ある大物歌手の父兄参観
美空ひばりという演歌の大歌手がいた。彼女のプライベートな瞬間をとらえた映像をみたことがある。当時息子が通う東京の有名私立小学校の授業参観の様子を同じ教室にいた親がビデオでとっていたものだ。お母さんがほとんどでブラウスにスカート姿で教室の後ろに何人も並んで楽しそうに子供の授業を見ていた。ひばりさんも典型的な母親の姿で立っていた。監督は最初全く分からなかった。先生の声が大きく響きとても和やかなく授業シーンのようだった。何かの流れで歌の話になっていた。ある母親が「ひばりさん、ねえ 歌ってよ!。」と突然叫んだ。美空ひばりさんはびっくりしたようだった。周りの親も少しためらっているようだった。そしたら、ひばりさんは「うまくうたえるかどうかわかりませんけれど・・いいですよ!」と軽く答えた。ニコニコして。そしたら周りのお母さんは「わー!」と暖かい歓声を送った。ひばりさんは少し喉を整えるようにそして緊張を見せて数秒後無伴奏で歌いだした。童謡だったとおもう。少しスローなテンポで子供の顔をみわたすように何度も顔を大きくたてにふりながら歌った。シーンとなって・・ほのぼのとなって・・・歌い終わると教室いっぱいに拍手が沸き起こった。ある音楽関係者がこの件をこういった。「非常に珍しいですね。特にひばりさんクラスになるとまずプライベートでは歌わない。」と言い切った。それはそうだろう。ワンステージでテレビが入れば億単位のお金が動く。当時日本で1番出演料の高い歌手だったと思う。勝手にいろいろできないわけだ。その大歌手の歌う姿に監督はとても感動した。歌手「美空ひばり」でなく一人の「母」として歌ったんだ。周りはそう見てはくれないだろうけれど。それでも同級生の母から「ひばりさん歌ってよ!」と声がかかったのは母親同士で身近に思える振る舞いをし続けていた証だと思う。そういえば監督が大学3年の時、アメリカの大学での日本人留学生の歓迎パーティーで「何か歌ってよ」とホストのアメリカ人学生からいわれて誰も何もできなかったので「ここで黙っていたら日本人の学生はTOO SHYだと思われる!」と一発奮起して、「JAPANESE POPULARSONG, MY FAVORITE ONE」といって、さわりを適当に訳して歌はさすがに訳せないからそのまま日本語で演歌を大声で歌ったことがあったなあ。シーンとなってみんな引いてしまったなあ。日本人の留学生まであきれたいた。「しまった!」と思ったけれどおそかった。 とにかくバカな思い出が多々あるんだよ。 監督