地球温暖化が日本に与える影響-新たな予想
気象庁から、今世紀末までに日本で起きるであろう温暖化について評価した資料が発表されました。
http://www.jma.go.jp/jma/press/1303/15a/gwp8.html
1996年の第1回発表から数えて、もう第8回。徐々に信頼性を向上させながらここまでやってきました。
最新の予測はどのようなものでしょうか?私もまだ十分に読みこなしたとは言えませんが、気づいたこと・思ったことを列挙してみようと思います。なお、本記事に出てくる図版は全て、気象庁の地球温暖化予測情報第7巻および第8巻から得ています。
・「地球温暖化が日本に及ぼす影響」に特化した
報告書は当初、地球温暖化が全世界に及ぼす影響について言及していましたが、第7巻6巻からは日本に及ぼす影響に論点を絞りました。今回もそれをさらに押し進めた感じです。
「地球全体」といった広い範囲の評価に比べ、「日本」という狭い範囲を評価するのは困難さがまします。科学的知見の増加やシミュレーション技術の進歩が、これまで困難だった地域レベルの予測を可能としたのでしょう。
・今世紀末の気温上昇幅(冬季)は、これまでの予測に比べ大きくなると見積もられた
今世紀末の全国平均気温は、20世紀末の気温に比べ、冬季で+2.5~4.3℃、通年で+2.6~3.4℃ほど上昇すると予測されました。予測期間や地域区分が若干変わったので単純比較はできませんが、第8巻では第7巻のA1Bシナリオを上回る気温上昇を予測していると言えます。


・新たに「近未来予測」が始まった
実は、今世紀末といった長いスパンの予測よりも、10年後といった短いスパンの予測のほうが、ある意味では難しいとも言えます。長期変化が短期的な変動に打ち消されてしまう場合もあるからです(詳しくは第8巻P15参照)。
そんな中、第8巻では「近未来予測」という項目が入りました。2016~2035年を近未来として、その気候についても言及しているのです。不確実性が大きい事を留意する必要がありますが、近未来においては、全国の年平均気温は前世紀末に比べ0.6~1.5℃程度上昇すると予測されました。

青が近未来、赤が今世紀末の予測気温上昇幅。
http://www.jma.go.jp/jma/press/1303/15a/gwp8.html
1996年の第1回発表から数えて、もう第8回。徐々に信頼性を向上させながらここまでやってきました。
最新の予測はどのようなものでしょうか?私もまだ十分に読みこなしたとは言えませんが、気づいたこと・思ったことを列挙してみようと思います。なお、本記事に出てくる図版は全て、気象庁の地球温暖化予測情報第7巻および第8巻から得ています。
・「地球温暖化が日本に及ぼす影響」に特化した
報告書は当初、地球温暖化が全世界に及ぼす影響について言及していましたが、第7巻6巻からは日本に及ぼす影響に論点を絞りました。今回もそれをさらに押し進めた感じです。
「地球全体」といった広い範囲の評価に比べ、「日本」という狭い範囲を評価するのは困難さがまします。科学的知見の増加やシミュレーション技術の進歩が、これまで困難だった地域レベルの予測を可能としたのでしょう。
第7巻と第8巻のシミュレーション手法の違い。着実に進歩している。
・今世紀末の気温上昇幅(冬季)は、これまでの予測に比べ大きくなると見積もられた
今世紀末の全国平均気温は、20世紀末の気温に比べ、冬季で+2.5~4.3℃、通年で+2.6~3.4℃ほど上昇すると予測されました。予測期間や地域区分が若干変わったので単純比較はできませんが、第8巻では第7巻のA1Bシナリオを上回る気温上昇を予測していると言えます。


今世紀末の冬季(正確には、第7巻が12~3月・第8巻が12~2月)の予測気温上昇幅。左が第7巻、右が第8巻の予想。なお、第7巻では年平均気温に関する言及はなく冬季の気温上昇幅しか示されていない。また、第8巻ではA1Bシナリオのみに基づいた予測をしている。
・新たに「近未来予測」が始まった
実は、今世紀末といった長いスパンの予測よりも、10年後といった短いスパンの予測のほうが、ある意味では難しいとも言えます。長期変化が短期的な変動に打ち消されてしまう場合もあるからです(詳しくは第8巻P15参照)。
そんな中、第8巻では「近未来予測」という項目が入りました。2016~2035年を近未来として、その気候についても言及しているのです。不確実性が大きい事を留意する必要がありますが、近未来においては、全国の年平均気温は前世紀末に比べ0.6~1.5℃程度上昇すると予測されました。

青が近未来、赤が今世紀末の予測気温上昇幅。
・降水量の変化予測はやはり難しい
将来の降水量変化も予測していますが、降水量の予測はやはり難しいようです。というより、「ある季節は降水が増えるが別の季節は減る」「降水量は気温と違い、距離的に近い場所でも大きな差が出る(東京は降水量が少なかったが横浜は集中豪雨の影響で降水量が多かった、ということが普通にありえる)」とかいった理由で、全体的な傾向を出すのはあまり意味が無いとも言えそうです。
ただ、短期間に大雨が降ったり、ほとんど雨が降らなかったりと、極端化が進むのは確実なようです。
その他、いろいろ興味深い予測が並んでいるので、興味のある方はぜひ眺めてみてください。
そういえば、今年末にはIPCCの第5次報告書も発行されるはずです。どんな予測になるのでしょうか。最近の各種文献を読んでいると、全球平均で考えても、温暖化は第4次報告で示された予測の中で最悪に近いペースで進んでいると思えますが・・・。
将来の降水量変化も予測していますが、降水量の予測はやはり難しいようです。というより、「ある季節は降水が増えるが別の季節は減る」「降水量は気温と違い、距離的に近い場所でも大きな差が出る(東京は降水量が少なかったが横浜は集中豪雨の影響で降水量が多かった、ということが普通にありえる)」とかいった理由で、全体的な傾向を出すのはあまり意味が無いとも言えそうです。
ただ、短期間に大雨が降ったり、ほとんど雨が降らなかったりと、極端化が進むのは確実なようです。
その他、いろいろ興味深い予測が並んでいるので、興味のある方はぜひ眺めてみてください。
そういえば、今年末にはIPCCの第5次報告書も発行されるはずです。どんな予測になるのでしょうか。最近の各種文献を読んでいると、全球平均で考えても、温暖化は第4次報告で示された予測の中で最悪に近いペースで進んでいると思えますが・・・。