北極の次は南極
昨日の記事 で北極の氷の減少のことをちょっと書きましたが、南極の氷について興味深いニュースが2つ入ってきたのでそれについて。
衛星からのgravity data(重力測定データ)による、南極の陸地の氷の体積(質量です、訂正)の経年変化です。この計測法が始まってから日が浅いので、長期的傾向と断定するのはまだ早いと思うのですが、まあ減少傾向にあると言えそう。
ところで、"陸地の氷"と注釈したのには理由があって、今度は南極海の氷の面積のデータを見てみます。こっちは日本の気象庁 。
このデータを元に、「南極の氷は増えているのだから、温暖化なんかしてないんだよ!(たとえ温暖化しても海面上昇なんかしないんだよ!)」と主張するケースがままあるようですが、要注意です。
南極大陸の氷の体積は減少傾向にあると言えそう。一方、南極海の氷の面積は拡大している。これは何を意味しているのか?
そう、南極大陸から南極海に流出する氷が増加している可能性を示唆しています。
氷は固体ですが、それでも温度が上がると流動性が増します。陸上に蓄えられている氷は、氷河になって海に注ぎ込んでいるわけですが、それが加速することになります。当然これは海面上昇の要因となります。
これを裏付ける新たな報告もありました。
・南極の巨大氷床の崩壊はもはや避けられなくなった(オックスフォード大)
南極のパイン島氷河 という氷河はもはや回復することはなく、数十年内に消失することが決定付けられた、とのことです。
パイン島氷河の消失だけで、海面は24cm上昇すると見積もられています。
最近出版される、気候変動による海面上昇幅に関する論文は、押しなべて「予想より海面上昇は加速している」というものが多いです。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=axyoL5Isx6_0
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022501001216.html
今世紀末までに1m前後は海面上昇するのではないか、という報告が多いと思います(実際に数えたわけではありませんが)。