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温暖化は南極海氷を増やす

 温暖化に伴い、陸地の氷床および北極海氷は減少しています。しかし、南極海氷は温暖化にも関わらず増加していました。このことは以前も取り上げています。

北極海および南極海の海氷面積推移(面積最小月)。NSIDC HPより。

 先日、この原因を説明する報告が発表されました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130401-00000021-mai-soci
http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/full/ngeo1767.html
 結論から言うと、
 温暖化に伴い南極の氷が溶ける→塩分濃度が低く冷たい水が海に流入する→南極海の表層が冷たくて密度の低い水に覆われてしまう
 ということです。こうなってしまうと、相対的に暖かく塩分濃度の高い水が、深海から上昇しづらくなってしまいます。冷たい上に塩分濃度が低いのですから、海氷ができやすい環境がばっちり整ってしまい、結果、海氷面積が増えているということです。
 なるほど、納得のできる説明です。むろん、原因はこれだけではないでしょう。他の要因(大陸氷床が大量に流入している、オゾンホールの影響で気温上昇が抑制されている、など)も組み合わさって南極海氷の増加が見られるということだと思います。
 もう一つ留意すべきは、海氷の増加と表層水温の低下は、南極大陸の降雪量を減少させる方向に働くかもしれないということです。これは海面上昇を加速させることに繋がるかもしれません。
 南極は特殊な環境で、温暖化の影響が他の地域とは異なる形で現れます。まだまだ未知の部分は多いですね。

 最後に、特に西南極では気温上昇が進んでいて南極氷床の質量は急減していることは強調しておきます。


結晶化不要?!

http://www.chem-station.com/blog/2013/03/okok.html

これは・・・すごい!
Chem-Stationさん以上の解説をするのは私には不可能なのでリンク先参照ですが、これまでの化学における諸問題が一気にクリアできるかもしれない、というほどのインパクトです。
10年後にはどこの研究室でも行われている、そんな分析法になる可能性を秘めているように思えます。まさに「ノーベル賞クラスの研究」です。

私もX線回折はよく使うのですが、こんな発想はどこにもなかったですねえ・・・。

知の逆転



 すでにあちこちで評価されていて()、今さら感があるのですが。
 この本、やはりすごい。まさに「現代の知の巨人」たちの、豪華絢爛たる競演です。竹内薫氏の書評「10冊分の情報がつまってる」は誇張ではないです。ぜひご一読ください。
 あと、インタビュアー兼編者の吉成さんがすごいです。よくもこの6人を選んだなものだ、と・・・。


地球温暖化が日本に与える影響-新たな予想

 気象庁から、今世紀末までに日本で起きるであろう温暖化について評価した資料が発表されました。
http://www.jma.go.jp/jma/press/1303/15a/gwp8.html
  1996年の第1回発表から数えて、もう第8回。徐々に信頼性を向上させながらここまでやってきました。
 最新の予測はどのようなものでしょうか?私もまだ十分に読みこなしたとは言えませんが、気づいたこと・思ったことを列挙してみようと思います。なお、本記事に出てくる図版は全て、気象庁の地球温暖化予測情報第7巻および第8巻から得ています。

・「地球温暖化が日本に及ぼす影響」に特化した
 報告書は当初、地球温暖化が全世界に及ぼす影響について言及していましたが、第7巻6巻からは日本に及ぼす影響に論点を絞りました。今回もそれをさらに押し進めた感じです。
 「地球全体」といった広い範囲の評価に比べ、「日本」という狭い範囲を評価するのは困難さがまします。科学的知見の増加やシミュレーション技術の進歩が、これまで困難だった地域レベルの予測を可能としたのでしょう。


第7巻と第8巻のシミュレーション手法の違い。着実に進歩している。



・今世紀末の気温上昇幅(冬季)は、これまでの予測に比べ大きくなると見積もられた
  今世紀末の全国平均気温は、20世紀末の気温に比べ、冬季で+2.5~4.3℃、通年で+2.6~3.4℃ほど上昇すると予測されました。予測期間や地域区分が若干変わったので単純比較はできませんが、第8巻では第7巻のA1Bシナリオを上回る気温上昇を予測していると言えます。
 
今世紀末の冬季(正確には、第7巻が12~3月・第8巻が12~2月)の予測気温上昇幅。左が第7巻、右が第8巻の予想。なお、第7巻では年平均気温に関する言及はなく冬季の気温上昇幅しか示されていない。また、第8巻ではA1Bシナリオのみに基づいた予測をしている。
 

・新たに「近未来予測」が始まった
 実は、今世紀末といった長いスパンの予測よりも、10年後といった短いスパンの予測のほうが、ある意味では難しいとも言えます。長期変化が短期的な変動に打ち消されてしまう場合もあるからです(詳しくは第8巻P15参照)。
 そんな中、第8巻では「近未来予測」という項目が入りました。2016~2035年を近未来として、その気候についても言及しているのです。不確実性が大きい事を留意する必要がありますが、近未来においては、全国の年平均気温は前世紀末に比べ0.6~1.5℃程度上昇すると予測されました。
 
青が近未来、赤が今世紀末の予測気温上昇幅。

・降水量の変化予測はやはり難しい
 将来の降水量変化も予測していますが、降水量の予測はやはり難しいようです。というより、「ある季節は降水が増えるが別の季節は減る」「降水量は気温と違い、距離的に近い場所でも大きな差が出る(東京は降水量が少なかったが横浜は集中豪雨の影響で降水量が多かった、ということが普通にありえる)」とかいった理由で、全体的な傾向を出すのはあまり意味が無いとも言えそうです。
 ただ、短期間に大雨が降ったり、ほとんど雨が降らなかったりと、極端化が進むのは確実なようです。

 
 その他、いろいろ興味深い予測が並んでいるので、興味のある方はぜひ眺めてみてください。
 そういえば、今年末にはIPCCの第5次報告書も発行されるはずです。どんな予測になるのでしょうか。最近の各種文献を読んでいると、全球平均で考えても、温暖化は第4次報告で示された予測の中で最悪に近いペースで進んでいると思えますが・・・。


閉校

 自分の出身校がなくなってしまうというのは、なんとも寂しいもので。

 私の出身小学校が、過疎のため閉校となることが決定したそうです。.
 小学校が自分のいる地域から消滅するというのは、なんというかキツい。このまま限界集落・消滅集落へと転がり落ちてしまうのだろうかという、あきらめに似た感じを覚えてしまいます。
 私が在籍していたときはすでに少子化著しく、同級生は12人しかいませんでした(全校で100人くらいしでした)。今は全校で20人くらいしかいないようです。離島というわけでもなく、隣の小学校まで2kmくらいしかないという状況では、閉校もやむなしなのでしょう。


どうですこの田舎っぷり。私の家もこの中に写ってます。

 出張で東京の人の多さを見たり、「保育園が2年待ちといわれた」という東京在住の友人の話を聞いたりすると、これでいいわけがないと思ってしまうのも事実ですが。