いぬやしき 第6話 「2chの人たち」 感想  もともとはお前が(´・ω・`) | ながめせしまに@無為

ながめせしまに@無為

これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

第6話 「2chの人たち」

 

       

 

 

エピソード別の満足度

 

×××度し難い  ××不快  ×退屈/あまり好みではない  ▽微妙/何かが足りない △まずまず楽しかった
▲なかなか楽しかった  ○楽しかった ◎凄く楽しかった ◎◎大満足 ☆名作回 ☆☆傑作回 ☆☆☆神回

 

◎ 第1話 「犬屋敷壱郎」

○ 第2話 「獅子神皓」

▲ 第3話 「安堂直行」

◎ 第4話 「鮫島」

◎ 第5話 「獅子神優子」

◎ 第6話 「2chの人たち」

 

         ____ 面白かったけど
        /― ― \ 複雑な気分だな
      /(●)  (●) \
     /   (__人__)     \
      |    ` ⌒´      |
      \           /
        /         \
       |   ・    ・     )
.     |  |         /  /
       |   |       /  / |
       |  |      /  /  |
      (YYYヾ  Y (YYYヽ |
     (___ノ-'-('___)_ノ

 

 

※注 以下ネタバレ含む

 

感想

 

 獅子神の母親の結末は何とも悲しい結末となってしまった。母親のガンを治療し延命させたが、結果的にそれより辛い最後を遂げることになってしまったのは皮肉な話である。

 

あそこまで追い込まれてしまっては、獅子神はあの現場から母親と一緒に逃げだすかなとも思ったが、結局自分一人で逃げてしまった。彼の力と母親との関係を踏まれば、咄嗟とはいえ一緒に逃げることもできたはずである。それをしなかったのは、母親に事のあらましを問い詰められるのを恐れたのだろうか。小さい子が悪い事をして親に隠すように嘘をついたり、黙っていたりする行動に似たもの感じる。

 

獅子神優子はメディアとネット社会の情報の海に投げ出され、その中で精神的に追い詰められ、遂には自殺してしまう。作中ではまだ容疑者の段階であることもあり、獅子神とじっくり話す場を持って欲しいとも思ったが、獅子神自身がメディアの力を過小評価したのか、あるいは母が自殺するとまでは考えが及ばなかったようで、母親に連絡を取ることを避けてしまった。それゆえ、ひとり残された母は息子の話を聞くこともできず信じる寄る辺を失ってしまった。

 

仮に獅子神と話す場を持っていたとしたら母親はどうしただろう。息子が全てを自白したら一緒に死んだのだろうか。それとも、息子に罪を償わせるべく自首を促しただろうか。この母親の気持ちを考えると本当に胸が痛む。

 

 ここまでの作中での獅子神の様子を見ると、やはり思慮も浅いし精神的にも未熟であることを窺わせる描写が多い。不慮の事故で機械になったことで何かが欠落した影響もあるのだろうが、一人で逃げたり、母親の末路を予想できなかったりと、生来的に未熟なのではなと思えるシーンが多い。

 

母親という精神的な枷を失った獅子神。母親を自殺に追いやった主犯は自分自身なのだが、そうは思わないところも彼がまだ未熟だと感じさせる原因かもしれない。いずにせよ自分が原因だとは認めたくないのか、獅子神は母親の自殺の原因を他に求め始める。予想の範疇ではある展開だが何とも虚しさを覚える。

 

 最初のターゲットはマスコミとそれを煽ったと認識したネット(2ch)利用者。マスコミについては、ここ最近は特にそのあり方に問題を感じる事が多く、また匿名掲示板サイトの利用者についても一部では行き過ぎた書き込みがあるのは事実でこれを風刺する側面もあるのかもしれない。(住所晒しなどは論外)

 

視聴者視点では獅子神優子に何ら落ち度がない状況が分かっていることもあり、獅子神優子へ同情する気持ちが強い。彼女を恰好の的として嬲っていた連中が獅子神によって始末されていくシーンは、獅子神優子が不条理に自殺にまで追い詰められた無念を晴らすには良いが、そうかといって彼女を自殺に追いやった原因たる獅子神が彼等に手をくだすのは道義的に素直に受け入れにくいものがあり複雑な気分であった。

 

