佐竹本 三十六歌仙の臨書つづきです。
前回同様、実際には、田中親美の模写の臨書をおこなっています。
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め に に
あきゝぬと免尓ハさやか尓見えねとも
お に そ お ろ か
風の於と尓曽於と路可れぬる
秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
藤原敏行
<訳>秋が来たと、目にははっきりと見ることはできないが、かすかに違う風の音に耳をとめては、ああ、さわやかな秋が来ている、いつのまに……と心ゆらぎを覚えることだ。
教科書でもおなじみの歌。耳にも優しくわかりやすく、好きな歌です。
敏行は宇多天皇の信任を得て蔵人頭をつとめた人物で、能書家でもあったとのこと。
ほかに、百人一首に採られた「住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通路 人目よくらむ」が有名。
さて、<斎宮女御編>ともあわせて、臨書の感想。
楽しかった!!!
後京極流の手蹟とのことですが、墨が濃く、やや右上がりの強い手蹟でした。ゆっくりと、紙にしっかり筆を食い込ませて書きました。書風は、鎌倉初期の、武士が力を持ちつつある時代背景を感じさせる気もしました。
今回、古筆の臨書を勧められました。現在、かな文字は百人一首を勉強していますが、現代作家の書いたものを手本としていますので、やはり本格的に古筆をやったほうがよいとのこと。なにをやろうか、じっくり調べて考えたいと思いま~す
次回・最終回(たぶん) 伊勢編