いぬやしき 第7話 「渡辺しおん」 感想  悪魔と天使の天秤 | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

第7話 「渡辺しおん」

 

 

 

 

 

なんだよこの展開・・・えらい難しいテーマに入りやがって・・・

どう気持ちの整理つければええんや・・・
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エピソード別の満足度

 

×××度し難い  ××不快  ×退屈/あまり好みではない  ▽微妙/何かが足りない △まずまず楽しかった
▲なかなか楽しかった  ○楽しかった ◎凄く楽しかった ◎◎大満足 ☆名作回 ☆☆傑作回 ☆☆☆神回

 

◎ 第1話 「犬屋敷壱郎」

○ 第2話 「獅子神皓」

▲ 第3話 「安堂直行」

◎ 第4話 「鮫島」

◎ 第5話 「獅子神優子」

◎ 第6話 「2chの人たち」

◎ 第7話 「渡辺しおん」

 

 今回のテーマはまた一段と難しいものだった。正直答えが分からない。ただ次回以降の展開は予想がつく(´・ω・`)暗転するだろうな間違いなく

 

 

※注 以下ネタバレ含む

 

感想

 

 渡辺しおんと関わる中で自分の拠り所を見つけたのか、泣くしおんを宥めるように獅子神はひと殺しをやめ、これまでに殺した数と同じ数だけ人を救うと宣言する。獅子神は「それでいいだろ」と自己解決するが、視聴者的には『いやいやいや、何自己解決してんだよ』と思わずにはいられない。

 

しおんが言うように、先に殺された人間にも彼等を大切に思っている人間もいるだろうし、まして殺された本人達にしたら獅子神は相応の報いを受けるべきだと思うのが自然だと思う。

 

ただ、仮に獅子神が100人殺していたとして、その後その力で何千万人ものを命を救ったとしたら、獅子神が何の罪もない善良な一般人を殺したことを、心情的にどう受け止めたら良いのだろうと思ってしまう。人類全体の利益衡量と当事者同士の利益衡量とが反目する時、第三者としてはこの状況をどう考えるべきなのか。

 

また時系列が入れ替わり、もし獅子神が無数の人命を救っていたとして、その後何かの切っ掛けで善良な一般市民を殺してしまった場合には、どのように受け止めるだろうかなどと作品のifを想像してみたりして悩ましい話でもあった。

 

 

獅子神の処罰

 もし獅子神を捕まえコントロール可能だとした場合はどうなるだろう。翻ってまたひと殺しをする危険も考え彼を抹殺する試みを続けるのか、法的に裁けるものとして法律に従って厳正に処分を下すべきなのか、法で裁いた上で特例措置として一生人命救助に酷使させるべきか、人類の発展に利用すべくその身体を研究対象として分解研究するのか、あるいはそのまま下手に暴走されるよりも彼の意思のままに人命救助させるのが良いのか。

 

これらの考えはいずれも獅子神がまだ見た目的に人間性を残しており意思疎通できるという前提を置いている為だが、実際には獅子神は人類より遥かに上のオーバーテクノロジーを持ったサイボーグであるし、同じ秤に乗せて考える事が妥当とは思えない。プレデターのような得体の知れない醜い存在だったとしたらそんな事さえ思わないだろう。

 

そして、作中での獅子神の能力を考えれば人類でどうにか出来るのだろうかという節もあり、今回のヒキで再び獅子神が暴走しそうな兆しもあることから、結局は犬屋敷にしか彼をとめることはできないように思う。そのため、あまり深く考えても仕方ないのだが考えさせられるものは大きい。

 

獅子神を見ていると、水面を見てるかのように様々な感情や意識を投げつけられる気がする。そういう意味で獅子神はフィクションの中に存在する一つのキャラに過ぎないが、気持ちの整理が難しい非常に厄介な存在として映る。

 

 

獅子神の生の実感

 他人の命の散り際に自らの生の実感を求めた獅子神。それが理由で何の縁もない家族惨殺という惨い行動に至ったと語る。そしてこれからも全人類を滅ぼすと宣言してみたり度し難い。彼の理屈は感覚的には察するが、論理的にはまったく理解不能だしこれを容認することはできない。ひらたくいって迷惑この上ない存在である。

 

ただ、それに執着してるわけでもなく、しおんの感情の渦に巻き込まれほだされると人殺しから救済へと真逆に転換するなど、場当たり的に生きてるのが窺える。そういう姿は母の死を経ても特に変化することなく未熟で幼いままである。だからこそ余計に厄介である。

 

 この一連のくだりは獅子神の動機が語られる大切なシーンだったが、もう少し感情に訴えかけてくるような何かが欲しかった。淡白なのは分かるが、聞き取りにくいし演技も少し違うなと感じるものがあった。本職の声優と比べると、セリフが長くなるシーンでは如実に芝居に差が出ると感じざるを得ず惜しく感じた。

俳優が声優より下手という一般論に落とし込んで語るつもりはないが、こういう大切なシーンで微妙な演技になるなら、しっかりとした芝居ができる方(声優)を起用して欲しい。

 

 

渡辺しおん

 母と入れ替わるように獅子神の狭い世界に滑り込んできたしおん。獅子神の世界はとても狭く小さいが、その中にいる者には優しく大切にする。しおんの言葉に獅子神が気持ちを動かされたのは、しおんが獅子神の狭い世界に入ったと見て良い。

 

身体は人間ではないし、一連の惨い殺人事件の犯人であり自分も殺されかねない状況にも関わらず、自分と祖母を置いていかないでほしいと懇願する。そうかと思えば人を殺したことの重大性を獅子神に問い詰めたり、自首するのか聞いてみたりと、理性と感情が錯綜し支離滅裂な言動をするしおん。

 

獅子神ではないが、『どうしてほしいんだよw』と思って見ていたが、「どうしようもないから悲しいの」と大泣きするしおんの答えは、理屈を通り越して心に訴えかけてくるものがあった(演技も非常によかった)。そんなしおんに観念したのか獅子神は彼女を傷つけないような道を模索する。もしかしたら自分のために涙を流してくれる人間がいること事に母親の面影を見つけ、彼に人間の実感を与えたのだろうか。

 

今後の展開

 しおんと関わる中でとりあえず無害化された獅子神だったが、派手に動き回っていたせいか警察の特殊部隊(or自衛隊)のような武装した組織に居所を突き止められてしまう事になった。こうなると、次の展開は獅子神がまた死神となるような展開になるように思う。

 

しおんが死ぬか、あるいは傷つけられる事が引き金となりそうだが、怪我であれば治せるだろうし、しおんの死がトリガーになる可能性が結構高いように思える。ちんげという酷いあだ名をつけられていたしおんだが、今回のエピソードで結構好きになれたので次回死ぬかもしれないと思うと気が重い(´・ω・`) 心の準備をしないと・・・。

 

 

 

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