の指の間をすられると、とろけそうな程に気持ちが良い。この辺が普段からよく洗えていなかった部分なのだろう。今後は、気を付けて洗うことにしよう。
途中で目隠しタオルを取ってもらいアカスリ中の身体を見たが、恥ずかしいほどに垢まみれであった。人類が存在する限り、妖怪アカナメは絶滅しないだろうと思った。
全身のアカスリが終わると、続いてオプションで付けたヘアシャンプーが始まった。
さすがに美容室ほどではないが、とろけるには十分の気持ちよさである。これで350円は安い。
これで終わりであったが、「ここまできたらすべてを洗ってもらおう」ということで、洗顔のオプションを追加した(料金失念)。
これだけは「うーん、なるほどね」という程度のものであった。
勢いに任せてオプションは追加してはいけない。これも人生の真理の一つであろう。
以上が蒸男の「はじめてのアカスリ」のすべてである。
全身を磨かれ、新たに生まれ変わったかのような気分であった。
その後、夢心地のままサウナに入り、水風呂に浸かる。
すでにととのっていたようなもんなので劇的な変化はなかったが、サウナでは汗が良く出て、水風呂では体がよく冷えた。
アカスリを20分~30分。(これ以上は必要ないと思う)
オプションでヘッドシャンプー。(洗顔は不要)
これを毎月一度のご褒美にしようと決心した。
アカスリを知ったのおかげで、またひとつ人生の楽しみができた。
そして、もし蒸男と同じように「アカスリをしだしたらもうおじさん」と思っているサウナーがいるのであれば、こうお伝えしたい。
「これだけ気持ちいいのであれば、俺はもうおじさんでいい」
アカスリ、最高です。
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♨長崎蒸男のサウナ道♨
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