ドストエフスキー『貧しき人びと』全人物事典(まとめ)
背景
1844年(23歳):『貧しき人びと』の主人公像が固まり、創作のために野戦工兵少尉の職を辞する。
1845年(24歳): 『貧しき人びと』が完成する。
1845年5月:ベリンスキー(社会主義者・無神論・批評家)が『貧しき人びと』を絶賛する。
1845年11月:オドエフスキーに『貧しき人びと』の校正刷りを送り、「これは一晩だけお貸しします。誰にも見せぬようにお願いします。明朝お返しください」。
1846年1月20日:ネクラーソフ編集の『ペテルブルグ文集』にて発表される。
迷言集
作品内の時系列
全人物事典
相関図
ブイコフ氏を中心とした相関図
物語内・外の作家の相関図
マカールさんの取扱説明書
メモ
・最初はおそらく、しがない中年男性の純愛失恋物語として読むことになると思うので、かなりキツい読書となるはず。
・人間賛歌ではあるが、「すばらしいですね」ではなく「バカだなあ……お前は」と言ってやるのが、ちょうどいい。文豪の作品だからと言って、変に構えて読む必要はない。
・狂騒曲、コメディー、てんてこ舞い、バランスを崩しながら爆走するドン・キホーテ。
・漬物石のようなさえない男も、喜劇的で悲劇的で、美しく醜い内面世界を、ドラマチックに生きている。モブにはモブの内面があるのではなく、モブもまた主人公として人生を生きている。この点を、当時の文士たちは見逃していた。
・主人公の内面を自然に吐露させ形式として、ゴーゴリ『狂人日記』のような「日記」形式があるが、『貧しき人びと』の「書簡体」は、これを一歩進めて、表現の幅を広げる試みだった。たとえば、書簡が双方向のものであるからこそ、自意識の一方通行の投げ合いが際立つという仕掛けになっている。
・主人公の心の動きに、妙なリアリティーがある。弱冠23歳でありながら、47歳の心をうまく想像して描いたというわけではなく、47歳の男の内面が未熟なままであることを鋭く見抜き、我を忘れて地団駄を踏むときの、23歳のドストエフスキー自身の感情をそのまま主人公に吐露させることで、生き生きとした描写に成功している。
・ヒロインのワルワーラは、ドストエフスキーの妹の名前でもある。兄と妹のやり取りにつきもののコミカルな要素を盛り込むことで、この小説にテンポをもたらしている。
・ある人物にある出来事を与えるとどんな反応が起きるか、どこでその人物は今いる平面から転げ落ちるか、また、どうすれば、元に戻るかといったことを、天秤に主人公を乗せて実験しているような書き方。『罪と罰』のころまでは、そういうのが多い。
・マカールのバリエーションとなる人物をたくさん登場させて、もしマカールがワルワーラと結婚したら……というその先を暗に示すことで、これがマカールにとっての最善に結末であることを匂わせている。マカールが、このあと、淡々と元の日常を生きていくであろうということは、かつての女優とのエピソードからも、うかがわれる。
・マカールとワルワーラは、互いに5回ずつ贈り物をしている。貸し借りなしの関係。
その他の主なまとめリスト
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