獅子神優子の無念の払拭と獅子神の幼稚な逆恨みによる虐殺は分けて考えなければいけないと思う。もともとは獅子神が何ら罪の無い人間を虐殺しまくったという事が発端であり、そこに大衆の怒りが背景として存在していた事を無視できない。本当になんという気持ちの矛盾を孕んだエピソードだったか。

 

 

 犯人とその親族は別と考えるのはもっともな意見で、基本的にはこの考えに同意する。が、ケースによっては何故もっと親はしっかり躾けなかったのかと思う事もある。例えば最近起きた高速道路での事件なんかを見るとやるせない気持ちになり、この子の親はどういう教育したのだろう、こうなる前にどこかのタイミングで止められなかったとも思った。

 

その気持ちをあえて足を運んでまで書き込んだりはしないが、書き込む人の気持ちを否定する気はない。そうしたことが抑止と社会秩序を維持することに繋がることもあるとは思うし、その感情自体は誤っているものだとは思わない。ただ、そうした考えを過度に正当化する事は危険だとは思う。ネットを利用している者が必ずしも良識を持った人ばかりとは限らず、不合理な主張についてまで正当化する材料として利用されかねない。

 

結局は個人の良識に委ねられるし、個人で出来ることといえば不用意に関わらず、その危険性に留意し冷静に事態を見守るくらいだろうか。

 

 そしてもう一方のマスコミ。獅子神がどういう経路で犯人と特定されるに至ったかその状況が分からないこともあり、今回のような特殊な事件において容疑者段階でマスコミが未成年の実名報道をするというくだりは少し共感しにくいものはあった。が、マスコミが振りかざす「彼等の正義」を風刺したものだと思って見ていた。実際昨今のマスコミは酷いし、このくらいオーバーにやってくれたほうが分かりやすいな( ̄ー ̄; 

 

今回のエピソードはストーリーに惹きつけられあっという間に視聴を終えたが、何とも考えさせられる事が多いエピソードだった。

 

 

 

その他

 

 

 犬屋敷と安堂は対獅子神に備え着実に能力を使いこなすべく様々な事を試行している。獅子神の母親の自殺により、獅子神の暴走を予想した安堂は獅子神をとめるべく焦っている様子を見せる。

 

犬屋敷と安堂の二人の様子が緊張を和らげるのに本当に良い箸休めになる。犬屋敷の声を充ててる俳優の小日向氏だが、良い意味で声優のそれらしい演技とは持ち味の異なる妙味を出していて犬屋敷というキャラを引き立てている。

 

それはそうと上半身いつも裸だと怪しまれるから、せめてボディペイントでもしたらどうだろうかとも思うw通信距離の確認練習ではあっという間に宇宙にまで到達した犬屋敷。性能ではあらゆるガンダムを凌駕してそうで可笑しいw 

 

宇宙ステーションの人もこの状況で宇宙に人がいることを見てしまったら、誰にも相談も話もできないだろうな( ´艸`) 話したところで「モルダー、あなた疲れてるのよ」で自分が頭がおかしくなったと思われる可能性のほうが高いだろうし、そっ閉じでなかったことにするしかないw

 

犬屋敷も見つかってしまって慌ててしまうのかと思えば、牛乳瓶みたいのを取り出して飲み始めるなど、マイペースな様子に「おい!w」とツッコミたくなるw 本当に面白いキャラだ(´∀`)

 

 

 獅子神に好意を持っている女の子(クラスでのあだ名がちんげさん)が前回に続き登場し、獅子神を匿うなど今後のストーリーでも役割があるキャラとなりそうである。彼女が獅子神と犬屋敷そして安堂達にも絡んでくるとしたら、どのような役割を持っているのか興味深い。

 

 

過去記事・関連記事のリンク

 

いぬやしき 第1話 「犬屋敷壱郎」 感想

いぬやしき 第2話 「獅子神皓」 感想 これは良い胸糞・・・

いぬやしき 第3話 「安堂直行」 感想 

いぬやしき 第4話 「鮫島」 感想  裁きの光

いぬやしき 第5話 「獅子神優子」 感想 分岐点

 

いぬやしき 第7話 「渡辺しおん」 感想  悪魔と天使の天秤

いぬやしき 第8話 「犬屋敷麻理」 感想  獅子神も無敵ではない?

いぬやしき 第9話 「新宿の人達」 感想  獅子神の宣戦布告

いぬやしき 第10話 「東京の人達」 感想  人を形作るもの